慎重に行動してもイレギュラーはあるよね
朝になり・・・と言ってもお日様が見える訳じゃないので感覚だが、最後に全員で30分程休憩し野営の片付けをして再び探索へ。引き続き気を引き締めて進もう。
探索を再開して2時間程が過ぎたが、今のところ大きな問題は起きていない。奥地に進んで魔物の密度が上がった為か最大、木人形1家族とゾンビ2体が同時に相手取るタイミングが1度だけあったが、別に連携を取って待ち伏せしてたとかではない。
倒すのに時間が掛かったものの、木人形を倒し終わる迄ギンナルのドライアードツールとラナのスリープでゾンビを眠らせ、順次倒せば危険はなかった。やはりこの程度で兵士が全滅するとは考え辛い。未だに見た事の無い強い魔物は出てきていない。この状況でまだ奥に進んで大丈夫か・・・。
少し進むペースを落とし、毎回MPが全快になる迄休憩してから奥へ進む様にした。最悪何かあっても魔力さえ確保出来ていれば、何とかなると信じたい。
このPTメンバー構成と人数だと最大どの位迄相手に出来るかな。その後休憩は必須だが、木人形2家族とゾンビ3体ぐらい迄はいけるか?それか木人形3家族・・・・・・はきついかな。9人フルPTで歌、踊り、全てのエンチャントがあれば、3家族同時も大丈夫だと思うけど今遭遇したら逃げる事にしておこう。
さらに進むとくるぶし位迄海水が存在する様になった。歩きにくいのと慎重に進む為ペースを落としつつさらに3時間。問題は起きないがそろそろ魔石とか戦利品を入れておくカバンがパンパンになってきた。ここから入口迄の戻りはきっちり魔物を討伐してる為、ある程度遭遇率が下がってると思うが、そろそろ帰る事にしないとだな。
しかし、この状況では報告内容が困るな・・・。特別に報告する様な内容などないぞ。木人形が結構強かった。ゾンビも2体以上は時間かかって大変、ぐらいだものな。どうしたもんかね。
ただその心配は杞憂に終わった。
進行方向の奥の方からカシャカシャと剣をぶつけ合ってる様な音が近づいてくる。誰か他のPTが戦闘でもしているのか?でも、俺達が居るところより奥へ進んで生きているPTだとしたら、つい最近来ているBランク冒険者のいるPTかな。
しかし聞こえてくる音が近づいて来て良く聞こえる様になると、剣同士で打ち合ってると言うよりはただぶつかってるか擦ってるだけの様な?どういう状況なんだろう。取り合えず警戒はしておこう。
「スカーレットとリリは進行方向を塞いで。ギンナルとラナは俺の直ぐ前に。背後は俺が警戒する」
「何か・・・なんの音だこれは。剣同士を擦ってる様な音だ。今までそんな魔物は見てないが、新たな魔物か?」
「でもこれって足音がしないし、何か変ですよ!」
前衛2人も気が付いた様だが、ちょっとこれ・・・・・・音との距離がどんどん近くなり、近くなるほど肌が泡立ってきた。肌が泡立つとかオルフェン以来なかったが・・・・・・。
「ねぇハガネさん、もう少し下がった方がいいんじゃないかな。この感じ胞子の海で・・・・・・・アイツが小さくなった時とそっくりなんだけど。まさか・・・ね」
ギンナルさんも同じく感じ取った様だ。と言うか、あの場に居なかったスカーレットとラナ以外は感じているのだろう。
「この恐ろしい空気が・・・ハガネが英雄になった時の敵と同じ感じなのね。英雄と呼ばれる所以がわかった気がするわ」
今まで平気だったラナも恐怖を感じ出した様だ。ま、この状況で危険を察知出来なければ、生き残れないだろう。
もうすぐそこ迄音が近づいて来ている。まずい状況だなこれ。退路の確保は一先ず出来ているが、念の為スカーレットにUDをいつでも使える様にしてもらえるよう声をかけた。
―――くるっ!!
曲がり角から現れたソレは海賊の船長の様な身なりだった。でもゾンビではなく、土気色の顔ではあるがギリギリ生きている様に見えなくもない。顔そのものはイケメンだが、生気がまるで感じられない為恐怖を与えてくる。こいつは桁違いに・・・・・・強い!
「FAしてUD!ヘイトはしなくていい!皆、攻撃するなよっ!リリ、後方へ回って退却する先頭を頼む!ギンナルとラナはリリに追従してくれ」
俺が声をかけると共に、スカーレットが気合一閃。パワーストライクを使用し、船長へ一撃を打ち込んだ・・・が、持っている剣、所謂サーベルか。手元がガードされており若干湾曲した剣を片手で上段に構えあっさりと受け止められる。その表情からは何も読み取れないが、多分歯牙にもかけないってやつだな。
スカーレットが驚くような表情と共にUDを発動。移動は出来なくなるが、防御力が跳ね上がるスキルを使う。
俺は組み立て式のミスリル杖を準備し、スカーレットを飛び越える。見えないところから飛び出し、頭をカチ割ってやろうと思ったが、先ほどから聞こえていた音の正体に阻まれる。船長の後方にどういう原理か分からないが、サーベルが6本程放射線状に浮いており、自動式なのか俺の杖を軽々といなして地面へ打ち付けさせる。
俺は一度後方へ飛び退り、反撃を警戒したが脅威とも思われてないのか、特に攻撃はしてこなかった。
その間スカーレットは船長と切り結んでいたが・・・・・・圧倒的に相手の方が強い。スカーレットの剣は軽く受け止められるか流されてしまっているが、極限まで防御力を上げたテンプルナイト相手に船長の攻撃は有効打として入ってしまっている。
船長の一撃を受ける度に、スカーレットが苦痛の表情になる。単純な力では話にならない様だ。なら技を持って受け流したりすればいいのだが・・・・・・どうやら船長の方が技量も上に見える。このままUDが切れたらちょっとまずいかもしれない。
「リリ!分かれ道迄2人を連れて真っすぐ逃げて!すまないが、途中の魔物は確実に仕留めておいてくれ。スカーレットはスキルが切れたら、リリを追いかけて全力疾走して!」
これは撤退一択だ。5人でどうこう出来る様な相手じゃない。
もし少しでも面白いと思って頂けたら、↓の☆をクリックしてもらえたら嬉しいです!
ブックマーク迄してもらえたら・・・幸せになります!




