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どんなに早い攻撃でも

 ワニとザケンの睨み合いが続いた。ザケンに緊張と言う概念があるのかは不明だが、ワニの後ろから見ている限り、集中しているのは伝わってくる。


 ザケンが相変わらず音も無くワニへ近づき、サーベルを逆袈裟に振り上げる。今までと変わらずワニは少しの移動でそれを避ける。そこ迄は変わらなかった。だが、そこからが違った。


 浮遊しているサーベルの6本の内1本がワニへ突っ込んでいく。先ほど回避動作を行った身動きのとり辛いタイミングを狙った様にしか見えない、嫌なタイミングでの攻撃だった。



 その上、今までのどの攻撃よりも早い。俺は今遠間で見ているので辛うじて分かったが、至近距離で受けたワニは・・・・・・避けていた。相変わらずの回避っぷりだな。


 今のタイミングで放たれる、あの素早い攻撃が避けられるものなんだなと、今更ながらに感心してしまった。



「今のは危なかったです。ここは回避スキルを使わせて頂きますね。ミラさん、リースさんもスキルを使う心構えだけはお願いします。かなりの速さですよ」



 そう言いワニは即座にUE(アルティメットイベイジョン)を発動する。これで少なくても1分は攻撃を受ける事がないんじゃないかな。ワニだもの。



 回避スキルを使用した後、ワニはザケンの真正面に立ち短剣を腹部へ深く突き刺した。


 暫く回避に専念する為に、今のうちに少しでもダメージを与えタゲが飛ばない様にしたんだと思う。


 その後は防御と捌きに専念する為、短剣を逆手に持ち替え珍しく半身に身構える。それだけ浮遊サーベルの攻撃速度が驚異的なのだろう。



 短剣を逆手に持った左手を前面に出し、その後ろに身体が隠れるかのように半身に構えたままじりじりとすり足で近寄って行く。あわよくばダメージを与えるつもりかと考えたが、そのタイミングは訪れなかった。



 ワニの間合いに入る直前に、風を切り裂く音と共に顔面を狙い浮遊サーベルが突き出される。


 身体を少しだけ傾け最小限の動きで避けたが、続けて浮遊サーベルが放たれる。今度は短剣で少しだけ刃先を逸らして、身体の軸から逸らしていく。


 ただ、今までと違い1本の浮遊サーベルを避け、定位置に戻る度に次の浮遊サーベルが飛んでくる。その間隔は1秒に満たない位の速度で放たれていた。


 それでも回避スキルを使っているからなのか、ワニそのもののポテンシャルが凄いのか。多分両方なのだろうが、その速度と間隔をもってしても、ワニにはかすりすらしなかった。




 その状態が時間にして1分程・・・回避スキルの有効時間が切れる直前まで続いた。通常であればスキルが切れる前にザケンの間合い外へ離れるべきなのだが、ワニはまさかの前進行動をとり、胸部に向けてモータルブローを放った。


 致死ダメージが与えられた訳ではないと思うのだが、そのタイミング等に驚いたのかワニが放った短剣のスキルはしっかりと胸部へ命中した。


 命中すると同時に回避スキルの効果が切れたのか、大きく後方へ飛び退る。ワニのスキルと技術のお陰で、1分間ノーダメージでザケンを釘付けにする事が出来て何よりだ。



 しかし、これでザケンの浮遊サーベルが動きを止めて地面に落ちたりはしない。回避スキルはディレイもあり、連続使用は出来ない。


 ここからはほとんど目に見えない攻撃を、いつ終わるとも知れずに避け続けるしかない。


 流石のワニもUE(アルティメットイベイジョン)を使って回避し続けた後なので、多少の疲労は見て取れる。ここからが地獄の入り口だ。ただ耐えきる時間は1時間も無い。通常なら問題はないのだが・・・・・・。




 ザケンが距離を置いたワニへ近づき、再度浮遊サーベルを放つ。UEが切れているとは言え、しっかりとその神速の突きを避ける事に成功している。流石に短剣で補助的に捌いてはいるが、その後の連撃も避けれているのが、流石の回避マスターだ。


 ただ、避け続けていると思っていたが、よくよく後方から確認してると薄皮1枚はもっていかれており、あのワニが出血していた。時間稼ぎに重点をおいたワニが、こんな状態になったのは初めて見た気がする。


 そろそろミラと交代し、ミラもザケンのタゲをとり、UEを使った上で回避に専念してもらおうと考えていた。



 ミラの位置をふと確認すると、俺達から少しずつ離れていた。


 周辺で湧き続けるゾンビの対処に追われていたのだ。そのせいで徐々に俺達から遠くなり孤立しだしてる。


 リースはどうなったのか確認するも、こちらもゾンビの増加に対して討伐が追いついておらず、

徐々に距離が出来ていた。



 ワニの出血は段々と増えていき、そろそろ薄皮1枚とは言い難い出血がある。こういった傷など、本来であれば即時ヒールで癒しておしまいなのが、俺達はまだまだ先を見えていない状況になってしまった。


 ここでヒールをワニにかけたいところであるのだが、ワニが追加攻撃を出来ず攻撃を捌くので余裕が無い時にヒールなどしたら、ザケンのヘイトがこちらに向いてしまい、折角とってくれていたタゲがはがれてしまう。



「まだまだ大丈夫ですから、そんなに不安そうな顔をしなくても大丈夫ですよ」



 あの状況でもこちらに気遣いを行ってくるのは、凄いを通り越してワニに感動する様になってしまう。付き合いも長い事だし早々とそんな事にはならないが、やはり避け続けられている原理がわからない。


 俺の時だけ本気で、今はザケンが手抜きをしてくれてる・・・・・・とは考えられない。単純な俺とワニの地力の差であろう。



 ミラとリースとの距離がどんどんと開き、俺とワニは孤立していく。気が付けば砂浜と海水の境界線へ追い詰められていた。


 これ以上下がると、ワニは海水に足をとられるようになり、今までの様には避けきれなくなってしまう。いよいよ進退窮まってしまった。




 短剣職2人の代わりに、少しだけワニからターゲットを外す事にした。時間的にも流石に限界だと思う。


 俺は迷わずGH(グレーターヒール)を使う事にした。もちろん多少でもワニがヘイトを稼いでくれていたので、直にこちらへザケンが向かって来る事はなかった。が、一度のGHで全回復するには程遠かった。


 そのため、今一度GHをワニへかけると、ザケンがこちらへ向き突っ込んでくる。

 

 これで良いのだが、このままずっと時間稼ぎが出来る自信は俺にはない。一先ず時間を少しでも稼ぎ、またワニへ戻さないと、今度は間違いなく俺が死ぬ。



 それでも踏ん張るのが男ってもんだよね。婚約者達に呆れられる事が無い様に全力を尽くして、僅かな時間稼ぎを行う事にした。

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