背の高さだけが全てじゃない
男を見せると言っておきながら、絶賛セラの陰に隠れて突撃中です。
申し訳ない気持ちになるけど、紙防御なのでご勘弁願いたいところです。
「セラ、肩を借りるよ!」
セラが盾を前面に出し、ザケンへぶつかったタイミングで飛び上がり、セラの肩を踏みつけザケンの背後へ飛ぶ。ちょっと試してみたい事があるんだ。
後方へ着地すると同時にミスリル杖を取り出し、組み立てず三節根の状態でザケン後方へ浮遊しているサーベル6本に向け振りかぶる。
前回俺がボロボロにされた、浮遊したサーベルの突きを何とか出来ないものかと考えていた。
攻撃され出すとほぼ見えない突きが飛んでくるので、それならば先に叩き落すなり縛って使い物にならなくしてしまえばいいんじゃないかと。
悲しい事にザケンとの身長差と、海面から僅かに浮いている為片側3本纏めて絡めとるのは難しかったので、まずは下方の1本に的をしぼり、振りかぶった杖をぶつけ絡めとる。
うまい具合にサーベルに絡みついたので、力任せに引っ張ると何の抵抗もなく俺の手元に来てくれた。
これなら全部とは言わないが、数本はこの場で減らしておけるんじゃないかと期待が持てた。今のうちに減らす事が出来れば、この場も時間稼ぎが楽になるしこの後広場での総攻撃の時も、少しはセラ達盾職の負担を減らす事が出来る。
そう思って引き付けたサーベルを地面に踏みつけようとしたのだが・・・・・・引き寄せたサーベルが動き軸足に突き刺さった。
あー・・・・・・結構自由自在に動かせるんですね。その可能性も考えてなかった訳じゃないけど、後方から突き出される時と変わらぬ速度で俺の足に刺さってきたので、全く反応が出来なかった。
絡めとって動きを封じていたはずだが、サーベルそのものが絡めた方向と逆方向に回り、杖からはずされてしまったみたいだ。
油断はしてなかったつもりだったが、手痛い失敗をしてしまった。
「ハガネっ!」
セラが慌ててザケンにシールドスタンを使い、しっかりスタンが効いてくれた。ザケンが後方へ吹き飛び、そうすると俺の軸足に刺さっていたサーベルも引っこ抜けザケンに追従する様に離れてくれた。
ふむ、有効射程みたいなものはちゃんとあるんだな。今の感じだと2~3mあるかないかだな。貴重な情報が手に入った。
それはそれとして足が痛いので、この隙に自分へヒールをかけさせてもらった。血は止まるが痛いもんは痛い。
「ありがとう、セラ。ちょっと油断していたよ。でもいい情報が手に入った!」
吹き飛ばされたザケンがスタンから回復し、またセラへ向かって来る。せめて5分程でもここで足止めをしたいので、もう少し頑張ろうかね。
セラに突っ込んでくるザケンへ横から走り込み、そのままの勢いで飛び上がって腹部へ前蹴りを放つ。
本来であれば顔面にいきたかったところだが、足元の海水が非常に邪魔だ。決して俺の背が低いから届かなかったとかではない。
頑張って放った蹴りは、あっさりとザケンに避けられる。セラがヘイトをしっかりと取ってくれているので、反撃はされずに済んだが不意打ちも避けるのか。なんか前より強くなってないか?
俺とかスカーレットと戦った事で、戦う為の知識をちゃんと吸収して成長している様に感じる。これ、このまま戦い続けると、どんどん強くなっていくような・・・・・・。
俺の蹴りを避けたザケンはそのままセラへ手に持ったサーベルで斬りつける。セラは受け止めつつ横へ力を流し上手にいなしている。真面に受け止めたら多分剣が折れる。折れなくても力でつぶされてしまう。
セラの技術は、出会った頃に比べて、誰よりも上がっていると思う。常に死線を潜り抜けてきたからな。
セラに攻撃をしている間に、俺は杖を横なぎして膝裏に叩きつける。膝が曲がり頭の位置が下がってきたので飛び上がり、下がった顔を突く。だがこれは避けられてしまう。
避けられたがそのまま柄を持つ手に力を入れて、再度頭部を狙う。こめかみ辺りに柄が命中するもいまいち反応がない。
あれだけの攻撃魔法や弓での攻撃を受けても大して効いた感じがしてなかったが、これはちゃんとHPを削れているのだろうか。幽霊っぽいので血が出ないのは良いとして、攻撃を受けた後もどこか痛めた様子もないし、効果があるのか不安になる。
衝撃を0にしている訳じゃないのは確かだが、痛みがないだけでダメージはちゃんと蓄積されていると信じたいな。
そんな俺の攻撃を無視しながら、セラには容赦ない攻撃を仕掛けてくる。俺の力では横合いから止める事は出来ないので、関節部分を狙い少しでもザケンの攻撃を邪魔しているのだが、セラの負傷が増えていく。
適度にセラへのヒールはかけているが、どだい2人でこいつを止めるのは無理があるな。
早く時間が経って欲しいのだが、まだ5分も稼げていない。もう少しだけセラには耐えてもらう他ない。
「セラ、残りの魔力を気にせずシールドスタンを使っていこう。このままだと時間稼ぎも厳しい」
「分かった!!」
言われてすぐさまシールドスタンを使うも、必ず効くとは限らない。それでも少しでも時間を稼ぐには有効なのだが、今放ったシールドスタンは決まらなかった。
流石にセラが防ぎきれなくなってきているので、俺も正面に立ち少しでもサーベルを受け流して邪魔をする。
ただ、流石にセラがしっかりヘイトを取っているとはいえ、攻撃に割り込んでいる為俺も攻撃を受けてしまう。直撃しなければ大丈夫・・・・・・とも言えないな。
そろそろ逃げ出したいが、どうしたもんかね。
「シールドスタンが決まったら、一目散に逃げてくれ。少しだけ時間を稼いでおくから、その間に距離を」
「・・・・・・無理をするなよ」
それから何とか攻撃を受け流しつつ、シールドスタンを使う事3回。漸く決まってくれた。
「いけっ!!」
セラが振り返り、皆が向かって行った方向へ走り出す。
俺もそれに追従し少しだけ距離をつくる。道幅が狭くなったところで立ち止まり、ザケンを待つ。
別に俺がここで倒す必要などない。ほんの少しだけザケンの邪魔をして、セラとの距離を稼げば良いだけだ。その位はやっておかないとだ。
セラの足音が遠ざかって行く。このままザケンがスタンにかかりっぱなしならいいが、そんな事にはならない。きっちり回復してセラを追いかけようと、こちらへ向かってきている。
俺は杖を頭上へ振りかぶり、水面へ叩きつける。ザケンの動き方を見ていると、しっかりと視認して動いている様に感じた為、目くらましは有効だろう。
水しぶきをあげ、ザケンの視界を塞いで水月に向かって杖をねじ込む。
水の壁を突き破りザケンへ命中する。進んでいたザケンの動きを止める事が出来、やはり目で見ているのは間違いではないと確信する。
何回もは通用しないだろうが、良い手段だったな。
さてと・・・・・・この後はどうやって時間を稼いで逃げるかな。




