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まだまだファンタジーを楽しもう

 玉座の間に重厚な緊張が走る中、1人の男が静かに跪く。

 彼は異国より訪れし伯爵、そして——“あの災厄の魔物”を討ち果たした英雄であった。


 王はゆるやかに立ち上がると、玉座から数歩前へと進み、その男をまっすぐ見据える。



「異国の伯爵よ。そなたの成したる偉業、我が国にとって計り知れぬ恩義である。あの魔物が跋扈して以来、幾度となく兵を失い、民は怯え、王国の誇りすら揺らぎかけていた・・・・・・。だが、そなたはそれを、たった一人で覆した」



 玉座の左右に控える大臣たちすら、静かに息を呑む。



「タマ伯爵。此度の活躍は誠に素晴らしい。国を代表して礼を告げよう。レイドボスザケンの討伐、悪魔の島の開放、盗賊達の退治。上げればキリがない。我が軍が手を尽くしても倒せなかった魔物を、これほど鮮やかに討伐するとは。その力、知略、いずれも卓越している。伯爵殿、そなたの名は、間違いなく歴史に刻まれることだろう。流石は英雄と呼ばれた男だ」


「はっ!身に余るお言葉、痛み入ります。ですが、これもすべて陛下のご信頼と、共に歩んでくれた仲間たちのおかげで御座います。今後とも、我が国と貴国との友好が末永く続きますよう、微力ながら尽くして参ります」


「うむ。貴殿の手腕、見事であった。そなたのような才ある人物が隣国にいること、脅威であり・・・・・・また、羨ましくもある。我が国との友好関係、今後も保たれんことを望んでるぞ」



 悪魔の島で飲んで明かして、ドール城下町に戻って来て1泊して身支度を整え、翌日に即王様に呼び出された。


 出来ればもうちょっとのんびりしていたかったのだが、まさかゴロゴロしたいので行きません。とも言えず、こうして城へお呼ばれしたのだ。


 玉座の間、謁見の間?かな。俺の周りにもこの国のお偉い方が沢山いて落ち着かない。ただ、これで帰れるかな。正直この堅苦しい雰囲気はそんなに好きじゃない。失礼の無い様にしないと物理的に首を飛ばされかねないからな。


 だが、まだ話が終わらない様で、王様が帰らせてくれない。



「この功績を称え、褒美をとらせよう」



 王は手を振り、侍従が美しく装飾された箱を運び出す。中には、重厚な金印と宝飾の施された短剣、そして土地の地図が収められていた。


 なんだ、あれは。普通に報酬としてお金を貰えればいいし、何ならザケンのドロップで十分な報酬になっているからお褒めの言葉だけでも十分なんだけどな。



「この王の名において命ずる。そなたに『名誉侯爵』の称号を与えるとともに——王都北東一帯を領地として授けよう」



 ──ざわっ……!


 貴族席の一角から、誰かが驚きに満ちた息を呑む音がした。

 

 すぐにそれは連鎖し、場内はたちまちどよめきに包まれる。



「な、なんだと・・・・・・!?王都北東一帯は本来、王家の直轄地だったはず・・・・・・!」


「名誉侯爵・・・・・・他国の者に、そこまでの称号を!?」


「この男はそこまでの者なのか・・・・・・」



 重鎮らしき老貴族が口元を覆いながら呟き、若い貴族たちはざわつきながら俺の方を注視する。


 だが、俺は動じない。静かに頭を垂れたまま、短く答えた。



「恐れ多きお言葉、痛み入ります、陛下。この身、今後とも貴国の繁栄と平和のため、出来うる限り尽力致します」



 その姿に、一部の貴族たちの間に、新たな尊敬と警戒の入り混じった視線が生まれ始めていた——。






 ―――じゃないよ!ヤバい、ヤバい、雰囲気に流されて承諾してしまった。土地なんていらないし、この国での貴族の地位なんてもっといらない!名誉侯爵って何さ、俺自国で伯爵で、ドール城下町だと名誉侯爵・・・・・・爵位が上がっているじゃないか!


 名誉って頭につくなら1代限りって事かな。別に誰かに引き継がせようとも思ってないから、それは良いけども、それよりラナとラナの父親であるザイオース王に怒られるでしょ、これ。


 オルフェンの時にザイオース城では土地とかいらないって断ったのに、よその国では受け取るんだ、ふ~ん。とか冷たい目で見られたら辛い。と言うか、何か問題になりそうで怖い。



 とは言え、もはや断れる雰囲気ではない。貴族や大臣たちの拍手と共に、場はお祝いムードになっている。実際この国の貴族たちは面白くないだろうし、腹の中でどう考えてるかはあきらかだけど。




 謁見の間から退出させられ、今はハク達が控えている部屋へ向かって歩いている。


 どうしよう・・・・・・ハクとかは当然ですっ!とかドヤ顔して喜んでくれそうだけど、ラナとスカーレットは・・・・・・怒るよなぁ。気が重たい。この国には姫様がおらず王子様が3人いるぐらいだったので、また姫様を増やすとかならなかったのは良かったけど、そういう問題じゃない。


 まだ8日間経ってないし、クーリングオフ出来たりしないかな・・・・・・無理に決まっているか。


 取り合えず俺は町で祝賀会をしたいので、今は皆に伝えない事にした。短剣だけ見せて褒美だってさ、と伝えて乗り切ろう。



 ラナ達に伝えるのは、祝賀会が終わって2日酔いから覚めて、今回参加してくれた冒険者達とお別れして、帰路についている時にしよう。


 俺達血盟員だけになってから、恐る恐る伝えてみよう。流石に今回参加してくれた方々にお見せする様なものじゃない修羅場になる可能性もあるしな。せめて皆には良い主催者だったイメージだけ残してこの町を去ることにしておこう。


 うん、それが良い。兎も角その方向で報告しよう。



 俺は控室的な部屋の扉をノックし数秒待つ。中から返事が聞こえて開けてくれる。


 その途端に扉から誰かが俺へと駆け込んで来た。



「ハガネさん、お疲れ様でした!!」



 胸の中へ飛び込んできた人物はテンションMAXなハクだった。俺が褒められる事、認められる事を何より喜んでくれるので、この状態になってしまっている様だ。頭をぐりぐりするんじゃない。



「ああ、ありがとうハク。ただ、皆もいるし、ここはまだお城の中だし、一旦離れようか」



 ハクは離れる事に少し悲しい顔を浮かべるも、はっと気が付き席へ戻ってくれた。



「ハガネよ、謁見の間は疲れたであろう。して、何か褒美をもらったのか?」



 一番聞かれたくない事を、ラナが直ぐに聞いてきた。やっぱり王族としては他国の王が、自分の国の伯爵にどんな対応をしたのか気になるんだろうな。



「褒美ね・・・・・・・ああ、まぁなんか宝石のついた短剣を貰ったよ。高く売れそうだし、血盟で分配でもしようと思ってるよ」



 皆へ独り占めしたりはしないアピールをしておく。これは俺だけの物じゃなく、皆で勝ち取ったものだからな。


 何となく短剣を見せようか迷っていた。随分と高級そうだったし、何か変なマークも入っていたんだよな。と、思っていたらスカーレットが怪訝な顔で訪ねてきた。



「待て、ハガネ。今宝石がついた短剣と言ったな。それは―――もしかして、一緒に金印や地図とかを受け取ったんじゃないか?」


「え・・・・・・そ、そうだね。そういえばそんなのも受け取ったよ。地図に印なんてもらっても、どうするんだろうねぇ」



 ドキっとした。何故言い当てられたのだろう。今俺の手元には報酬3点セットは見えていない。色々突っ込まれると思って、背中に箱ごと隠したままなのに。



「なんじゃと!!宝飾の短剣と言えば、身分を王族が保証する為に、他国の貴族に与えたりするものだぞ。それに金印と地図だと!まさか―――爵位と土地をもらったのか!!」



 あ~・・・・・・そういう王族からしたら知ってて当たり前みたいなアイテムなのかな、これは。周りを見る限り、この世界の人達は知っている様だ。ここには俺の婚約者しかいないので、俺と同じく異世界出身のワニにも後で話してみよう。



「なっ!ザイオース王からの土地は断っておいて、ドール王からは受け取ったのか!!爵位は何だ!男爵か!子爵か!まさか・・・・・・伯爵とかではあるまいな!!それにどんな土地を貰ったんだ!」



 スカーレットが俺に詰め寄って来る。これはもはや誤魔化せない状況の様だ。誰かに助けてもらいたくて辺りを見渡したが、ドヤ顔で胸を張っているハク位しか目に入って来ない。



「え~・・・・・・っとね、名誉侯爵だってさ。はははっ。それとね、王都北東一帯を貰ったよ。北東一帯ってどこだって話だけどね。まぁどうせ山しかないとかそんなところでしょう」



 諦めて全部話してみたが、皆の反応がおかしい。驚いていたり呆れていたり、そんなに大変な土地なのか?

 

 その答えは、ギンナルが呆れた顔でこちらに近寄り、教えてくれた。



「ハガネさん・・・・・・ザイオース城下町からこのドール城下町まで私達馬車で来たじゃないですか。1ヶ月位かかりましたよね?その移動してきた道から見える土地・・・・・・全部です」


「はっ?」



 そんな馬鹿な。移動速度が遅いとは言え、馬車で1ヶ月もかかる距離だぞ。途中で多少山道などもあったが、広大で利用価値もきっとあるであろう土地を、よそ者にあげたりしないでしょ。



「してやられたな・・・・・・名誉侯爵に王都北東一帯の土地をハガネに渡すとは。ドール王は本気でハガネを取り込む気だ。スカーレット、急いでザイオース城下町へ戻り、父上に報告だっ!!」


「はっ!姫様!」



 ええ・・・・・・俺は祝賀会がしたいんですけど、すぐ戻るんですか?まだ帰りたくないんですが。



「流石ハガネさんっ!!」


「凄いのです!!」



 ハクとリリは褒めてくれているが、他のメンバーには呆れられている気がする。



「ハガネさん、これからどうするんですか?」



 常識枠のレナが心配そうに声をかけてきてくれた。ただ、正直俺は何にも考えてなかったから答えに困る。まぁ取り合えず答えるとしたら・・・・・・。



「これからも、皆で楽しんでいこうか!この世界を!」



 そんな言葉ぐらいしか、俺の口からは出て来なかった。


 ザイオース城下町へ戻って怒られて、それから祝賀会をして・・・・・・その後考えよう。



 まだまだこの世界の全てを見た訳じゃないし、これからも旅を続けてみようかな。




 楽しみだっ!!

最後までお読みになって頂き、ありがとうございます。

相も変わらず拙い文章ではありましたが、少しでも楽しんで頂けていれば幸いです。

もしまた何処かで読んで頂ける機会がありましたら、その時は是非宜しくお願い致します。


これからも皆様が楽しい作品に出会えます様にお祈りしつつ、私も勉強の為にも沢山読まさせて頂きます。


繰り返しになりますが、皆様ありがとうございました!


最後に・・・・・・。

もし少しでも面白いと思って頂けたら、↓の☆をクリックしてもらえたら嬉しいです!


ブックマーク迄してもらえたら・・・幸せになります!

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