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悪魔の島 海賊討伐

 思っていたよりもザケンを倒すのがあっさりだった気がした。確かに強かったし犠牲者も出してしまったが、こんなものなのだろうか?


 オルフェンの時に比べて、あっさりと討伐出来てしまった様な気になっていた。


 近くに来ていたサブリーダーのギンナルへ声をかける。



「ねぇ、ギンナル。何と言うか・・・・・・思っていたよりも、あっさりと討伐が完了した気がするんだけど、ギンナルはどんな風に感じているかな?」


「あっさりなんてとんでもない!!そう感じたのであれば、ハガネさんがオルフェン討伐を通して成長したのではないでしょうか。言っておきますけどあんな状況で、ゾンビに囲まれながら生き残れるヒーラーはいませんし、普通はあんな役割を自らやりません。それでもセラさんを死なせずにしっかりとヒールを行い、メイン盾をもたせてくれました。その後も死にかけになっていたのに、すぐに総指揮を行っていましたし。・・・・・・やっぱり格好良かったですよ♪」


「そっか・・・・・・色々とありがとうね」



 ギンナルに言われてそういうものなのかと思い返す。


 俺の今回のレイドボス討伐の感想としては、ほとんどゾンビと遊んでいただけだなと。ザケンとも少しは直接対峙したけど、基本はセラが相手をしてくれていたからな。


 まぁメイン盾がセラだし、俺はそのメイン盾PTのヒーラーなんだから当然だけど、何となく物足りない。やっぱり俺は世間の評判通り、頭のおかしいヒーラーなのだろうか。




 改めてザケンが光になって消えていった甲板を見る。海賊船にふさわしい金銀財宝の山・・・・・・ではないが、装備品が大量にドロップしていた。


 良かった、今回もちゃんと参加者への分配が出来る。オルフェンの時より数が少し少ない気がするけど・・・・・・あれ―――全部Aグレード装備だっ!!


 ザケンの適正レベル帯はBグレード装備なのに、ドロップは1グレード上のAグレードになるのか。前回と同じであるなら、レイドボスは基本上のグレード装備をドロップするのかな。



 Aグレードの装備品があれだけあれば、亡くなった人の知人などにも十分過ぎる程分配出来る。それを渡したところで本人が戻って来る訳じゃないけど、参加者の努力の証だ。必ず届けよう。


 あ~・・・・・・これどうやってここから持って帰ろうか。オルフェンの時は冒険者ギルドが応援の人達を呼び何台もの馬車で運んだが、ここは悪魔の島の洞窟の最奥だ。


 ここまで馬車は入ってこれないし、道中は普通にゾンビや木人形がいる。皆にもう一仕事お願いするのは心苦しいが頼むしかないな。




 周辺魔物狩りPTには近場のゾンビを狩ってもらい、他の人達はドロップ品を持てるだけ持って坂道へ運んでいく。


 後日回収に来るとしても、ゾンビだらけの甲板に放置しておいたらどうなるか分からないからな。天井にぽっかりと穴も開いているし風雨に晒されるのはやはり良くない。


 あの穴が開いていたお陰でザケンを倒す事が出来たのだから、感謝はしないといけないが。




 とりあえずは坂道への扉の中へ運び込み、そこからは坂道に等間隔で並びバケツリレーの要領で出来る限り1Fに近い所へ運んだ。


 少しでも次回に回収する時に楽になった方が良いからな。各々洞窟を歩くのに邪魔にならない小さめのドロップを少し持ち、洞窟の出口へ向かう。


 戦闘は基本的にミラとリースのPTにお任せだ。それ以外の人は歩くのには邪魔にならないが、戦闘の邪魔にはなる位ドロップ品を持っている。木人形が出てきた時は盾3人に手伝ってもらい、俺もヒールを行う。


 主催者特権との事で俺は何の荷物も持っていないので、戦闘参加も支障はない。ありがたい事だ。




 途中海水の無い場所で野営を行いながら、どんどん出口へ向かって行く。道中は驚くほどに何のトラブルもない。


 再度ザケンが出てきたり、今まで見た事の無い強い魔物が出てきたりもしない。こんな時もあるのか。



 この世界に毒され過ぎたな。当然ではあるのだが、別に俺は死にかけるのが好きではない。毎回淡い期待を裏切られ、瀕死になる様な状況に追い込まれていただけだ。



「目印はこんな感じで良いです?」



 リリミアが岩壁にガリガリと書き込みながら聞いてくる。



「ああ、また坂道まで行かないとだからね。皆が迷う事なく海賊船へ向かえる様に、すまないけど分かれ道の度に印をお願いね、リリ」


「はいです!!」



 そんな事を繰り返しながら、漸くと出口が見えてきた。



「お疲れ様です。ハガネさん」


「ああ、ワニもな」



 二人で労う様に声を掛け合い、洞窟から出る。無事に戻って来れて何よりだ。犠牲者を出してしまった為、全てを喜べる訳ではないのだが、今ここに居る人達が助かった事を喜ぼう。



 久々の外の空気と、降り注ぐ光を浴びてやはり外は良いなと思う。洞窟内でも光が射しこんでいるところはあったのだが、外とは全然違ったからな。


 途中の道のりは全部足元が海水だし、既に体中がべとべとだ。早くドール城下町へ帰って湯船につかりたい。



 さてと、ここから何日でお迎えの船が来るかな。約束の期日は過ぎてしまったので、目の前には船がいない。全員死んだと思われて、二度と船が来ず悪魔の島は閉鎖。とかにならないよな?


 荷物の見張りと野営地の確保を頼んだ冒険者達も居なくなっているので、迎えに来た船で町へ戻ったのだな。一応俺達が生きていた時の為に、荷物はちゃんと置いて行ってくれた。


 帰れるのか不安は感じるものの、一先ず全員休憩だ。ここには絶対に魔物は出現しないと高を括る事は出来ない。


 まずは装備品を確認、整備をしながら休憩を行おう。



「それじゃあ皆、お迎えが来るまでは・・・・・・」



 参加者の方を見ながら声をかけようとしたら―――参加者達の後ろの海に何かが見えてきた。


 何かも何もないのだが、海の上に浮いている大きな物体と言えば・・・・・・船だっ!何故このタイミングで現れたのかは分からないけど、ありがたい事この上ない。


 まだ見えたばかりだから、ここへ来るまでは時間がかかるけど―――これで帰れる。



「お迎えが来ましたね!皆さん、船に乗り込む準備を!戻ったら、皆で酒場へいきましょ!」


「やったね♪それって、はーさんの驕りだよね!」


「もちろんだよ、リカ。好きなだけ飲もう!」


「おぉー!!」



 全員から歓声が上がった。ここ数日碌な物を食べてないし、当然の反応だな。俺だって早く皆と騒ぎたいものだ。


 さ、撤収準備をして船の到着を待とうかね。

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