救出班の奮闘
《ワイルド・ニート・ニーベルング視点》
あれから半日ほど進んで休憩をとる事にしました。魔物との遭遇頻度が高い上に、1度に出てくる量が多くスキルを節約しながら戦っている為、倒すのに時間が掛かって思う様に進めておりません。皆少し焦ってるように感じます。
「ちょっと戦闘時間が長くて進みが悪いから嫌になるな。背後からも結構魔物が来るし、油断出来ないよ」
「ジャンヌさんとワニさん、それにベーシュさんがちゃんと後ろを見てくれているお陰で、今のところは大丈夫だけどね。私はもっと魔法を使って早く倒したいって思っちゃうからモヤモヤしてる」
ジャンヌさんとリカさんが今日のここ迄を振り返っている。2人の言う様に今まで行った事のある狩場の中でも断トツに魔物との遭遇率が高く戦闘時間が長いですね。この状態で探索班の5人しか居ないPTでまだ奥に進めているのは正直驚きです。
この魔物が多い状態でしたらハガネさんはもっと早くに引き返す選択肢を選んでいる様な・・・。
もしかしたら何か魔物が増える原因があって、探索班が進んでいた時にはここ迄魔物は出て来なかったんじゃないでしょうか。奥まで進んだ上で何かがあり、魔物も増えて引き返せなくなってしまったと考えるのが妥当な気がしてきました。
という事は、現状の戦闘頻度を考えると、どんどん魔物が増えた原因に近づけているのかもしれませんね。その原因とは一体何なのでしょうか・・・。考えても答えなど今は出ないでしょうが、やはり気になりますね。
そんな事を考えていると、少しずつ不安が押し寄せてきましたが信じて迎えに行きましょう。
その後は見張りを立てて、順番に休憩・仮眠を行いました。
休憩が終わり再び救出へ向かいだします。相変わらず魔物との戦闘は激しく、進む距離が伸びません。多分ハガネさんは休憩含め1日半位進んだ場所か、そこから少し戻って来ている場所にいるはずです。少なくとも今日中には会えるはずですが・・・。
少しずつでも着実に進んでいましたが、ここへ来てゾンビが5~6体、木人形が3家族同時出現が当たり前になってきました。これは流石にきついですね。スキルを節約する程の余裕はなく1、2回戦闘を行う度にMP休憩が必要になってきてしまいました。
この状況下で魔物が増加した原因に接触するのは恐ろしいですね。
「ゾンビはブロー系の技が良く当たるから今の速度で倒せているけど、木人形は背が低くて決まりにくくて時間がかかっちゃう」
「分かります。その点イルのスタンは良く決まって良いですね。背の高さも同じぐらいですし・・・」
「あ。ベーシュ酷い!私の方が木人形より大きいからっ!クロウもそう思うでしょ!」
「・・・そうですね」
プレインズウォーカーの2人、リースさんとベーシュさんが短剣のスキルが当たり辛いと嘆いていますね。元々決まりにくい上に、あの低さの敵では辛いでしょうね。ついでに貶められたイルさんが怒ってますが、クロウさんは我関せずと。
私やファントムレンジャーのクロウさんも、的が小さい分矢を当て辛いというのはあります。ちょこちょこ動きますし、今は弓と短剣を半々位で使用していますが、やはり本職の短剣さん達に比べたらマスタリーの差分があるので攻撃力は劣ってしまいます。その分動きの遅いゾンビには当て放題ですが。
これ以上この状況が続くといくらセラさんでもダメージが蓄積して、ユイさんのヒール頻度が上がって魔力が枯渇してしまいますね。今はリチャージに回す分の余裕はないので、アタッカー含め魔力がカツカツです。休憩がどうしても増えてしまいます。
もうすぐハガネさん達に会えるはず・・・そう考えて進み続けていますが、未だに自分達と魔物以外の音や痕跡はありません。それに途中から足元に海水が溜まっており、少し動きにくい。ハガネさん達は今も戦闘を継続しているのでしょうか。
「ワニさん!後方から団体が来たぞ!」
ジャンヌさんから声がかかり、各自身構えます。
「ワニ!前方からもだ!こっちはイルとリースで抑えるから、リカは後ろを早めに倒してくれ!」
挟み撃ちは頂けないですね。セラさんからの声掛け通り、早めに後方の魔物を倒してしまいましょう。
「皆さん、スキル全開で。リカさんも頼みます」
「待ってました!最初に全部撃ち込んじゃうね!」
こんな状況なのにリカさんは全力で魔法を撃ち込めるのが嬉しい様です。頼もしい限りで。
さ、私も全開で行きましょう。
前後を魔物に挟まれてから大分時間はかかりましたが、何とか殲滅する事が出来ました。ただ、セラさんもジャンヌさんも大分被弾し、ユイさんのヒールがギリギリ追いついた・・・と、言った感じですね。
「ごめんなさい、少し長い時間休憩をお願いしたいな」
「もちろんだ。助かったぞ、ユイ。あの窪地で少し休憩をしよう。少し地面が高くなって水もないし、座って休憩しよう」
セラさんの声掛けと共に、皆移動して座り込む。流石に皆の顔にも疲労が見えてきますね。ここで暫く休憩して魔力回復が出来たら、一気に奥へ進みましょう。距離的にはもうハガネさん達探索班に追いついているはずですし、時間が経てば経つほど安否が気になります。
そんな事を考えていると、イルさんが声をかけてきました。
「・・・ワニ様。これ以上奥地へ進むのは、救出班も危険なのでは?魔物の数がいくらなんでも多すぎます。帰りの事を考えると厳しい様に感じます。もちろん探索班を助けに行かないとなのですが、このままだと二重遭難になってしまう気が」
「そうですねぇ・・・。もう少しだけ進んで様子を見ましょう。引き際は見極めますが、出来る事ならハガネさん達と外へ出たいですからね」
「はい、お供致します」
帰りも考えるとこれ以上奥地へ進むのは厳しいですからね。【義を見てせざるは】の血盟員フルメンバーならもっと奥まで行けるでしょうが、今のメンバーだけでは難しい様に思えます。
ハガネさん達は、本当にどうやって奥へ進んだのでしょうか。やはり最初は魔物がいなかったんですかねぇ。
なんにしても全員で外へ出れるよう、頑張りましょう。




