表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/100

撤退戦

 スカーレットのUD(アルティメットディフェンス)が切れ、タイミングを見計らい後方へ走っていく。そのタイミングで俺は船長との間に割り込む。


 単純にソロで船長を抑えられるとは思っていない。そんな事をしてもすぐやられてしまい、あっと言う間に先に行ったPTメンバーへ追いつかれてしまう。ここで取る行動としてこのスキルが正解な・・・・・・はずだ。



「レクイエム!」



 俺の頭上に聖なる光の玉が出現した。これで効果がなかったら、敵の目の前で急にバンザイをしだした頭のおかしいヒーラーになってしまう。



 結果は―――剣を持った左腕で裏拳気味にぶっ飛ばされた。



 脇腹辺りを狙われたので一応膝を持ち上げガードして見たものの、ガードは意味をあまりなしていなかった。それどころか片足立ちになっていた事もあり、ぶっ飛ばされ壁に叩きつけられる結果になった。滅茶苦茶痛い・・・。


 


 既にヘイトを俺に向けていたみたいでレクイエムの効果が出なかった様だ。さっきの一撃で俺にヘイトが向いているとは・・・・・・結局ただバンザイをしている頭のおかしいヒーラーになってしまった。


 いかん、そんな事を考えてる場合じゃない。今現在めり込みそうな程壁にくっついている俺だが、こちらに向かって船長がスーッと近寄って来ている。このまま避けられず攻撃を受けたら、1撃で絶命する危険も十分に考えられる。


 まだ死にたくはないので、壁から離れすぐ前方へ飛び込む。俺が飛び込んだと同時に背後で壁の崩れる音がする。船長が右手のサーベルを壁に叩きつけた様だった。サーベルが折れるとか、壁に少し刺さるとかではなく壁を破壊するんですね・・・。サーベルは頑丈だし、力自体が強すぎるでしょ。


 ちょっとヒールを自分にかける時間が欲しい。が、先ほど無駄にレクイエムを使ったせいで若干残り魔力に不安がある為、GBH(グレーターバトルヒール)は使えない。魔力の節約をしておかないと、この後が不安だがこれ多分左足の骨にヒビが入ってるよな・・・・・・。ま、まだ走る位は何とかなるので放置しよう。




 前方へ転がり反転しながら立ち上がる。


 一瞬身体がビクっ!っとなってしまった。反転したら目と鼻の先に船長の顔があった。足音と気配が無い為、目を反らすといまいち距離感が分からなくなる。それに洞窟の中が暗いので余計にわかり辛い。


 こっちは足元の水があるから動く度にバシャバシャと音を立ててしまい、うるさくてしょうがない。とは言え、このイケメン船長に音が聞こえているのかはいまいちわからないけどね。


 サーベルで水平に斬りこんできた。顔が半分になってしまうので、慌てて膝を曲げ身体を沈み込ませ双掌打を放つ。頭上をサーベルが轟音と共に通り過ぎ、俺の両手は船長の腹へ。一応実体があるようで重さを感じる事が出来、1メートル程後方へ下がっていった。でも、ダメージを与えられた感覚は薄いな。




 正直そろそろ俺も逃げ出したい。先行したリリ達の声は既に聞こえなくなっている。あの4人ならヒーラーがいなくても、魔物が減った状態なら出口迄は普通に逃げられるはずだが、まだ何があるかわからないので、出来れば一緒に向かいたい。後、単純に俺がソロで外まで行くのも、パイレーツゾンビとかだけならいいが、木人形が来ると対アンデット魔法が効かないので厳しい。


 だが、今背後を見せて走り出したら、後ろから斬り捨てられるだろうなぁ。


 俺はじりじりと船長を見つつ、リリ達が向かった出口方向へ下がる。しかし当たり前だが逃がしてくれる気は無い様で、再びこちらへ間合いを詰めてくる。このままだと勝ち目がないので、船長の一歩手前位にDU(ディスプラトアンデット)を放つ。直接当てた所で殺せる訳でもないので、目くらまし代わりに使わせてもらった。


 放つと同時に振り返り、全力疾走を始める。始めたのだが・・・・・・足が痛い。元々足が速くない上に多分ヒビが入ってるのと、足場に水がある為遅くてしょうがない。こら逃げきれないな。



 カシャカシャと剣の擦れる音が聞こえた為、背後も見ずに前方へダイブする。頭から海水に突っ込んだので、口の中が塩っ辛いし目も痛い。ただ、その甲斐があって俺の首から上は飛んでいかずに済んだ。綺麗に喰らえば苦しまずに済みそうだが、少し避けたとしても首の骨をバキバキに折られて結局死ぬんだろうなぁ。


 間髪入れずに立ち上がり、再度走り出す。やっぱりDU(ディスプラトアンデット)一撃ぐらいじゃ止まってくれないね。このままヘッドスライディングを何度も行うだけで逃げられれば良いけど、そんな訳ないよね。どうにかしないと確実に死んで、上手く戻れたとしても一人だけドール城下町で復活になる。


 そうなったらクラン員から怪訝な目で見られ疑われ、しかも内部にいる4人を見捨てその後突入してくれる9人PTにも迷惑がかかる。何とか死なずに出口迄行けないものか・・・。



 ふと背後にまた気配を感じる。今度は唐竹割をしてきた様だ。また前方にダイブしてたら下半身を斬られて死んでいただろうな。俺は真横へ飛び、今までいた場所をサーベルが轟音と共に地面に向け通っていく。


 ダメだこれ。とてもじゃないが毎回避けられない。俺が生き残る事は諦め、PTメンバーが外へ行く時間を稼ぐ事だけに集中しよう。




 気合を入れ直し、ミスリル杖を身構える。


 真面に受けたら切れるか折れるかしてしまうが、いなしている分には何とかなるだろ。船長が頭上から振り下ろしてきたサーベルを杖で横へいなす。いなしたまま回転させ、横っ面をひっぱたく。勢いのそのままに身体ごと回転し、背中を向けたまま背後に杖を突き出し反対側で腹を突く。再度杖と身体を回転させ顎を下から打ち上げる。


 一応先ほど対アンデットへ攻撃力の上がるHW(ホーリーウェポン)を武器にかけたのだが、どう見ても倒せそうにない。全てクリーンヒットしているが、痛がってくれている様にはとても見えない。こいつHPってどれだけあるんだろうか・・・。少なくてもヒーラー1人で倒せる様な弱さじゃないかな。



 ただ多少の効果はあったようで、今まで動いていなかった船長の背後に浮いている6本のサーベルが動き出す。ちょっとだけ本気になってくれたのかね。俺は一切そんな事を望んではいないが、効果が無い訳じゃなさそうだ。もう少しだけ、船長にはここで遊んでいてもらうとしよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ