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転生魔法少女は悪名「白い(ビキニの)悪魔」を払拭したい  作者: 安田座


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ドッグファイト

 


 ミラ様とナサルタちゃんは宿で休んでいた。

 ミラ様は誰にも見えないので個人での宿泊と同じです。

「なんていうか、便利ですね」

「幽霊みたいなもんじゃが、便利な部分は否定せんよ」

「やっぱり、ミラ様は寝る必要無いのでしょうか?」

 窓から夜空を眺めているミラ様にナサルタちゃんが声をかけた。

「そうじゃな、この体になってからは必要無いようでの。

 同室ですまんの、じゃまなら空で浮浪しておくが?」

「そうなんですね。

 あ、おかまいなくです。僕はもう寝ちゃいますので」

 そもそも一人用の部屋なのでベッドは当然一つである。まぁ、今のミラ様のサイズは横に置いといても問題無いでしょうけど。

「ああ、そうしてくれ。 お日様が出るころには起こしてやろう」

「それは助かります。 朝は弱い方なので」


 翌日、早朝。

 何やら急に外が騒がしくなってきた。

「なんじゃ、騒がしいの。

 ナサルタは、まだ寝ておるか」

 ミラ様は、ナサルタちゃんの状態を確認しまだ起こすには早いと思案した。

 それでも、時間が早いのもあるが町の喧騒とは少し違う雰囲気を感じ窓から外を眺めてみた。

 憲兵らしき者達が城への集合を呼びかけているのが聞こえた。

 緊急事態の様だった。

「おい、ナサルタ、起きろ」

 ミラ様は、やはりナサルタちゃんに声をかけた。

 その時、階段付近の部屋の方でドアをたたく音とともに大声が聞こえてきた。

「お客様、起きてください。

 何かあった様です。全員、急いでお城へ非難します」

 と、同様に順番に部屋をめぐってきた。

 となりの部屋に来たあたりでナサルタちゃんが目を覚ました。

「おい、行くぞ。

 早く変身しろ、わしをとっとと上空へ持っていけ。状況が知りたい」

 城に非難という部分で沖田さんのケースを思い出したのだ。

 こんな大陸の端でいきなり戦争は無いだろう、つまりそうでは無い何かが起こっている。



 ――――――――――


 数日前、帝国領。

 沖田さんとカナデは、山奥の国境付近にある軍の施設を借りています。施設と言っても見張り小屋と言う方がサイズ感がわかるかもしれない。

 ここは、戦争が終わったことで存在意義を失い放棄されているので自由に使ってよいらしい。放棄されて日もそんなに経って無いので、生活に必要なそろっている設備も含めてだ。

 ちなみに二人っきりではないです。

 帝国のグナイゼルさんもなぜか参加しています。

 あと、もう一人、女性騎士エルミナさん。十代後半らしい、そしてかなりの美女だ。青みがかった金髪おかっぱもとても似合っている。

 彼女は、グナイゼルさんの隊の一人、あ、グナイゼルさんが今の超人部隊隊長だそうで、つまりこの人も超人です。

 そして、沖田さんの大ファンらしい……グナイゼルさんとの一騎打ちを見てからだそうですが、なぜか少年姿ではなく本体の方がいいとのこと。


「どうして王女様がこちらに?」

 エルミナさんがカナデに聞く。

「あ、わたしは彼女の……ええと」

 カナデは沖田さんを見る。

「含みがあるかの様にこちらを見るな。

 SWの説明をすれば済むことなんだがな」

 後半は日本語だ。

「めんどくさいわぁ」

「もしかして、あなた、王女様では無い?」

「そうね。

 王女の影武者みたいなものよ。

 今は、沖田さんの修行の方が重要ですので、身の回りなどのお世話をしにきてるの」

「なるほど、それで理解することにします。

 そして、その役目、”など”も含めてわたしが代わりますので、あなたはお帰りいただいてかまいません」

「なんでそうなります?

 ちなみに、”など”に勝手な意味を付けないでっ」

「わたしは王の命でここに派遣されました。

 しかしあなたは本来の業務がある様です。

 で、あれば、その様な雑務はわたしが引き受けるのが最善かと思いました」

 王様の命令って雑用を?だったら騎士様じゃない人を……まぁ大勢で押し寄せてられても困るから百歩譲ろう。

「おっしゃること、わたしもたいへんよく”理解”しました。

 でも、あなた方程度の能力では彼の修行の役に立たないと思います」

 少しだけ意地悪な感じの表情を作っているのは、大人げないぞカナデ。

「カナデ、君も大人げないぞ。

 だが、エルミナと言ったか、君、いや超人とやらの能力では彼女には及ばないことは言っておく。

 彼女は人間では無いのだから」

 沖田さんは容赦ないなぁ。

「まさか、魔法……使い?」

「いや、そいつの存在は知らないし、今はそれ以上の説明をする気は無い」

「色々探るような問いばかりしてすいませんでした。

 しかもあまり必要とは思えない内容でした。 振り返ってみるととてもお恥ずかしい」

 沖田さんの機嫌を損ねた可能性に素早く修正を始めたのかも。

「興味を優先してしまうのは、若さゆえに仕方ないさ」

 こういう言い回しも、魂年齢百歳越えは余裕あるわよね。機嫌とかもう関係ないかも。

「沖田様はやっぱり優しいですね」

 ふむ、なんとなくエルミナさんの目にハートが見えるわ。

 って言うか今更だけど、沖田って今の本名じゃいよね? そういえば聞いたことなかった。問題ないけど。

「一つ言っておく。

 俺の修行への協力は受けるが、お前たちの訓練に手を貸す気はない」

「もちろんそれでいい」

 グナイゼルさんが即答した。

「では、話を変えてもよろしいでしょうか?」

 エルミナさんがまた始めた。

 グナイゼルさんが止めないのって面白がってる?

「どうぞ」

 カナデが抑揚無く応じた。

「お二人の関係はどういったものでしょうか?」

 エルミナさん、それが聞きたかったのだろうなぁ。

「あ、関係と聞かれると、友人とか仲間かな」

 カナデは、戸惑いの表情で答える。嘘ではない。

「そうですか、わかりました。

 一緒に頑張りましょう」

 エルミナさんは、少し嬉しそうにカナデと握手していた。

「あ、ちょっとこっちきてくれます?」

 カナデは、何か思いついた様に握手の手を引っ張ってエルミナさんを外へと連れ出す。


「勝手にこんなことしゃべるのは良くないかもだけど。

 沖田さんって、数日前に奥さんと娘さんを亡くされてるんです。

 化物の手にかかって……その化物は自力で討ったのだけど本当の仇はそいつを手配した者達として戦いに向かっているの」

「そんな、わたし…………。

 どうしてそれを教えてくれたのです?」

「この後、知らないことで双方にとってよくないすれ違いが起こったらやだなって」

「教えてくれて本当にありがとうございました。

 あぶなかったです。 最初から悪印象になるところでした。

 それに、さっきのノリのままだったら、うざすぎますもんね。

 癒しになるなんて立場でも無いのが悔しいけど」

「もう一つ教えちゃいますね。

 わたし他に好きな人居るんですよ」

 あのカナデが照れくさそうだ。

「あ……え?」

「ごめんなさい。さっきはちょっとからかい混じってた」

 カエデは舌をテヘっと小さく出した。

「意地悪なお姉さんだわ」

 エルミナは、年相応の笑顔だった。

「あなた、その感じの方が良いと思うわよ。

 とっても可愛らしい」

「あなたは、なんだかすごく年上に感じます。

 あ、良い意味ですよ」

「ふふふ、確かに老婆心かもね」

「あと、超人のしかも女性のわたしは、どのみち普通の人と結ばれることはありませんので、この恋心が嬉しくてここに来ました。

 なので、あなたとの会話がすごく新鮮で楽しい」

「恋話か……なるほど。

 でも、超人だからって気にしなくても良い気がするけど。

 ……あのこの見本になって欲しいかも」

「あのこ?」

「ああ、そこは気にしないで」

「では、がんばりますね……いつか」

 たぶんそのいつかが遠いのは感じたのでしょう。少し涙目だった。



 ――――――――――


 みんな動き出してるので、わたしも何かしないと……、

 ということで、グレッドさんに報告に来ています。もっと早く来るべきというか、来たかったけど、なぜだか躊躇してました。

 でも、ほんとは今は来るべきタイミングでは無いのです。わたしの不在にカナデがいないってだけだけど。

 それでも、来てしまった。ちなみにウィンドフォームです。他のフォームは見せてないしね。

 場所も前回と同じ彼の私室の窓の外。

「先日はお願いを聞いてくれてありがとうございました。

 今日は、お礼だけ伝えに来ました」

 頭を下げる。体も少し前傾する。

「礼を言うのはこちらだ。

 本当に……本当にありがとうございました。

 それにだ、ひと月と言ってた割に早々に決着を付けてくれた」

 グレッドさんはしばらく頭を下げてから、約束の内容を補足してくれた。

「ははは、あの時はあんまし考えて無かったですから。

 では、急ぎますので、さようなら」

 時間を最低限にして速攻で帰る。それがせめてもの自分への戒めになるなんて言い訳。

 だから笑顔で答えてグレッドさんがその後の言葉を発するより早く飛び去る。

 これでいいの、わたしの戦いはまだ終わっていないのだから。

 いや、終わりがあるのかさえもわからない……だけど、終わらせる意思だけはまた強くなった気がします。

 これから、この国、そして彼には幸せになって欲しいのだから。

「さて、ほんとに急ごうっと、神力変装ファイナルフォームツーっ」

 誰にも見えない高度に達してから、普通に変身してみた。

 体が小さいのもあるけど、なんだかいつもより軽い気がする。

「天気良くてよかった~」

 星空もいつもよりキラキラとしてて綺麗だ。

 ちょうど眼下に広がってきた湖の水面にも反射してどこを見てもキラキラだぁ。

「やっぱり、また会いに来ようかな~」

 ああ、ゆっくり景色なんて見てないで加速ぅ~。


「さよなら我が天使……初恋のひとよ……願わくば再会を……」

 見送るグレッドさんのこの言葉はわたしにはもう届いていなかったです。


 気持ちよく月の方に向かって飛んで居ると。

「ん?」

 その時、何かが見えた。 あわてて停止。

 大きく見える月をバックに人型の影が二つ。

「なんか、こういう場合、よくない相手な気がする」

 待ち伏せ的な……伏せて無いけど。

 さて、下は森が広がっているけど、今から隠れるのは微妙かもしれない。たぶん視認されてるよね。

 で、近づいてきてる?

 撃とうかな……いや問答無用はわたしには無理だ。

 ということで、姿が確認できたら声をかけて見ようかな。う~ん、せめて威嚇射撃くらいはすべきか……考えがまとまらない。

 は?いない? 考えてたら姿が消えた? いや見失った?

「しかし、聞いていた以上に小さいな」

 耳元で囁かれた。女性の声だ。

 慌てる様に離れながらそちらを向く。どんと何かに背中がぶつかった。

「お前は始末しておけとのことだ。

 空路に居ればいずれ見つけられると踏んでいた」

 少し頭上から声がした。今度は男性だ。

 確認もせずに下降しつつ距離を取る。

 二人はその場を動かずにこちらを見ている。人間に見える。十代後半くらいの美男美女。男性は顔の雰囲気に合わないプロレスラーの様な巨躯だ。女性の衣装は露出多めでわたしとあんまし変わらないかも。

 あの言い回し、誰かの指示。思い当たるのは……”やつ”だ。

 ”やつ”の手下と言うことは、あいつよりは弱いとしよう。

 でも二人いや二体。あわせたらあいつより強い可能性。

 ああ、ここで死ぬのかな。結局何をできたのかもよくわからないまま。

 次も都合よく転生なんて絶対無いって、そう思って生きてきたのに、この期に及んで次を考えちゃう甘ちゃんは転生の資格すら無いや。

 帝国をなんとかできたからって、調子に乗ってた。そういう時って、こういうしっぺ返しは定番なのに、考えもせずにいろいろ浮かれてた。

 あぁだめだめ、あいつらが動かないうちにまだ何かできることを探そう。後に続く人のためにせめて一体だけでも落とすなんてね。

「お前の様にちっこいやつはあたし一人で十分かな。

 ふん、生意気な顔になったのは、何か考えてるのかもしれないけど意味ないわよ」

 女性の方がニヤニヤと言う。

 お、それでお願い。実はこちらから煽ってそうさせようと思ったのよ。一対一の連戦なら勝てる可能性はあるかもしれない。という希望的観測。

 そして会話してくれるのなら。

「あの~。

 あなた達は何者?」

 う~ん思わず出たけど何者って聞かれても問いの意図って伝わるのかな。

「どういう意味だ?

 人間では無いのはわかるだろうが」

 男が応じた。

「あなた達の目的は何?」

「さぁな」

「仲間は何人居るの?」

「質問に答えても消えるお前には意味が無いだろう」

 まぁそうなんだろうけど。

「なら教えてくれてもよくないです?」

「話が嚙み合わないやつだな」

「答えてくえたら噛み合うのに」

「わざわざ始末しろと言うからどんな奴か興味があったが、話はここまでだ」

「じゃ、行くわよ」

 その言葉を聞くより先にとりあえず逃げる。

 後ろを確認、ああ、もう着いてきてる。

 飛行速度を維持しつつ、体勢を変えてとりあえずハンドキャノンを撃ってみる。

 魔力の固まりなんだけど手前ですっと消滅する。なので、やっぱり無傷、というかあの化物と同じで周囲に魔力のフィールドがあるんだわ。

 つまりフィールドを消し去るくらいの魔力量の攻撃ができれば本体に届くんだけど……厳しいわ。

 そして敵の攻撃は何かエネルギーの手みたいなのが伸びてくる感じ、魔導士の攻撃もそんなだった。

 それが触れた装甲の一部がどんどん消滅していく。他のフォームに一旦変身すれば再生できるけど、速度が全然落ちてしまう。

 今の威力ならまだある意味相殺できているから粘ろう。

 それでも、威力のある反撃に移るにはできれば背後を取りたい……。

 左右に旋回しても上下に回転しても、追いつかれるだけな気がするし。

 一方的に逃げるしか無いけど、これもドッグファイトっていうのかな? いや、猛獣に追われる草食動物の方かな。現実逃避みたいに考えてる場合か。

 あ、湖だ。

 無意識に来た方へ戻ってたんだ。

 このまま進むと街に戻っちゃう。でも、方向変えると追いつかれるのは必然。

 湖? あ、思いついた。

 その瞬間、急降下。

 追っ手は、何かにぶつかる様に止まる。

 フローティングシールドを置いてきたのだ。一瞬で消えたかもだけど勢いのおかげで少しは効いた? まさか透明になったのが役に立つとは。

 一瞬の隙ができたのかを確認せずに一気に湖に突っ込む。

「何にぶつかった?

 ん? 水中に逃げたの。無駄なことをするなぁ」

 波紋の中心位置の真上にとどまって居る。

 それは、月明かりのおかげで水中から敵の影を把握できるのだ。

 やはり油断してるのだろう、十数秒過ぎても特に動きは無い。

 水中モードでしばらくは潜っていられるけど、

「ゴッドキャノン、モードファイブ」

 まずは最高火力を一発撃つ。

「悪あがきもいいぞ」

 無傷の余裕は遊んでいるつもりなのだろう。

 相手の都合にはかまわずに、キャノンの熱で発生した蒸気が消えないうちに一気に飛び出す。

 氷の柱を纏いもろともに敵にぶつかる。キャノンを撃った直後アイスフォームへ変身していた。

 水を凍らせたのではなく魔力で作った氷柱は敵の防御フィールドを対消滅させてくれた。そこへ直接アイスソードを全力で突き刺す。そしてそれは目論見通り相手の体を突き抜ける。

 胸のあたりに風穴が開いた敵の悲鳴が響くのには目もくれずに、そのまま、ファイナルフォームツーへ変身、一緒に巻き上げていた飛び散る水のしずくにもまぎれて素早くもう一体へ。

 近くで観覧していた体を背後から槍が突き抜けていた。

「きさま……」

 落ちていく仲間を目で追っていたその頭をこちらへ向けて出した言葉は息苦しそうだった。

 槍は消えずに胸に残っている。敵の防御フィールドでフォーム装備は消えるが槍はそのままなのだ。槍は、沖田さんが修行に行くときにカナデを見送るついでにわたしも訪問したら、失敗品だけどって渡された現物だ。

 そしてこちらへ向けていた頭に渾身のネコパンチ。ナックルも実体武器だ。湖に落ちていくそいつらも気にせず逃走に入る。

 致命傷のはずだけど、ほんとに倒せたのかわからない。どういう存在かわからないのだ。とにかく逃げたかった。

 あいつらが油断していなかったら絶対に勝てなかった。

 片方でも仕損じてたら負けていた。

 あいつらが落ちていく姿をちらりと見た。”やつ”に似た姿にだった。人間の姿は仮で、もしそっちの形が本来ならもっと強かったかも。

 それら相手の誤算が無かったら、わたしの死を意味していたのだろう。

 今までの戦いとは違う危機感が収まらない。

 まさに必死の速度で飛ぶ。逃げる。

 十分ほど過ぎただろうか、もっと長い時間飛んでは気はするけど。

 ふと顔を上げた時、綺麗な月があった。また見られてよかった。

 だけど……視線を前方に戻した時、その方向に何かが見えた。

 今度は一体。しかし、見覚えのある形……。

 やつだ。

「お前が倒したのか?」

 やつは慌てて止まったわたしに声をかけてきた。

 ということは、そうかあの二体は倒せたのね。そっか、そういえばこいつには分かるのだった。

「なんのこと?」

 わたしの性格的には、いつもなら”倒したぞ”と強がるのだろうけど、なんとなくとぼけた。どう答えると意味があるかわからないけど……。なお、さっき嚙み合わないとか言われたのはもう頭の隅にも無いので関係ないです。

 そういえば、槍、回収してないや……。

 どう逃げよう。どうやれば助かれる。どうすれば……。

 いや、そうじゃない。今考えるのは、どうやれば勝てるか、だ。

「お前、仲間になる気はないか?」

 想定外の言葉だった。

「なるわけないじゃん」

 これは即答するさ~。

「我々はある事象と戦っている」

「ある事象?」

「そいつは人間の敵でもある」

「そんなの聞いたことないけど?」

 いや、こいつが嘘や偽りを言う必要は無い。そういうものは確かにあるんだ。

「お前たちは人間から派生した上位存在だ。

 では、この星にとって何が必要だと思う?

 人間がいくら減ろうが、我々上位存在が残るべきだと思わんか?」

「なにその傲慢」

 って人間がどんななのか知ってるの?

 あ、悪い部分の方を知ってたら、は話が違う。

「上位存在と言った」

「わたしは上位とか下位とか考えたことも無いけど……人間がいいです」

 たぶん嚙み合っていない逃げた答え。

「話を戻させてもらう。

 我らが居なくなれば、人間は滅ぶ。

 だが、我らのエネルギー摂取として必要なのは一部だ。

 さぁ、お前はどちらを選ぶ?」

 どっちって……あれ、この図式って帝国の話と同じじゃん。

 違うのは、もしその事象とやらがなんとかなった場合。こいつらという脅威は残るということ。人間を守る為では無いのだから結果は同じなのだ。

「その二択では答えられないわ。

 人類としてなら何もしないが答えになっちゃう」

「共倒れ狙いか、なるほど。

 だが、我が大陸では後者を選択したぞ」

「え?

 そんなの強制みたいなものじゃない。

 でもね、あなたの言うことには、個人的には興味があるわ」

 やつらと人間との関係が存在する。やはり世界の情報が無さすぎる。

「ほう、興味か。 まぁ、今はその答えでもかまわんか」

「では、時間をいただけるということかしら?」

「いいだろう。お前ごときいつでも消せると分かっている様だしな」

「お好きに解釈されればいい。

 では、先に帰っていただけます?

 わたし臆病ですので、後を付けられたくありません」

「お前の居る島はわかっている。

 必要があればもろとも滅ぼすだけだ」

「さようですか、ではわたしが行かせていただきます」

 そう告げると、ゆっくりとやつの横を抜けた。

 振り返るとやつはもう居なかった。

「う~ん、今思えばもっといろいろ聞くべきだったかも。

 早くあの状況から逃げたいという潜在意識、いや本能に負けたのかなぁ」

 そして、ふぅ~っと大きなため息をついてからあらためて帰路についた。



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