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船長が強すぎると思います

 船長の背後で放射線状に浮いているサーベル6本が大きく広がる。今までは観音様の後ろのやつみたいに背中に隠れていたが、6本ともサーベルの手元まで見えるぐらい迄広がってきた。そのサーベルが傾き剣先が全てこちらへ向き直った。ビームとか飛んで来ないよね。


 俺は嫌な感じを覚えつつ、ミスリル杖を前面に出す。流石に右手に構えているサーベルと、こちらを刺そうとしている様に見える6本全ては捌く自信などないぞ。勘弁して頂きたいものだ。




 また音も無くこちらへ近寄ってきたので、カウンター狙いの為に足を開き沈み込み杖を身体の脇へ構え直す。後数歩分近寄ってきたら、相手の間合いに入りそうだ。先ほどよりもプレッシャーが上がっている為か、思わず杖を握る両手に力が入る。身長も剣武器の長さも相手の方がリーチがある為、こちらの間合いにはまだ入ってくれない。


 間合いに入って来て、攻撃が来た瞬間には前へ出てカウンターを放とうと考えていたが、想像していた間合いの外から攻撃を受ける事になってしまった。



 周りに浮いているサーベルが動いたと思った瞬間には、左の肩口が火傷をしたかの様に熱くなっていた。何とか来ると感じて身体を傾けはしたが避ける事は出来なかった。剣先をこちらに向けたまま、真っすぐに突き出された様だ。様だ・・・と言うのも正直見えていないから、そういった表現になってしまっている。


 痛っ・・・・・・いや、痛いどころじゃないな。完全に左肩を貫通され、何事もなかったようにサーベルは船長の周囲にある残り5本の所へ戻っていく。その剣先からは俺の血が滴っていた。


 これ6本がどんどん突き刺して来たら、あっと言う間死ぬんじゃないかな・・・・・・今だって避けてなければ喉元に突き刺さっていたと思われる。時間稼ぎにもまだ足りてないだろうし、どうしたもんかね。




 間合いはまだ俺の攻撃が届かず、浮遊しているサーベルなら届く距離だ。このままだと何も出来ないまま、串刺しになって終わってしまう。行きたくはないが・・・間合いの内側へ特攻するしかないかな。


 頭上で杖を回転させてから大きく一歩身体を沈ませながら踏み込む。自身も回転しつつ相手の脛目掛けて杖を叩きつける。避ける程の脅威を感じてないのか、反応出来ていないのか杖は船長の右足へ叩きつけられた。



 しかし、脛に喰らってるというのに当たっても反応はなく、右手のサーベルを俺の脳天目掛けて振りかぶった。普通に防いでも叩き潰されそうなので、相手の右側面へ右足で再度踏み込む。サーベルが振り下ろされたタイミングで無防備になっている船長の右わき腹へ、背後に向け杖を突き刺す。刺した杖を引きつつ右回転し、杖で顎をカチあげる。


 そのまま杖を真下へ下げ、相手の太ももへ突き刺す。突き刺した反対側で横っ面を引っ叩き、再度杖を回転させ肩口を強打する。


 少し距離が出来たタイミングで一歩踏み込み、相手の鳩尾を突こうとしたら踏み込んだ右足にサーベルが突き刺さり貫通していた。思わず左足で後方へ飛び退り距離をあけて再び対峙する。




 うん―――勝てる気がしない。普通あれだけ決まれば怯むなり、動きが鈍るなりするものだが全くと言っていい程反応が無い。ダメージが無い訳ではないだろうが、少なくても痛覚はなさそうだ。その上手痛い反撃迄受けてしまった。逃げるにしても大分苦しい状況になってしまったな。



 そんな俺の気持ちなどお構い無しに、無遠慮に船長は近づいて来て浮遊しているサーベルをまた突き出してくる。後方へ下がりつつ杖で受け流し何とか左足迄串刺しになるのは避けれたが、どうにも出来そうにない。ただ今度は一撃ではなく、そのまま再度近寄って来て結局は右肩を貫かれた。


 そろそろヒールをかけないと死んでしまいそうだが、とてもそんな時間をくれそうにもない。仕方なくじりじりと後退するが、相手もこちらへ進んでくる。そのまま距離を保っていると背中に冷たい岩の感触が・・・これ以上は下がれない。


 

 

 相手の感情など分からないが、俺を追い詰められた事は理解している様に感じる。背後のサーベルがゆらゆらと動き、こちらを狙っている。この距離で避けられ・・・・・・と思っていると既に左足に激痛が。漸く少しは見える様になってきたものの、見えていれば全てかわせる訳ではない。


 左足の激痛に気を取られていると、どうやら連続でサーベルを放っていた様で右わき腹もいつの間にか貫通されている。身を捩って左へ逃げようとするも、今度は左肩を再度貫かれる。壁際から離れられない。


 ダメもとで相手の顔へ向け杖を突き出すが、俺の杖が届くより前に相手のサーベルが俺の腹のど真ん中を貫く。


 何かしらの臓器も貫かれた様で、口から血が漏れる。何より激痛が・・・。アドレナリンが出ていれば痛みを感じない時はある。が、確かに痛みを感じ辛くはなるが全く痛くない訳じゃない。それに痛みが無かったとしても、身体機能は当然ながら衰える。そもそも相手よりも劣っているのに、さらに怪我で身体機能が衰えれば・・・・・・・。




 その後はただ刺され続けるだけだった。どうにか急所だけは守ろうと身体の全面で腕を交差し重要な臓器を防ぎつつ、動ける範囲で身体を反らしてはいたがもはやどうにもならない。


 足元には海水があるので、俺の身体から流れ出た血は海水に落ち色を黒く染めて散っていく。本来だったら血だまりが出来て、足を滑らせたりしてしまっていたかもなので多少は感謝だな。そんなどうでも良い事しか考えられなくなっている。圧倒的に血が足りない。


 魔力が回復してきているので、一度だけGBH(グレーターバトルヒール)を唱えようと魔力を込めた瞬間に3本纏めてサーベルに刺され、こいつは遊んでいるんだろうなと理解した。



 皆には迷惑をかけてしまうが、今回は助かりそうにはない。


 意識が朦朧として来て膝に力が入らず、海水にへたり込んでしまった。



 またもし生き返れたら皆に謝り、こいつは絶対倒す。



 そんな事を誓いながら、徐々に瞼を閉じていった・・・・・・。

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