陽の下へ
「ハク・・・お迎えありがとう。皆もこんな危険な所迄来てくれて、ありがとうね」
「ハガネさんっ!ハガネさんですねっ!!もうこんな所迄戻って来てたんですね!流石ですっ!ほらっやっぱり無事だったじゃないですか!冒険者さん、この人がハガネさんですよ!絶対大丈夫だって言ったじゃないですか!こうやって元気一杯・・・元気一杯ではないみたいですけど、無事ですよ!これが伯爵でありAランク冒険者で盟主のハガネさんです!久々にお会いしましたけど、やっぱり格好いいです!この強さと頼りがいがあるから、ザイオース城下町もドール城下町もハガネさんを頼ってくるのです!皆ハガネさんを頼って仕方がないですよねぇ。でもその気持ちは分かります。私もいつも頼っちゃうし、大好きですから!今回ハガネさんの指示ですからもちろん従いますし信じていますけど、まさか私とPTを別れて行ってしまうとは思いませんでした。本当なら断りたかったですけど、この状況ですし、結果戻って来てくれているんだから、やっぱりハガネさんのPT分けは正しかったのでしょう。その先見性は素晴らしいと思います!でも・・・・・・でも、何でセラさんとだけそんなにべったりくっついているのでしょう?私が居ない間にセラさんともっと仲良くなったのでしょうか?他の人達はそれで良いんですか?リカさんがいるのに、何故こんな状況を許しているのでしょう。ギンナルさんも同じプロフィットでありながら、私ではなくギンナルさんを連れて行ってもらったのに、何故許しているのでしょう?セラさん・・・セラさんはソードシンガーで対人戦もお強いから、私じゃ倒せないですよね。でも・・・寝ている時はどうでしょう。寝ている時なら私でもいけますよね?私だけじゃ確実じゃないですかね。火力が欲しいですね。まずはミラさんとリースさん、それにベーシュさんにも協力してもらいましょう。短剣職が三人でブローすれば・・・。そうだ、それにリカさんとラナさんの魔法もあれば!歌はセラさんからもらえないから、ディムさんを連れて行って踊りをしてもらって・・・。それとユイさんにエンパワーを入れてもらえば!今この状況を許しちゃってる人達にはせめて協力してもらわないとだし。セラさんの事は大好きですけど、今後いつも私達を差し置いてべったりくっつく事を私は許せないと思います。それなら・・・それならいっそ今晩早いうちに・・・・・・」
「待った待った。ハク、ちょっと落ち着こうか」
俺の無事を信じてはくれていたけど、やっぱりハクも不安で一杯だったんだろうな。俺を見つけた事で、その不安から解放されて、また暴走しだしてしまった。他の方々の手前もあり、止めさせてはもらったけどよっぽど不安だったんだろうな。申し訳なかったと思う。
何とか自力で戻って来たかったけど、体調不良にもしPTメンバーの誰もなってなかったとしても、自力で帰還は厳しかっただろうな。船長との遭遇こそなかったけど、あれだけ魔物が立て続けに出現する様になっていたら5人では難しい。救出班が居てくれたからこそ、ここ迄帰って来れたのだと。あの時袋小路で救助を待つ判断をしたのは、結果だけ見れば正しかった事だと言えるかな。
「セラに肩を借りているのは隊列上都合がいい事と、俺の調子が良くない為から助けてもらっているだけだよ。セラだけを優遇したとかじゃないし、ただくっついてる訳じゃないんだよ」
と説明を入れて、血盟内での殺し合いが起きない様にした。本気でやりかねない目をしていてちょっと怖い。やっぱり別PTで動く事に関しては理解はしてくれていたけど、納得迄はしてくれてなかったか。
なのに・・・セラは何故か嬉しそうにしていた。
「おぉ、ハクと戦えるのか!今までハクとは戦った事がなかったが、ハガネとの付き合いは一番長いから、やっぱりハクも強いのか!腕がなるぞ。それにミラ達迄来るのか。UDも使って良いか?でもリカとラナの魔法使いが2人居るとなると、動けなくなるのは良くないな。どうしようかな」
何故戦うのが前提になっているんだ・・・言っておくけど摸擬戦じゃないと思うぞ。ハクは本気でやるつもりだぞ。それに他の人まで巻き込むんじゃない。それとハクは接近戦何てしないぞ。やるとしても本人が言う様に寝込みを襲うか、人を使うか、毒殺するか・・・。そんなところは見たくない。
俺はセラの肩から腕をどかし、何とか自分で立つ。が、やはりふらついてしまった。そうしたところ、まるで近接職の様な素早さでハクが近づいて来て、俺の肩を支えてくれる。
「ありがとう、ハク。暫く・・・お願いしても良いかな?」
「はい!!」
良かった、ハクの機嫌が良くなってくれて・・・。これで内部抗争みたいな事が起きずにすみそうだ。近くにいるリカとリースとディムがハクとベタベタしているのを見て、多少ジト目になっているのは御愛嬌だろう。そう思っておこう。
何にせよこれで安心して入口迄戻れるな。もう目と鼻の先だろうし、フルメンバーが揃ったし、その上冒険者と兵士の方々迄いてくれるから安心だ。ここからはハクの肩を借りて歩かせてもらおう。俺と離れたセラは残念そうな顔を・・・してないな。
何なら最前線に立ってもらう話しをしたので、満面の笑みになっている。だけどね、セラさんや。残念ながら入口方面は、今ハク達が入って来る時に魔物は殲滅してるだろうからゾンビとかきっといないぞ。救助する為に向かって来てくれているから、途中には魔物を残してこないだろう。
嬉しそうだから、セラには伝えないでおくけど。
その後予想通り魔物は全然出て来ず、全員で陽の下へ出る事が出来た。お天道様が非常に眩しい。眩しいのと、皆が欠けずに出てくる事が出来て涙が滲みそうになる。皆同じ様に喜んでくれているな。ただ1人、最前線に立ったにも関わらず1度も戦闘がなく消化不良になっているソードシンガーはいるが、それは良いとしよう。
まずは全員生存出来た事を喜び、船に乗ってドール城下町へ報告へ戻ろう。今後の事も踏まえて、ギルドと良く話しておかないとな。今後の悪魔の島での狩りをどうするのか。ドール城下町内~ここに至る迄の盗賊や海賊をどうするのか。
ハクから話を聞いたら、道中盗賊達だけではなくPKPTにまで襲われたとの事。ミラとディムにも一緒に行ってもらって本当に良かった・・・。
もしうちの血盟員に何かあったら・・・その原因をつくった奴をただ殺すだけなど生易しい事はしない。殺してくれと泣いて頼もうがどうしようが俺が許す事はないだろう。ミラにサクッと殺してもらえた事を感謝すると良い。
悪魔の島の船長をどうするのか・・・俺が決める事ではないけど、気になるところではあるな。




