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救出班と探索班

 地面に手をつき口から血を吐いていると、ゾンビの不規則な足音が近づいてくる。この状況でどうやって死なずに済むか考えてみるが、中々良い手は思いつかない。このまま嬲り殺される未来しか見えて来ないな。


 だとしても、抵抗せずやられる訳にもいかないので、せめて顔だけは上げてゾンビを見る。もうすぐそこにいた。それと腕を振り上げて、俺の頭に落とす予定の様だ。避けたいが・・・身体が言う事を聞いてくれない。


 直撃を受けたら地面に叩きつけられて、そのまま殺されるな。せめてこいつだけは倒しておいて、奥に居る皆が少しでも助かる方向にしておきたい。しかし手も上がらないし、魔力はない。ダメかな・・・。



 諦めたその時に、風切り音が聞こえた。その後ゾンビの側頭部と肩に矢が3本生えていた。



 おぉ・・・ワニとハンナ、クロウの矢だな。間に合ってくれたのか・・・。



 目の前にいたゾンビがたたらを踏んで、少し俺との距離が空く。そうすると凛とした声が聞こえて、ゾンビの足元の海水が盛り上がり、凍り付かせた。リカの魔法だね。


 いつの間にかゾンビの背後に綺麗なエルフが現れ、短剣を背後からゾンビへ突き刺した。リースは相変わらず気配を殺すのが上手いなぁ。


 かと思えば暖かい光に包まれ、今まで体中が痛かったのが噓の様に無くなっている。ユイがヒールをしてくれたのが分かる。



「ハガネ!やはり生きていたんだな!当然だな!」



 セラの元気いっぱいな声が聞こえてきた。ジャンヌの姿も見える。2人とも結構ボロボロになっているじゃないか。ここに来るまで大変だったんだな。



「皆・・・大丈夫ですか?」


「それはこっちのセリフだよ、はーさん。なんで1人でそんなにボロボロに・・・」



 リカから心配した声が聞こえてくる。俺は皆が袋小路の奥に居て、体調不良になってしまった為休んでもらっている事、2日ほど1人でここに居た事を告げた。



「相変わらず無茶をするね、ハガネさんは。肩を貸すから早く皆に合流しよ」



 リースに肩を貸してもらい、久々に奥へ戻る。皆無事だろうか・・・。魔物は通してなかったが、こんなところで熱が引かなかったら命の危険もある。だが、それは杞憂だったようだ。



「ハガネさん!!やっぱり無茶してたんですね・・・こちらはお陰様で無事ですよ。ありがとうございます。救出班の皆さんもここ迄来てくれて、ありがとうございます」



 目に涙を浮かべながらギンナルがお礼を伝えて来る。余計な心配をかけてしまっていた様で、申し訳ない気持ちになるな。でも、元気になってくれた様で何よりだ。



「皆さま御無事で何よりです。ハガネさんに少し休んでもらったら、皆で外へ戻りましょう」


「はいです!やっとここから出れて嬉しいです!」



 ワニが皆へ声をかけ、それにリリミアが返答する。やっと出れて嬉しいのは、救出班の皆もだろうな。早く帰らないとハクが心配して怒っていそうだ。というか、間違いなく怒られるだろうな・・・。ハク達もドール城下町へ報告に行って、きっと外に戻って来ているはずだ。


 折れた骨や傷ついた内臓などはユイの魔法で治っているが、如何せん無茶をしすぎた。血は足りない、寝てない、飯も食べてないで絶不調になっている。先ほど迄は気を張っていたから立っていられたが、皆に会って気が抜けてしまった。リースに支えてもらっていないと、倒れてしまいそうだ。


 こんなところに長いは無用だが、2時間程休憩させてもらった。ギンナルに膝枕をしてもらったところ、直ぐに意識を手放し眠りに落ちた。




 目を開けると、探索班の皆が俺を囲む様に休んでいた。



「ハガネさん、気分はどう?」


「寝心地が良かったから、とても良い気分だよギンナル」



 ギンナルにお礼を伝え、身体を起こす。遠くから戦闘の音が聞こえてくるから、ここに居ないワニ達が入口で戦ってくれているんだな。早く外へ出ないと。


 立ち上がるとまだ足元がおぼつかない。全快には程遠いが、魔力はちゃんと回復しているのが分かる。



「まだ無理ですよ!帰りは何もしなくていいので、また誰かに支えてもらうです」


「それが良いわね。ワニ達にハガネが起きた事を伝えて来て」


「はい、伝えて参ります」



 ラナに言われスカーレットが入口の方へ向かって行く。情けない限りだが、今回は甘えさせてもらおう。


 ワニ達が居れば外に出るのは問題なく出来ると思うが、問題は船長だな・・・。いくら救出班が居るとは言え、足手まといの俺もいるし、皆も2日以上ちゃんと休めていない状態だ。倒して外に出るのは難しいだろう。出来れば遭遇せずに外迄行きたいけど、注意するも何も何処に居るか分からんからなぁ。


 リースとベーシュに先行してもらい索敵して、万が一船長が居たらその方向には向かわない。という事も出来なくはないが、それでは外に出れない。遭遇したとしても何とか通り抜けて逃げるしかないな。レクエイムをまた試しても良いが、絶対効く訳じゃないし使いつつ外へ逃げれる様に上手く動くしか思いつかない。



「ギンナル、リリ、それにラナ・・・数日不安な思いをさせてごめんね。外へ行こう」



 皆笑顔で頷いてくれた。一先ずギンナルに肩を借りて、袋小路から出る。



 入口ではスカーレットから話を聞いた救出班が、移動準備を整えていた。その上で誰が俺を支えて外へ出るかで・・・揉めていた。


 ありがたい事に支えたくないから、誰かやって!で揉めているのではなく、私が支える!と候補者が多く揉めていた。幸せな事だがそんな事をしている場合じゃないぞ。ほら、ワニの婚約者達が呆れて見ているぞ。早くここを出ないとだから、こっちで勝手に決めさせてもらう事にした・・・。



 それぞれ役割があるので、戦闘から外して良い人物など居ないのだが、色々考慮した結果セラに頼む事にした。セラは意外そうな顔をしながらも、ハガネは私が一番好きなのだな!とか危ない発言をしてくれた。


 それを聞いた他の人達の目が怖いので、言い訳をさせてもらった。



「先頭にジャンヌ、最後尾にスカーレットを配置して、役に立たない俺は隊列の真ん中にいさせて欲しい。何かあった場合、前後どちらでも動ける様にセラにも真ん中に居て欲しいから、そのついでに俺を支えてくれたら助かる」



 それを聞いて少しだけ皆の目つきが柔らかくなったが、セラがやっぱり私を好きなのか~♪とか普段しない様な乙女の顔で良くない発言を繰り返している為、あまり効果はなかった様だ。


 早いところ外へ出よう。

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