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助けるつもりが助けられ

「・・・さんっ!・・・・・・ハガネさん!!」



 意識が戻ってくる。最寄りの教会があるドール城下町で復活するものだと思っていたが、何故かギンナルが目の前に見える。おお、膝枕だな。これは幸せを嚙み締めないと。偶にはこういったご褒美が欲しいものだよ。それにしても顔が近い。覗き込むようにしており鼻先にギンナルの顔がある。


 ハクに負けず劣らず可愛いし、綺麗だ。いつもは常に笑顔なのだが、今は何故か泣き顔だな。ギンナルを泣かせた奴がいるなら、そいつを殴り飛ばさないとだな。



「どうしたの、ギンナル。誰かに何かされたの?」


「もうっ・・・何言ってるのハガネさん!貴方が死にかけていたからでしょ!!いつも無茶ばっかりするんだから・・・」



 ふむ、俺のせいですね。それは申し訳御座いません。なんで死にかけてたんだっけか・・・・・・そうか。船長はどうしたんだ。少なくても俺が膝枕で目覚められる状況という事は、ここに居るのはギンナルだけじゃないはずだ。



「何故戻ってきたんです?今頃は洞窟の外へ向かってるはずじゃ。それとアイツはどうなりました?」


「また敬語が出てるし・・・別に良いけどね。戻ってきたのはいつまで経ってもハガネさんが来ないからでしょ。アイツって船長の事だよね?今私以外の3人が引き付けてくれているよ」


「そうだったんですか、何とも恥ずかしい限りで。3人で抑えられていますか?」


「3人でダメそうな相手を1人で抑えたりしないでよっ!もう・・・。今はスカーレットが引き付けて逃げながら受けて、リリがスタンを入れたり、ラナがスローをかけたりで何とかなってるよ」


「そうですか。ありがとうございます」



 少しずつ意識がはっきりしてきた。俺は時間稼ぎの為に船長と戦っていたが、死を覚悟してそのまま意識が飛んでいたんだな。あそこ迄めった刺しにされたら、紙防御のヒーラーで生き残れる訳がない。


 それにしても逃げ受けして周りの補助があるとは言え、どの位の時間か分からないがスカーレットも大したもんだな。ラナは護衛が本職なだけあって護衛対象から引き離して、時間を稼ぐ事に対して上手くやれるもんだな。俺みたいに取り合えず戦って足止めとは大分違いがある。少し反省しよう。



 だとしても、回復魔法をかけてくれるメンバーが2人ともここに居たのでは、スカーレットの体力がいずれ尽きてしまう。俺の身体は痛みが大分無くなってる為、ギンナルが一生懸命ヒールしてくれたのだろう。そうなるとエンチャントをかけ直す時の魔力を考えると、もうギンナルにはヒールをさせずに俺がするべきだな。



「ギンナルは暫しMP休憩を。ヒールありがとうね。お陰で動ける様になったよ」


「そんな訳ないでしょ!本当に危ないところだったんだからね。私のヒールじゃなくて、本来だったらレナにヒールしてもらわなきゃ追いつかない状態だったよ。少し休んで自分にヒールする迄は動いちゃだめだからね」


「お気遣いに感謝。でも、ギンナルのヒールは良く効くから大丈夫」



 このまま膝枕で休んでいたい気持ちはあるがそうもいかない。俺は名残惜しい気持ちを押し込め、立ち上がる。正直血が足りず足元も定まらない。だが、そんなところを見せたら、また膝枕になってしまう。それもいいかなとは思う。


 だけどその間にスカーレット、リリミア、ラナが殺されたりしたら自分を許せそうにない。もう仲間を失うのはごめんだ。



 今度は俺1人ではなく、スカーレット達と協力して・・・・・・協力しても倒すのは無理だな。あれどう考えても普通の魔物じゃない。レイドボスじゃないのか?でも前世の記憶がどんどん消えている為自信はないが、悪魔の島にレイドなんていたっけな・・・。まぁそれはいい。


 問題はどうやって生き残るかだ。確かに5人そろって戦えば俺1人よりはるかに時間は稼げるだろう。だけどいつまで時間を稼げばいいんだ。ここに助けが来るとしたら―――ワニやセラの救出班だ。


 あのメンバーならなんの問題もなくここ迄は潜って来れる。それは間違いない。ただ今すぐに来てくれる訳じゃない。少なくても俺達探索班は半日進んで一度寝て、それから数時間奥へ進んできている。魔物が少ない状況で真っすぐここに向かってきてくれたとしても、1日はかかるはずだ。


 

 あの船長をいなしながら1日耐えるのは現実的ではないと思う。何とか距離を稼いで全員で生き残らないと。



「よし、行ってくるね」


「死なないでね」



 ギンナルが諦めた顔で見送ってくれる。いつも心配ばかりかけてごめんね。少しだけ待っててくれれば、3人を連れて戻ってくるからね。その時に船長もついてくるのは・・・ごめんなさい。




 定まらない足元のまま、戦闘音がする通路の奥へ向かう。本当なら音を立てずに不意打ちを入れて逃げたいが、くるぶしぐらい迄ある海水の為それも叶わない。


 仕方がないのでバシャバシャと音をたてつつ全力疾走する。正直身体がぐらついてしまい、真面に走れているとは思えない。血が抜けすぎてしまうとヒールでの回復は望めない。だから適正なタイミングでのヒールが本来は求められるが、今回に関しては死ぬ前にギンナルのヒールがもらえただけでも幸せだ。



 一応貫通した身体は塞がっているが、どうせすぐに風穴を開けられる気もする。まずはあの3人にヒールをしてそれからどうするかね。ドライアードツールが決まればその間に距離をおけさえすれば、タゲが外れて生還する事も可能とも考えられる。


 別にゲームじゃないのだから、レイドボス(かどうかはまだ分からないけど))には絶対に状態異常魔法、行動阻害魔法は通用しません。ってものでもない。そうではないのだが、だからと言ってバンバンそういった魔法が通用するかと言われれば否と答えざるを得ない。


 ギンナルのドライアードツールとラナのスリープを連打してもらい、それが効く迄は俺のDU(ディスプラトアンデット)とリリミアのスタンを連打し、スカーレットに抑えてもらう手も無くはない。


 ただ魔法抵抗力がレイドボスは高いというのはオルフェンで嫌と言うほど理解している。万が一決まらないまま魔力が尽きたら全滅待ったなしだ。本当に・・・どうしたもんかね。

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