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討伐準備、そして伝説へ・・・。

 全然伝説になんてなってないし、英雄なんて呼ばれるほどのことはないんだけどね、実際。ただ、まぁ、ノリで言っただけのことだし。


 オルフェン討伐部隊の募集を始めたんだけど、もう完全にダメだと思った。まったく応募がないんだ。これがまた、全然どうにもならない。だって、倒せるかもわからないレイドボスのオルフェン討伐だよ? 募集内容をそのまま言うと、「死ぬかもしれないけど、一緒に倒しに行こう!」ってことになるわけで、誰がそんな不安だらけの冒険に参加するかって話だ。だいたい、報酬のレアドロップが確定して手に入るとも言えないし、死なない保証もない。最初から積んでるようなもんだよな。


 誰一人応募してくれなかった。知り合いのメンバーがちょっと入ってくれて、血盟《義を見てせざるは》を作ったものの、一般からの応募は全然来なくてさ。いや、最初からわかってはいたけど、正直、ちょっと心が折れそうになったよ。


 そんな中、レベル上げしてるときにジャンヌ率いる戦乙女たちが参加してくれることになった。訓練場で偶然出会ったアビスウォーカーのミラや、酒場で声をかけた(決してナンパじゃないんだよ?)プレインズウォーカーのリースも入ってくれて、冒険者ギルドの受付嬢だったビショップのレナと、ホークアイのハンナも血盟に参加してくれた。少しずつ仲間が集まり始めたけど、それでも最初は全然進展が見えなかった。


 そんな時、婚約者が増えるという奇妙な展開が待っていた。


 元々、ハク、セラ、リカ、ディムの4人とはすでに婚約者関係になっていたんだけど、討伐部隊を募っている最中にユイ、ミラ、リースの3人とも婚約者になっちゃった。え、何が起こったんだよって感じだけど、まさかこんな展開になるとは思ってもみなかった。


 前世じゃ結婚すらしてなかったのに、どうしてこんなことになったのかと自分でも思ったよ。なんか、必死に討伐部隊を募ってるときに、ふと「これはもう何かが変わる予感がする」みたいな感じがしてさ。でも、結局嬉しかったんだよな。これで死ねない理由が増えたってのもあったし、少なくとも勝つためにはこれで頑張らなきゃって気持ちが強くなったんだろう。


 その後、冒険者ギルドに協力してもらいながら募集を続けてたけど、どうにもこうにも全然応募が来なくて、正直「これは無理かな?」と思っていた。そんな矢先、クルマーの塔で一緒にPTを組んだギンナルさんが、なんと60人もの人を連れて駆けつけてくれたんだ。このおかげで、なんとか討伐部隊が形になったんだ。ギンナルさんには本当に感謝してる。


 同じくクルマーの塔で出会ったリリミアさんやクリスさん、そしてケイトやラウラも参加してくれて、あの時のPT狩りがこんな形で意味を持つとは、感慨深かった。サラとソフィアとも再会できて、最終的に100人もの大人数が集まったんだ。冒険者ギルドからは協力してもらい、馬車や御者、お手伝いの人たちが集まり、いよいよオルフェン討伐に向けて準備が整った。



 討伐の詳細は省くけど、なぜか最後はヒーラーである俺がオルフェンと一対一で戦い、死にかけながらもなんとか倒すことができた。その結果として英雄だなんて言われたり、伯爵に任命されたり、姫様と婚約することになったり――もう、色々なことが起きたんだよな。


 討伐後、町に帰還して王様や姫様と会って、結果的に姫騎士までが俺の婚約者に加わった。言ってる自分が何を言ってるのか、よくわからなかったけど、現実になってしまった。


 ザイオースの姫、ラナと、その護衛をしている姫騎士スカーレットが新たに婚約者として血盟に加わり、ついに婚約者が9人になった。正直、このままじゃまともな人間には戻れない気がしていた。


 それでも、婚約者たちは「もっと増えるんじゃないか?」なんて言ってきたけど、さすがにこれ以上はないだろうと思っていた。でも、それは甘かった。討伐から3ヶ月間で、さらに三人の婚約者が増えた。何故だ。


 新たに加わったのは、プロフィットのギンナル、バウンティーハンターのリリミア、そしてテンプルナイトのジャンヌだ。さらに、婚約者に初のドワっ娘が加わり、ますます状況は混沌としてきた。


 本当は戦乙女たちの後にさらに5人も婚約者が増えるなんて話もあったけど、それはさすがに無理だと伝えた。すると、彼女たちは「良くなるまで待つ」と言い切っていた。どうしてそんな未来が来るのか、全然想像できなかったけど、本人たちは絶対にそうすると言い張っていたので、もう何も言わなかった。


 そんな中、ワニもまた戦乙女たちのワニ推し3人と婚約し、ついに5人の婚約者を得た。俺と一緒に「ハーレム野郎」だの「たらし」だのと言われてくれれば良いのだけど、何故かワニはそう呼ばれない。なんでだよって思うけど、どうにもならないからその辺は諦めた。


 だって、ワニもまたハーレム野郎になってくれたら、俺が目立たなくなるかもしれないじゃないか。そんな淡い期待を持ってみたりもしたけど、結局それが叶うことはなかった。



 それにしても、ラナとスカーレット、ギンナル、リリミア、ジャンヌなどが婚約者になり、その他にも数名の女性が加わったおかげで、人数上限に達してしまった。仕方ないから、血盟レベルを上げるために盗賊狩りをして、訓練場でセラたちと遊びながら、あっという間にこの3ヶ月が過ぎていった。


 正直言って、好きな人たちと好きなことをしている今の状況は本当に幸せだ。けれど、それでもやっぱり旅に出たいという気持ちが強くて、そんなわけで伯爵という地位を受けておきながらも、領地は持たないことにした。今の生活だと、ほぼニートみたいなもんだし。


 ハクたちが決めたルールに従ってデートを重ね、今では婚約者たちに身も心も捧げているわけだが、まぁ、正直最高だ。これ以上望むものはないかもしれないけど、このままだとなんだか物足りなくて、まだ見ぬ世界を探しに行きたくなってきた。



 それで、ついに決心した。この幸せな空間から旅立つことにしたんだ。


 ただ、今ではだいぶ大所帯になってしまって、みんなで一緒に旅をするのは難しそうだ。馬車や宿を確保するだけで大変だし、食堂でみんな一緒に座るのも不可能に近い。


 狩りに出るにも、適正狩場で3PTとか普通に無理だし、行けるとしても2PT=18名くらいが限界だろう。加えて、王様からもらった50名規模のクランハウスの維持管理があるから、誰かは残らないといけない。


 そのため、誰を選ぶかをみんなで相談したんだけど……案の定、大変なことになった。

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