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ダンジョンには安全地帯が必要だと思います

 この袋小路に船長から命からがら逃げだして、あれからどれぐらい経ったかな。1日・・・いや2日は経ってるかな。正直もう時間の感覚がおかしい。


 あの状態でまた船長に遭遇する危険を考えると、とてもこのメンバーだけで外に出られるとは思えなかった。だから、救出班が―――ワニ達が来てくれる事を信じて俺達はここで耐え忍ぶ事にした。その選択肢が正しかったのか、間違っていたのか・・・まだ正解は分かっていない。


 正しいと分かるのは救出班に会えた時だろうし、間違っていたのが分かるタイミングは全滅した後だろう。今は不安を抱えていても仕方が無いので、皆で生き残る事だけを考えよう。


 ふらつく身体と考えの纏まらない頭で、ここへ着いた時を思いだす。







~2日程前~



「まずは各自休憩して回復をしておこう。今後の事を話すのはそれからだ」



 到着してここに残る決断を宣言した後に、皆へ回復する様に伝え自分も休む事にした。流石に疲れた・・・あれはレイドボスだよな、間違いなく。周辺の魔物と強さが桁違い過ぎる。特定の場所に行くと戦闘になるオルフェンと違って、徘徊するレイドボスなんだろうな。


 この場所が絶対安全とはとても言えないし、ここに来られてしまったら逃げ場がない。だが、通路でうろうろしているのが基本だと考えられるので、袋小路のここには来ない。で、欲しいと言うのが俺の希望だ。


 出口に向かって進んでいる時に、木人形達と戦っている背後から襲われたらたまらないのもある。ここであれば、せめて目視した状態からの戦闘になるので少しは時間が稼げるはずだ。



「それにしてもギンナルさんは凄いです!良くエンパワー(魔力向上)のエンチャントが無いのに、あんな強そうな魔物へドライアードツールをかけられましたね!」


「リリの言う通りです。私のスリープも全く効かなかったのに、凄い気迫でしたわ」


「あの時は必死で・・・決められなかったら、ハガネさんがまた死にそうになっちゃうと思って」


「愛の力なのですね!ギンナルさんとハガネさんはラブラブです!」



 確かにギンナルが決めてくれなければ、再びあの船長と1対1で戦う羽目になっただろうし。ラナのスリープが効かなくて、ギンナルのドライアードツールが効いたのは運もあると思うが。



「なにっ!ラナ姫様の愛情がギンナルに劣ってると言うのか!ラナ様、リリにそんな事はないと証明してください!」


「スカーレット・・・貴方が今一番酷い怪我なのだから、まずは休みなさい」



 リリミアの言葉に対して怒っていたスカーレットをラナが窘める。スカーレットはラナの事になるとすぐ怒るからな。それでこそ騎士なのか?騎士を目指していた戦闘狂のソードシンガーにも見習って欲しいものだ。


 もしラナが暴漢に襲われそうになったらスカーレットは激怒してラナを守るだろう。仮に俺が暴漢に襲われそうになったら、あの戦闘狂は見学して良いか聞いてくるか、一緒に戦わせてくれとお願いしてくるか・・・・・・まぁ俺とセラは婚約者であって主従関係な訳ではないが、嬉々として旦那候補を戦わせるのはどうなんだろうか。


 でもそんな話をハクとかにすると、セラ、ミラ、ジャンヌ達なんかは、全員ハガネさんの悪影響ですよ!!と俺が怒られる事になる。俺は確かに接近戦は好きだ。ただ、喜んで殴ったりする訳じゃないぞ。基本的には平和主義だ。だが、身内に害のある時や相手が盗賊だと遠慮なく色々な技や動きが試せるので、喜んでいる場合もある事はあるけども。




 各々血と言うか、ゾンビの体液?みたいなものが身体についている為、まずはそれを落とし少し仮眠をとる事にした。せめて少しでもすっきりしてから寝たいところだが、いかんせん真水は貴重だ。これがなくなると救出班を待たずに死ぬ事になってしまう。


 足元には戦闘中だと邪魔なだけの海水がいくらでもあるので、それを使って少し身体を綺麗にする事は出来た。だが所詮は海水だ。ゾンビの体液と汗は落とせても、海水で身体はべとべとするし、髪はきしんでいる。ドール城下町に帰ったら、大浴場に必ずいくとしよう。


 俺はまだいいけど、髪の長い女性陣は大変だろうな。早く町へ戻りたいものだ。




 交代で見張りを出して休憩する事にした。最初は俺1人で3時間程。その後はギンナルとリリミア、最後にラナとスカーレットの順番で見張りに立つ。


 ゾンビが1匹位なら見張りだけで対処は出来るが、それ以上に来ると安全に倒すのは難しくなるので、結局休憩中の人も起こさないといけない。先ほど1匹だけゾンビが来たので、皆を起こさない様にと周りの魔物を引き付けない様に、なるべく音を出さない様に注意し速やかに倒す事にした。




 出来る限りこの袋小路の方へ引き込み、まずは顎を掌底で打ち抜きその勢いのまま、膝上あたりに蹴りを落としバランスを崩したところで相手の頭を抱え込みこめかみへ膝を入れて、無防備になった水月へ突きをねじ込み、体内でオーラバーンを放った。


 これで倒せれば楽なのだが、やはり体力が多いのか死んではくれなかった。その後も2分程攻撃を続け、漸く光となって消えてくれた。


 これ2匹同時に来たらやっぱり厳しいな。攻撃をよけながらでも何とか出来るだろうけど、音を抑えて戦うといった事迄気を回すのは難しそうだ。対アンデット魔法のDU(ディスプラトアンデット)も使っているからこの位の時間で倒せているが、魔力を枯渇させる訳にはいかないしどうしたもんかね。


 ゾンビは人型ではあるものの、急所への攻撃の有用性がいまいちって感じがする。2足歩行だからバランスを崩して反撃を受けない様にするのは出来ても、目つきを入れても痛がって攻撃してこなくなる事はないし、目が見えなくなって弱体化してるかも若干怪しい。どうしたもんかね。




 その後トータルで3匹程倒し、ギンナル達と見張りを交代して休憩する事にした。2人にはゾンビが1匹以上来たら、必ず全員を起こす様に伝えておいた。まぁ2人ならギンナルのエンチャントがあるし、リリミアのスタンアタックもあるから大丈夫だとは思うけど、無理をしない様に念押しをしておいた。


 思いの外魔物がここ迄来てしまうが対処できない程の頻度ではないので、改めてここで救援を待つ事を選んで良かったかなと思い、瞼を閉じて眠る事にした。




 あれから6時間程経ったのか、ラナに起こされて自分が深く眠っていた事に気が付いた。やはり疲労が溜まっていたのだろう。起こされて2人にヒールが必要か確認したが、スカーレットは自己ヒールで平気な程しかダメージは受けておらず、ラナの魔法で速攻倒せた為被害はほぼ無かった様だ。


 3時間の間に襲ってきたゾンビは2匹しかいなかったそうで、この調子なら救出班が来るまでは大丈夫だと思えた。船長が来なければだけどな。


 船長単体でも全滅する可能性が大きいが、あいつが現れる時は周りのゾンビや木人形迄増えるから、間違いなく全滅になってしまいそうだ。そうならない事を願おう。



「2人ともありがとう。このまま交代して、また休憩をしよう。起きててもやる事がないし、いざって時に身体が動かせないと困るからね」


「わかったわ。ならお言葉に甘えて休ませてもらうわね。スカーレット、あっちでまた寝ましょう」



 少しだけ高い位置があり、海水に浸かってないスペースが俺達の休憩場所だ。海水に浸かったままにならなくて済んで良かったと思う。流石に身体が冷えてしまうからな。


 ワニ達なら平気だと思うが、無事にここ迄来てくれるとありがたいな。



 再度袋小路の入口へ立ち、見張りを再開する事にした。

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