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転生魔法少女は悪名「白い(ビキニの)悪魔」を払拭したい  作者: 安田座


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19/19

魔法使いって

 


 ミラ様がナサルタちゃんと出かけてからすぐに、わたしは帝国に飛んで来ました。

 現在の状況を確認するのが主な目的です。

 そして、今はバーストルさんのお家、ん~、ちょっと違うかも。

 バーストルさんは、古い教会を改修して住んでいるのですが、そこに元魔導士達の中で身寄りの無い子ら七人を集めて面倒を見ているのです。

 元魔導士最年長は、あのロマリちゃんです。

 予想されていたことですが、あの壁が消滅しても魔導士達の右手は戻りませんでした。しかも彼らは全員が十代前半のまだ子供なのです。そんな者たちが普通に暮らすのは厳しいと容易に想像できます。


 食堂のテーブルでバーストルさんと向かい合って座ったところで聞いてみる。

「ええと、軍は辞められたのですか?」

 まずは無難?な質問から。

「わたしは戦犯だからな、軍からは少し離れて今は治安維持を優先する職に協力している。

 とはいえ、彼女たちを放りだすことはできなかった。

 超人達とは違って、まだ普通の生活は難しいからな。

 これで罪滅ぼしとする気は無いが、できる限りのことはしたいと思っている」


 ――

 今回の戦争、戦犯という人間は正確には存在しない。

 戦勝国が無いのだ、他国へと事実を伝えた時、そういう主張ができる国は無かった。

 もともと優勢だったのは帝国であり、戦火の拡大もせず犠牲者を最低限に抑えしかも、もっとも被害者いや犠牲者の多かったのも帝国なのだ。

 さらに全ての第一子を犠牲にしていた事実が衝撃だった。

 逆に、国内の方は当然かなり荒れたが、やはり同様に納得するしかなかった。

 恨みを口にすることはできるが、どうすればよかったのか?という模範解答を誰も示せないのだ。

 当然、化け物の存在を信じない者たちも居たが、魔導士たちの訴えを聞き、今は引き下がっている。

 いつか再燃するかもしれないが、戦争を続けるよりははるかにましだ。というか、またやつらが来たとして、それで思い知らされることになるのは嫌だなぁ。

 そんなもろもろゆえに軍属は自分たちで罪を認めて、今できる最善の罪滅ぼしをしているのだろう。

 ――


「もしもですけど、わたしが手を貸して欲しいとお願いしたら?」

「ここの者達を守る意味でなら受けさせていただくよ。

 もっとも、君たち恩人の頼みを断れる立場には無いのだが、今はそういうことだ」

 即答だった。

「ありがとうございます。

 その時が来たらお願いします」

 今の状況見ちゃって、ちょっと気が引けてるんですけどね。

 この人には、よい”お父さん”の方をやってて欲しいなぁって。

 それにやはり超人といえど、私たちからしたら一般人という考えは頭をよぎるし。

「バーストル、入ってもいいかしら」

 扉の前から聞こえた明るい少女の声は、雰囲気は違うが聞き覚えのある声だった。

「ああ、ちょうど呼ぼうと思っていた。

 すまないが先にお茶を用意してくれないか」

「わかりました~」

 声だけを残して歩幅の短い足音が離れて行った。

「ロマリだよ。覚えているか?」

 バーストルさんがわたしの想像を察した様に教えてくれた。

「はい。

 元気そうですね、とても。

 ちなみに、呼びすてでしたけど?」

 何の話をしにきたのよわたし、でも絶対聞くよねこれ?

「結婚した」

「へ?」

 なんて言うか驚いた。 想像もしていなかった、というか想像の範囲外の回答だった。

 この人、戦ってた時とかいろんな意味で人間じゃ無いイメージだったし。

 一瞬前には”お父さんをやっている”のか~と思ってたのに。お嫁さん持ちなんてさらに危険なことさせられんわ。

 おっと、そんなのはどうでもよくて、ええと、こういう場合、明るい方向に話を進めた方が良いわよね?

「ここに移って皆の世話をしているうちにその方がよいだろうと思ってな。

 法的な援助を受けるのには家族とする方が合理的でな。我々の都合だけで法律を変えるわけにもいかんしな。

 で、彼女が最年長だったから、そうしただけだ」

 ちょっと何言ってるかわからない。いくつ差だろう、よこしまな見方をしてしまうけど、たぶん違うよね。

 ええと、わたしはこの国の法律も何も知らないけど、子供たちにとって、そういう立場の方が確かに有利なのだろう、はい。

「な、なるほど……」

「それに子供達には母親役が必要なんだ。

 それができるのも彼女しかいないと思ってな」

 最年長よりそっちじゃん。

「あ、そういえばあの綺麗な秘書さんは?」

「ああ、彼女は自分の家庭に戻った。

 我々が慣れるまでは手伝いに来てくれていたがな」

 そうだったかぁ、もう、こう、なんて言うか、わたしはまだまだだ、うん。勝手にカップルにするの止めよう。


 数分後、ロマリさんがお茶を用意してくれた。扉を開け閉めする程度は義手でもできるようだし、負傷させてしまった足の状態は歩くのにはさほど問題無いらしい。

「ありがとうございます。

 あの時は怪我させちゃってごめんなさい」

 事実を知ってからいつか謝りたかった、でもさりげないほうがいいわよね。

「いえ、戦争……でしたから。

 もう、忘れましょう、お互い様です」

「そうね、戦争中のことなんて忘れちゃいましょう」

 そう軽い感じで答えたが、西の隊長さんが瀕死になっていたのを思い出し、そして、やはりこの様な少女を同列に扱うのにも抵抗はある。

「はい」

 ロマリさんは、小さく笑顔を作ってからそう答えて部屋を出て行った。

 いい子やん。

「では、話を続けようか?」

 バーストルさんが、切り替えてくれた。

 そして帝国の現状を教えてくれた。もともと国内は戦争状態を感じさせるものでは無かったこともあり、あまり変わっていないようだ。

 去り際に今度結婚祝いを持ってきますと言ったら丁重にお断りされた。


 バーストル家を出てから同じ町にある次の目的地、沖田さんのところへ立ち寄った。

 バーストルさんに居場所を教えていただいたのだ。

 今は、街の鍛冶屋さんの一角を貸してもらっているとのこと。

 扉は開かれていたので、遠慮気味に中を覗いてるみると何人かが作業をしていた。近くの人に尋ねてみると指をさして教えてくれた。

 そして、確かに端っこの方に居る沖田さんを見つけた。

「こんにちは」

 少し離れて視界に入る位置に移動してから声を掛ける。

「ああ、早かったな」

 言葉だけで答えてくれた。

「そうですかね?」

「ナサルタの国に行っていると思っていた」

「そっちはミラ様にお任せしました」

「そうか。

 で、何をしに来た?」

「早かったなっていうのは何をしに来たかがわかってる人が言う台詞じゃないんだ」

「俺には用があるからな。

 だが、先にお前の用を済ませるといい」

「じゃぁ、沖田さんっていつ魔法少年になったんです?

 新選組の時になってるとは想像できないし、若くして病気で亡くなったとお話とかでもなってますし」

 ずっと気になっていたことをせっかくだから聞いてみる。

「そうだな、時間的には無駄な話になるが、気になってるなら教えてやるよ」

「気になってます」

「わかった」

 沖田さんは答えると少し移動して木の箱を持ってきて少し離れた位置に逆さまにして置くと上にハンカチらしきものを敷いた。

「お気遣いありがとうございます」

 お礼を言ってからその木の箱に座る。こういうのなんか照れるわね。

 その沖田さん自身は、わたしの前にきてそのまま座ると早速話始めた。

「後世での新撰組の扱いは多少は知っている。

 そう、俺は病床でただ死を待っていた。

 もう意識もほとんど無くなっていた時に神と話をした。

 そこで、このままただ死ぬか、人類に奉仕してくれるかを問われた。

 神にとっては、病を治すなど造作も無かったよ。

 史実としての俺の最後はSWが代わりにやってくれたのは想像できると思う。

 隊には俺よりも向いてるやつは居たと思うが、そういうものでは無いしタイミングもあったようだ。

 そして日本を離れ世界各地で単独任務をこなし続けた」

「単独任務って言ってましたね」

「お前の時代では単独は無いかもしれんがな。

 以前話した際に、俺の任務は草刈りと言ったが、俺の判断で害有る人間も処分した」

「え?」

「そう人殺しだ。

 神の使途の勧誘条件を知っているか?」

「いえ、聞いたこと無いです」

「俺は自分が殺人者であるがゆえに確認した。

 自己中心的な人間と献身的な人間を軸にして、当然後者であること、しかも極端にな。

 どちらも善悪は他の条件で決まるが、そこは濁された。

 生い立ちによる状況や立場、個人としての能力、もちろん種族性別は関係無い。

 その者が持つ魂の性質で決めるという。

 もちろん、たまたま、もしくは何かしらの事態によって、神に見出される必要はある。神とはいえ人類全員を見ているわけでは無いからな」

「なるほど」

 いろいろとわかったけど、神様も模索しつつ運用を変えていったのかな。フォームだけいじってたわけじゃないのね、そりゃそうか。

「他に聞きたいことは?」

「聞きたいというか、報告というか、聞いて欲しいみたいなです。

 ええと、フォームのマニュアルにリーダー版の部分が追加されていたので読んでみたんです。

 そしたら、必要に応じて周囲の魔法少女の力を一定量ずつ吸収できるって書いてありました。

 まさか、変更点が色違い以外あったなんて、そんなの能力使ってるのを見たことも聞いたことも無かった。

 先に知っていれば、ミラ様には待機してもらえてたのにって……」

「あの戦い、ぎりぎりだった。 いや、ミラが居なければ負けていたと思う。

 それに、知っていたとして逆にどうすればよかったか、俺には想像できない。

 気休めだが、その件気にするな。多くの命は確かに救ったんだ。

 フォームについては、神は常に強くしようとしていた、魔法少女達を少しでも守るためにな。 君の段階では機能があっても使う必要が無いくらいオーバースペックになっていたんだろう」

「そうですね。

 ありがとうございます。次は同じ思いをしなくてよい様に努力しますね」

「そうか、それでいい。

 では、俺の要件を聞いてほしい」

「はい、どうぞ。 いえ、是非に」

「俺の今後についてだ。

 やつの様な者が一体とは思えんし、格上の敵も想定される以上、やつ程度に後れを取ることは許されない。

 敵の情報がほとんど無い以上、最終的には地球の神と同等を想定する。

 であれば、こちらから向こうに行く能力を持っているかもしれないが、こちらで倒してしまえばそんな心配も必要ない。

 そのためにも、俺も強くならなければならない。

 あの時、攻撃は確かに通った。だが、斬れなかった。俺の技が、剣士の冴えであれば斬れたと思える。

 そのための修行に行くよ。

 もちろん俺一人の力で勝つのでは無く、我らの総合力で勝つためにお前の最終火力を使う場面を造れる力を得るということだ」

 そうよね、わたしたちは負けられないんだ。

「修行って、どのくらいかかるのです?」

「わからない、この歳だからな。こちらでの身体的な衰えもあるが、向こうでの魔法少年が長すぎた」

「カナデを連れて行ってください」

「何?」

「あのこもそれなりに強いですよ?

 それに身の回りの事をやってくれる者が居れば修行に集中できるでしょ?

 たぶん、現状、沖田さんには少しでも早く戻ってもらえるのがよいと思うので」

「なるほどな、SWであれば確かに……。

 だが、お前はいいのか?」

「なんとかします。わたし自身が修行して欲しいくらいですけど、そうもいかないし。帝国との戦争は終わったからこっそり何かすることも無いですしね」

「わかった。 では、ありがたく彼女の力をお借りするとしよう。

 そして、お前にも力を借りたいことがある」

「なんでしょう? でも、やりますよ」

「魔法使いについて調べて欲しい。

 古い書物など、国の書庫に眠っているかもしれないからな」

 魔法使いって、あの?よね。

「了解しました。 でも、どうして魔法使い?」

「俺もおとぎ話レベルでしか聞いたことが無いが、存在したというのは間違い無いようだ。

 だから居ると仮定して考えた時、あいつらと戦ってるいるのは魔法使いでは?とふと思ってな」

「はい」

「少なくとも、やつらとは相対する者が居て、それは我々よりもはるかに強い」

「わたしたち、ほとんど相手にされませんでしたしね」

「当然、敵にはやつ以上の強さの者も居るだろう」

「ああ、”やつは四天王の中でも最弱”みたいな、ですね」

「その言い回しは知らないが、そういうことだ」

「ごめんなさい、気にしないでくださいませ」

 わたしは小さく舌を出してから謝る。そして、この手の言い回しは控えようと思った。

「いや、時代の先の文化を否定する気は無いよ」

 あら、そうなんだ。

「ちなみに、相対する者って味方と想定していいんですかね」

「そうだろうが、任せればいいという意味でなら、どちらとも決めないほうがいい」

「敵の敵は味方……それともバトルロイヤル? あ、いや、きっと味方ですよね」

「その言い回しの様にはならないと思うが、そうだな」

「ははは」

「だが、俺たちはそうゆうものについて聞いたことはあると思う。

 それが”魔法使い”だ」

「へ?」

「だからこそ、調べて欲しい」

「そういう話でしたね」

 その後少しだけ新撰組について聞いてからその場を後にした。

 沖田さんは、今は修行で使う刀を作ってるそうで、十本くらい作ったら修行に行くつもりらしいです。ちなみに今七本目だそうなので完了までにカナデを寄越すつもりです。


 ――

 わたしは、ずっと感じていた、ある不安を……。

 魔法使いが居たことを知って、魔法もあるのだと考えるようになった。

 もし悪用する者、いや、そういう悪の存在が出てくることがあったとしたら、という不安を……。

 世界に目を向けた時、私たちは善悪どころか地形、人口、気候、など単純な世界の事情さえ知らないのだ。

 今、私たちは、そこに向かいあうべく進んでいる。でも、それは異世界の力を持つ者が関わっていいことなのだろうか……。

 ただ、それでも、罪のない命を守れるのなら、わたしは止まれない。


 そして魔法使いにあってみたいという単純な興味もずっと持っている。

 ――




 ミラ様とナサルタちゃんは、ナサルタちゃんの国があるコード大陸に到着し、最初に見えた町へ休憩に立ち寄ることにした。

 ナサルタちゃんは、やはり町の手前で一旦地上へ降りて変身を解いて徒歩で向かう。

「町のつくりはあまりかわらんの」

 ミラ様は、建物が増えだしたのを眺めながら感想を言う。

「はい、僕もそちらを見て思いました。

 昔は、何かしらの交流があったのでしょうかね」

 ナサルタちゃんは同意しながら、少し追加する。

「そういう意味では言語が通じるのもそうじゃの、沖田も別な大陸じゃしな。

 単純に人間のルーツが同じなのじゃろうが、確かに現在の大陸間の交流の無さからは想像できんな。

 わしのこれまでの長い人生経験からも、そんなはずは無いと思うが、遠い昔に個人レベルで行き来し文明を広めることができる者がおったのかもな」

「地球にはあの神様みたいな存在が居たくらいですしね」

「そして、すでに異様な者たちの存在を目の当たりにしているのだからな」

「いや、心当たりのある者があった」

「ほう?」

「”魔法使い”じゃよ、お前さんも聞いたことあるじゃろ?」

「はい、もちろん。 小さいころ聞いたおとぎ話で出てきましたね。

 子供心にはあまり人気無かったみたいだけど、勝手なイメージを持ってる僕の心には実在したという事実は衝撃でした」

「わしも似たようなもんじゃよ」

 そんな会話をしながら街の中へと進んでいく。

「人がおるな」

「はい?いますね」

「すまん、つい言葉にしてしまった」

「はい、あ、そこの宿にしましょうか?」

 ナサルタちゃんはそのまま手近な宿屋へと入った。



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