レイドボス狩り
ザケンと共にメイン盾PTは足場へ向かっていく。移動しながら攻撃を受けるのは大変だと思うが、あちら迄連れて行かないと話にならないからな。
うちのPTは、先にフルエンチャントをしてもらい移動を開始したのだが、何とか盾3名とザケンが足場へたどり着いた。
俺も少し遅れて追いつき足場にのると、海にある洞窟だからか土ではなく砂で出来た足場だった。砂浜みたいに細かい砂だな。
多少足を取られるが、ひざ下まである海水に比べたら雲泥の差がある。これで真面に戦えるな!
事前に魔物を狩ってくれていたお陰で、スムーズに移動する事が出来た。ありがたい。
「皆、ここ迄ありがとう!事前に話した通り、ここからザケン討伐を開始します。各自―――生き残って凱旋しよう!」
「おぉ!!」
誰も死なずに帰すのが俺の仕事だが、ここ迄奥地に潜っていると半壊して逃げかえるとなった時は、かなり厳しいだろうな。道中にも魔物はもちろん出て来るし。
皆もそれは感じてない訳じゃないが、士気を高めて考えない様にしてくれているのだろう。
願わくば完勝したい。その為にも出来る事は全て行わないとな。
「スタン系スキルは暫くスタンアタックPTが。弓PTはスキル節約しつつダメージを。WIZPTは半分までは魔力を使い切り使い切ったら回復。周辺魔物狩りPTと補助PT1、2はこれから湧いてくる魔物の対応を」
セラがメインの盾を行い、ジャンヌが補助。スカーレットは今は休憩。ジャンヌの魔力が半分近くなったら、補助を交代する予定だ。
何かあった時に、盾がヘイトオーラを使えない。なんて事態に陥りたくない。雑魚だって群れて襲い掛かってきたら脅威だからな。
セラが先ほど迄と違い、良い動きになっている。上手く受け流す事も出来ているし、背後のサーベルを使われなければ、補助盾と2人で何とか戦線が維持出来そうだ。
UDも、いざって時に残しておきたいので、出来ればこのまま討伐が進んで欲しいが、きっとそうもいかないんだろうとは思っている。
スタンアタックの効きは先ほど迄とは特に変わりはないので、随時2名で交互に使ってもらい、魔力が減ってきたらスタン要員を交代している。
そのまま何事もなく、何度かエンチャントをかけ直しているのだが、今の所は順調と言えるか?
盾3人がしっかりと受けてくれているのでタゲは跳ねないし。周辺のゾンビと木人形もしっかりと処理が追いついている。だけど・・・・・・。
「ねぇ、ハク。討伐を開始してから結構な時間が経っていると思うんだけど、ザケンに変化はあるかな?」
「正直・・・・・・何の変化も感じられません。ちゃんと休憩も交互に取りつつなので、討伐部隊の魔力は無くなったりはしてませんけど、疲労はどんどん蓄積していると思います。本当にあのレイドボスは倒せるのでしょうか」
やっぱりそうだよな。背後のサーベルを使ってくる事もなければ、何か特殊攻撃をしてくる事もない。
魔物の湧きが早くなったり、多くなったりもしないし、これじゃただ永遠と雑魚を狩ってレベル上げをしているみたいだ。
もちろんザケンが特殊攻撃をしてこないレイドボスであったり、1対1じゃなきゃ背後のサーベルを使えないとか、こちらに都合の良い設定という事が絶対にない訳じゃない。
でも、今までそんなにこちらにとって都合が良かった事なんてなかったからな。
既に綻びが出始めている。ハクの言う様に魔力は枯渇していないが、疲労は蓄積する一方だ。
レベル帯の低い補助PT1、2が魔物の処理に遅れが見えてきた。今は、弓PTやWIZPTが危険な時にフォローに回ってくれているので何とかなっているが、魔力を消費する分攻撃に割く時間が減ってきている。
いつまで倒せば良いのか終わりの見えない雑魚狩りなので、精神的にもまいってきている。
雑魚は一旦狩り尽くせば少しの間出現しないので、その間に少しの休憩は出来るが僅かな時間だ。
最初に倒した魔物から、最後の魔物迄狩り尽くす時間が、再度出現するよりは早いので何とかなっているのだが、このままだと追いつかなくなりそうだ。
補助PTで追いつかなくなれば、当然弓やWIZPT、スタンPTだって雑魚を狩らなければならなくなる。
そうなってくると、本格的にまずい。少し休憩をさせてあげたいのだが、正直どのPTも余裕がない。
ザケンに攻撃がちゃんと効いていて動きが悪くなるとかあれば、あと少しだ!とか発破もかけられるが、この状況ではそういった希望の持てる言葉も伝えられない。
「ハガネっ!!補助PT1のヒーラーがやられた!補助PT2で暫くフォローする。少しの間、弓PTの火力を雑魚狩りに貸してくれ!」
「はーさん、WIZPTの魔力回復が段々と追いつかなくなってきてる。リチャージ要員の魔力も、もうカツカツになってきたよ」
ミラとディムから声がかかる。一先ず弓PTの弓使い5人のうち2人を雑魚狩りへ。それと、WIZPTには完全休憩をとってもらう為、スタンアタックPTの2名も雑魚狩りを行う様に指示を出す。
「ハガネよ、これは厳しいのではないか。ザケンが全く弱った気配がないぞ」
「確かにラナ様の言う通り。流石にセラもジャンヌも・・・・・・もちろん私も疲労で動きが怪しくなってきた」
ラナの言葉を受け、いつも強気のスカーレット迄、そんな発言をしてきた。確かに最前線でザケンを見続けていて、その変化が感じられないのは辛いだろう。
討伐部隊の半分ずつでもいいので、何とか休憩をとりたいがどうするべきか。
「ハガネさん、ここは私が暫く受けを。雑魚狩りを行うメンバーを残して、休憩してください」
「ワニ・・・・・・すまない、甘えさせてもらう。セラ、一旦ヘイトを止めてくれ。ミラとリースは悪いけど俺達に付き合ってくれ。ギンナル、休憩の指示だしを頼んだ」
ワニ、ミラ、リース、俺の四人で回避受けの方向で暫く時間を稼ぐ事にした。雑魚狩り部隊が居なくなる訳にもいかないので、雑魚を狩りつつ休憩を回す。
やっつけの作戦ではあるのだが、それを行わないとこのままでは壊滅してしまう。
「じゃあ3人とも―――少しの間、頼んだよ!」
ワニが武器を短剣に持ち替えザケンの正面に立つ。俺は少しだけその後方へ。
ミラとリースは両サイドに展開してもらい、攻撃をしかけてもらう。
討伐したいのなら、この位乗り越えるしかない。やってやろうじゃないか。




