酒場で作戦会議
ギルドマスターへ討伐のクエストを受ける旨を伝えた日は、皆へ休みだと伝えてあるのでギルド帰りに酒場へ行き、翌日にまた19名の予約をして宿へ戻った。
話し合いが長引いてしまった為、宿に戻って来たのは夕飯の時間だった為、食べて身体を拭いて直ぐに寝てしまった。
翌日、午前中は町をぶらついたのだが、すっかり忘れてしまっていたな。
またしても盗賊崩れに3回程遭遇する事になった。特別な事はなかったので割愛するが、早くザケンを倒そうと決意を新たにした。盗賊はもちろん全て殺させて頂いた。
夕方酒場に集まり皆にその話をしたら、ハクに怒られた。危ないから集団で動く様にと指示を出しておきながら、何でハガネさんは1人で出歩くんですかと。仰る通りだと思います。ごめんなさい。
そんな事を話している間にエールが運ばれて来たので、皆で乾杯し美味しいご飯を食べ始る事にした。
食べ始めてから少し経ち、本題に入る事にする。
ただ・・・毎回酒場で命のかかった事の話をするのはどうなんだろうか。通常の狩りに行く時の話しをしたとしても命はかかっているが、今回のは普通の狩りじゃないからな。
もうちょっと落ち着いたところで話をしたいのだが、この人数が入れる場所が中々ない。ギルドの応接室も全然足らないし、全員で立って話せば良いかね。
今度ギルドマスターに会う時に、そういった話すのに適した場所がないか聞いてみよう。今後は今回のザケン討伐に関して、話し合う事が多くなるからな。
適した場所がなければ・・・・・・仕方が無いので青空集会だな。
ザケン討伐の依頼を受けた事を皆へ伝え、聞きたい事を話し始める事にした。
「明後日の夕方頃迄には一人ずつ聞かせて欲しいんだけど、今回のザケン討伐で討伐に適した人数、職業、PT編成について考えて欲しい。もちろん得手不得手があるだろうから、最終的には俺に任せるとかでも良いけれど、一度は考えていて欲しい。あの洞窟内で討伐隊が分断されたり、俺が動けなくなったりとか、そういう事も考えられるからいざって時の為にも考察だけはお願いするね。そんな時は無い方が良いけど、備えあれば患いなしって言うからね」
万が一俺が死んだり、討伐隊が分断してしまったりしたら、その場にいるメンツでPTの再編成を行わないといけない。そんな時にどうしようって考え込むような時間はないだろうし、全員あらかじめ考えておかないとね。
「ハガネさんがいるんだから、大丈夫に決まってます!」
「ハクさん・・・もちろんそうですけど、念の為ですよ」
ハクは相変わらずだが、慎重派のレナに窘められている。
セラとギンナルも話に参加する。
「我々だけで19名、ジャンヌ、イル、ベーシュ、クロウ以外の戦乙女の連中を呼んで5名追加。それだけでも24名だがもっといるのか?」
「私直接戦闘したけど、オルフェンと強さは変わらないか、それ以上な気がしたよ。スタンアタック、ドライアードツールが効かない訳じゃないから、もしかしたら戦いやすいのかもしれないけど、場所が良くないかも。どんなに人数を集めたって同時に戦えるのは・・・もう少し広い場所があったとしても40人~50人ぐらいが限界じゃないかな。本当はもっと大人数で行って、オルフェンの時みたいに戦闘PTの入れ替えとかしたいけど・・・」
そうなんだよなぁ。如何せん場所が洞窟って事もあり、単純に狭い。直接戦闘に絡めるのは1PTフルの9名で3~4PTが限界かな。前後にもう1~2PTを配置して、ヒールだったりエンチャントの補助をしてもらったり・・・後、出来ればゾンビと木人形を排除するPTも欲しいな。
ザケンと戦いながら、木人形の家族を同時に相手はしたくない。と言うか、出来ない。
「それなら外へ連れ出しちゃえばいいのです!足の速くて攻撃が避けれるワニさん、防御力が高いセラさん、ジャンヌさん、スカーレットさんとかなら外までいけないですか?」
「リリのアイデアは悪くない。洞窟の外であればもっと大人数で戦えるだろう。だが外へ連れ出して万が一逃げ出したら・・・海を渡れるのか分からないが、町へ行かれたらそれこそ大惨事だ」
「私はあのザケンがザイオース城下町に入ってくるところなど、想像したくないし見たくない。お父様も民も全員殺されるとしか思えないですから」
リリのアイデアをスカーレットとラナが否定する。確かに外へ連れ出せれば大人数で戦えるから、討伐確率は上がるだろう。
だがオルフェンの時とは違い、ザケンはつい最近に現れたと思われる。行動パターンも全く分からない状況だ。急に出てきたら困るから、早く討伐したいのだ。
あんな奴が海を渡ったら・・・その時は凄惨な未来しか想像出来ない。
「私はあの狭さで人数が居たらおもいっきり魔法が使えないな。足元に海水があるのは水魔法系が使いやすくて良いけど、ファイターの人達は動き辛いでしょ?ザケンはなんか浮かんでるから影響なさそうだったし、こっちだけ不利になるのはちょっと嫌だな。もっと広い場所を一回探しに行く?」
「リカさんが今言ってくれたんですけど、足場が悪いと正直踊りにくいと思います。広い場所は探したいですけど、また探索班を―――今度は人数を増やして行くとしても、そのザケンというのに遭遇したら大丈夫なんですか。ハガネさん達が撤退しなきゃならない相手で、オルフェンより強そうって言われるとちょっと怖いと思っちゃいます」
それも確かに困る。予め戦いやすい場所、足場が良くて広い場所を探すにしても、悪魔の島にはザケンが既に存在する。仮にこの19名で探索に入れば、そう易々とは全滅しないだろう。
だけど、場所を探すだけで何名か死んでしまう事も十分考えられる。あの時はギンナルのドライアードツールが決まってくれたから逃げられたけど、また無事に全員逃げられるかと言われればそれは難しいだろう。
とは言え、最低限足場の良い所を確保したい。リリのアイデアを生かして、入口付近までひっぱってくるか?
ただ、洞窟へ入ってから足元が海水になる迄の間には、広い場所などなかったよな・・・。足場をとるか広さを確保する為に、危険だが良い場所を事前に探しに行くか。
この後も酒場が閉店する迄各々意見を出し合ったが、まだこれといった作戦は確定しなかった。
数名とは言え募集するのは必須なので、それが集まる迄には時間がある。それまで精々考えるとしますかね。
後、酒場でやっていると後半どうしても酔っ払いだらけになり、やはりだめだな。
ハクは寝てしまうし、セラとミラはこっちを見ていた男の冒険者達に絡まれに行ってしまうし、話し合いが出来なくなってくる。
次はやはり青空の下で、昼間にやろう。そんな事をハクを起こしながら、密かに決意した。




