勝率がどれほどあれば参加者が増えるのか
駆けつけてくれた人達、冒険やギルドへ応募してくれた人達で、総勢47名になった。
残りは後13人前後だが、どうやって集めたものか・・・。
ここから急に応募が増える訳じゃないし、前回ザイオース城下町の時の様に町中で声をかけ捕まえるのは難しいだろう。
正直この町にはもうザケン討伐に行けるレベルの冒険者は存在しない。そういった人達は既に悪魔の島へ行き、やられてしまっている。
残っている冒険者は新人だらけなので、経験・装備・レベルとどれも足りていない。それでも補助のPTであれば出来るかもしれないが、万が一魔物がそちらへ行ってしまったら壊滅してしまう。
むざむざ死人を出す為に、誘う訳にはいかないだろう。
なら、どうするのか。この後、残りの日数で冒険者ギルドに応募は来るかもしれない。
でも、来ないかもしれない。その場合はこのまま突入になってしまう。最低限の人数は確保出来たが、それで絶対倒せるとは限らない。もちろん揃ったからと言って絶対勝てる訳じゃないが、確率は上がる。
レイドボス討伐の主催をする以上は、勝てる確率を上げるのが当たり前だと考えている。
PT編成から試行錯誤し、討伐時には誰よりも倒す確率を上げるために動かなければならない。それが直接攻撃するのか、回復を行うのかの違いはあれど、出来る限りの力を振り絞り倒さなければ。
オルフェンの時は最終的に1対1で戦い倒す事は出来たが、あんな事は2度と出来ないだろう。
オルフェンの知識量が少なく、初めて真面に戦うから色々と見てみたい!みたいな考えがあったのだと思う。子供の様なものだ。
もし最初からただ邪魔だからすぐ殺そう。と言う考えを持って対峙していたら、5分も持たずにやられていたと思う。突きはほぼ見えてないし、力の差がありすぎた。こちらの攻撃はほとんど効かないし。
勝てたのは全員で積み重ねた結果であり、別に自分が強かったからではない。それなのに初のレイドボス討伐者だからと英雄と呼ばれ、心苦しい限りだ。
その事を否定すれば謙虚な人だと言われ、伯爵にもなったものだからそこに拍車がかかる。
本当に自分ひとりの力で勝っていたのなら、もっと自慢して回りたいものだが、とてもそんな気にはなれなかった。
ザケンと一度戦ったが、ソロではとてもではないけど、勝てる未来が見えない。
単純な力で圧倒的に劣っており、素早さ自体も話にならない。それにあいつは武器も使う。
そもそも身長で負けておりリーチの差がある状態から、剣で攻撃されるというのは非常につらい。俺の杖は使うが素手の方が技量はあると思っている。
ただ、あのザケンの周りに浮遊している6本の剣に対しての対応を考えておかないと、触る事も出来ずに死ぬことが十分にあり得る。
組技も多少は出来るが、どちらにせよ近づけなければ話にならない。普通に関節技を仕掛けた所で、通用するとも思えないしなぁ・・・。
例えばだ、じゃああれに1対1で勝てる様な人物などいるものか?化け物みたいな強さで、体力は非常に多くどうしても長期戦になってしまう。
そんなのに勝てる人などいる訳が・・・と思ったがつい最近会っているな。
ワニの父親である武神だ。
じゃあ何故勝てると思うのか。あの武神に真面な攻撃が入るとは思えないからだ。
単純に相手の攻撃力が自分より遥かに上回っているなら、喰らわなければ良いだけだ。普通ならそんな事は考えられないが、武神なら喰らわずに近づき、打撃だろうが組技だろうが出来るのではないだろうか。
当たらなければどうということはない。ってやつだな。
全ての攻撃を捌いて避けて、こちらの攻撃を当て続ければ、生き物は皆死ぬはずだ。あいつが生き物という定義かはおいといて、倒す事は出来る。
問題なのは、俺にそんな技量はないという事だ。今から数日の間に、武神の強さに追いつく事は流石に不可能だと思ってしまう。
無理だと決めつけて動かないのは、とりあえずやってみるを信条とする俺としては納得しがたいが、そんな事に希望を持って、他の考えを疎かにしたらダメだと思う。
武神との手合わせは非常に意味のあるものであり、多少なりとも俺も強くなれたと感じているが、ザケンをソロで倒せる様にはなっていない。当たり前である。
武神だって昨日今日の修行だけであんなに強くなれたのではなく、気の遠くなる様な年月を武の道に注ぎ込み、その事に対して労力を惜しまなかったからだ。
俺が同じ時間、同じ年月を注ぎ込んでも同レベル迄なれるとは限らない。けど、追い越せる可能性が無いとも言い切れない。努力はするべきだ。
と、色々考えていたが、多少ネガティブになっているのかな・・・。
どうしてもオルフェンに殺された仲間―――アリア、ミイ、レイの事を思い出してしまう。
あの頃は仲間を失った事もなかったし、街道や狩場に出るPKにも負け知らずだった。いや、負け知らずは嘘だな。俺1人だけPKにやられて死んだんだった・・・。
そんな絶好調の時になすすべもなく、オルフェンというかその眷属に仲間を殺された為、どうにも感情の整理がつかなかった。
その後皆のお陰で何とか考え方を切り替えて、オルフェン討伐に行く事が出来たが、1人も死なせないと言っておきながら、参加してくれ協力してくれた人達を大量に死なせてしまった。
討伐は出来たがとても成功とは思えない状況で喜べなかった。ただそこは、この命の軽いこの世界。誰1人として参加者を死なせてしまった事を責め立てる人はいなかった。
今回のザケン募集でも死の危険性は十分伝えたつもりであるが、こうして参加してくれようとしている人達がいる。感謝するしかない。
参加してくれるなら、せめて討伐成功をさせなければ、最悪犬死と言われてしまう。
そんなのは絶対にダメだ!!
必ず討伐する事と、誰1人としてしないせないと言う気持ちは、誰よりも強く持ち主催を行う。
それがせめてもの参加者への礼儀だ。
こんなところで、うだうだと考えている場合じゃない。
いないかも知れないとしても、今出来る町中での討伐メンバー探しを行おう。それすらしないなら、少しでも成長する為に修行をしよう。前を向き、討伐する為に全ての時間を使おう。
改めてザケン討伐の決意を固め、メンバーを探しにまた酒場を覗いてみる事にした。




