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転生魔法少女は悪名「白い(ビキニの)悪魔」を払拭したい  作者: 安田座


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神の過失

 


 強敵は去った。 というよりあまり相手にされなかった。

 そして、その直後に魔法少年らしき人物が現れた。

 わたしは、その浮いている魔法少年らしき人物の元へすぐに近づいてみた。警戒はしなくてもよさげと感じたのです。

「あの?」

 ”やつ”の去った方を見つめる少年に問いかける。

「はい。

 初めまして、僕はナサルタ、お気づきの様に魔法少年です。

 皆様にお会いできて嬉しいです」

 振り向くと状況をすぐに把握した様に挨拶を返してくれた。

「こちらこそ初めまして、セビルと申します」

「早速、綺麗な方に会えて嬉しいなぁ」

「あの?

 今の敵とはどの様なご関係で?」

 変な聞き方だ~。

「ああ、敵です。

 あいつは僕らの国を襲っていたのです。

 ただ、途中で急に飛び去ったんですよ。

 ですので、ばらまかれた化け物を駆除してからすぐに追いかけてきました」

 現れた時間差はそれほど無かったけど、この人が速いのか”やつ”が途中で何かをしてたのかわからないや。

「”待て”って言ってたのが気になったのですけど、あなたは勝てるみたいな感じですか?」

「すいません、あれは虚勢をはってみただけなのです。カッコ悪かったですよね。

 逃がしたのは確かですけど、追いついても勝算があったかどうか……。

 いや、まともにやり合って無いけど、一人ではたぶん無理かなって」

「なるほど、あなたがくるのに気付いて逃げたとかでも無いのね」

「がっかりさせてごめんなさい」

「ああ、いえいえ、あなたには会えただけでも十分嬉しいですから。

 それから、少しお時間よろしいです?」

「もちろんです。

 あいつが飛んだ方向が僕の国の方では無いので、すぐに戻る必要も無いでしょうし、何より僕もあなた方との会話を優先したいと思ったので追いませんでしたから」

「では、こちらへ。

 あ、その前に、すぅ~~~~。

 ばっかやろう~~二度とくるな~~っ」

 息を大きく吸って”やつ”の去った方向へ向けて大声で叫んだ。

「……」

 少年は、一瞬何事かとあっけにとられていたことでしょう。

「ああ、気にしないでください、特に意味は無いので、というかほんとに意味無いや」

「そ、そうなんですか、まぁ気持ちは分からなくもないですけどね」

 その後、皆を紹介して、彼もお城に用意してもらってる部屋に一泊することになった。

 ちなみにテネさんは、ミラ様の亡骸をミラ様の家に運ぶために戻りました。

 ゴッドフォームのミラ様、ええと、面倒なのでミラ様のままにしますね。

 ミラ様の説明によると、

 先日、一旦家に戻っていたのは、自分の死を予測してその後の処理をしてきた見たいです。

 ミラ様のSWさんに、今朝になったら、家族に山に山菜を取りに行くと言って家を出る様に指示してあった様です。

 そして、本当に亡くなった場合、獣に驚き心臓麻痺を起こして倒れていたのをテネさんが発見して亡骸を家に運ぶという流れです。SWさんは、その時は消えちゃうので……。


 そして今、女子部屋の方にはミラ様を数えて三人居ます。沖田さんは男子部屋で待機してます。

「すいません、こんなんで……」

 ナサルタ”ちゃん”が少女の声で謝る。

 そうナサルタちゃんは向こうでは魔法少年だったけど、こっちでは女の子だったのです。

 変身を解いた彼女は、十四歳で銀髪ツインテールに翠眼という綺麗さ。

 変身すると魔法少年になるのは、そういうものと納得するしかないけど、見た目はこっちの世界の本体の情報がベースになるみたいです。

 なお、SWさんは男の子だそうで、ずっと外に出てもらってるそうです。本来の仕事が出来ないとぼやいてるとか。

「いえ、本体が女性ならこっちの部屋で無いと問題ですよね」

 まぁ、沖田さんなら大丈夫そうではあるけどね。

「お気遣い感謝です」

「ちなみに、魔法少年だったってことは変身フォームは一種類?」

「はい、ちょっとメカっぽいデザインですけど、基本能力はファイナルフォーム・ツーのスペック・ツーと同等だそうです」

 トリコロールカラーで、黒い部分とか気にしなくてもよさそうだっただけでもうらやましい。

 おや、なんか付いてる?

「すぺっくつ~?」

「どなたかに未完成で出しちゃったからだそうです」

「つ~が完成品なのか……」

 つまり、わたしのは未完成品、いや、十分役に立ったから問題なし。

 そういえば、バージョン0.94とかだっけ。

「神様、いろいろ造ってくれてますしね」

「ふむ、そうね。

 ちなみに、向こうでの生涯って、確認させてもらってもいいかな?

 わたしは、二千二十五年までしか知らないのですけど、その後の方ですよね?」

「ええ、二千二十六年からですので、もしかしたら……あ、です」

「わたしの後任かもしれないですね」

「そう、ですね」

「僕も、一つ聞いてもいいですか?」

「なんでしょう?」

「セビルさんって、一度地球に戻りました?」

「あ、はい、一瞬でしたけどね。

 その時は、もう一人こっちの知り合いも一緒に……。

 でも、どうしてそれを?」

「なぜ知ってるかでしょうか?

 それとも、なぜ聞くのかでしょうか?」

「あ、知ってるか、の方かな」

「なるほど、先に追加で質問です。えっと、その一緒に行った方ってどんな人ですか?」

「どんなって聞かれたら……分かりやすいのが、ものすごく嫌らしい目の男性かな」

「あの、もしかして、僕はその人を知っているかもしれないです」

「え?」

「えっと、日本で船橋駅前宇宙人出現事件というのがあったのです」

「え、まさか……ええと詳しく聞かせてもらっても? 覚えて無ければかまわないですけど」

「お心当たりがありそうですね。

 あと、地球には、あの事件を知らない人も覚えてない人もいないと思いますよ」

「もう、地球レベルって、ものすごく嫌な予感しかしない……」

「その者は、船橋駅の人通りの多い場所に居たんです。

 ぱっと見イケメンで身長も高くてどこかの軍服っぽい衣装も合わせてすごくカッコよかったのもあって、周りの人達が困っていそうなその人に話を聞こうとしたんです。

 そしたら、スマホも翻訳できない何語かわからない言葉を話すんです。

 しかしその人はすぐに忽然と消えてしまったんですよ。

 数名がその様子を動画や画像でアップしたところ、いろいろと考察が語られるようになって、その場所にコスプレイヤーまで現れる様になったんです。

 地元のテレビ局が、そのコスプレイヤーにインタビューした時に『あの嫌らしい目ってどうやって表現すればいいんですかね』って答えたのがまた話題になっちゃって……」

 わたしは笑い転げていた。

「このお腹がよじれるっていう感覚、前世も合わせて人生で初めて体験したわ」

「失礼な奴じゃの」

「わたしもそう思います。

 でも、スコットくんの事だと思うとおかしくって」

 反省しよう、でもおかしいのよ。

「うらやましいです、そのスコットさんを知らない僕にはツボがいまいちはっきりしないので。

 さて、そんな話が広がったこともあって、後日それなりのAIで彼の言動が解析されたんです。そうすると、”セビル”って部分だけ何度も出てくるのと、なんとなく聞き取れるので名前では無いかということで、その人を探している的に判断されました」

「なるほど、たぶん正解だ。

 それで私の名前が出たのね。

 ああ、面白かった。笑い死ぬかと思ったけど」

「大丈夫ですか、話はまだ続きますけど?」

「え”?、これ以上って、本当に笑い死ぬかも」

「大丈夫だと思いますよ、かなり方向が変わってきますので……」

「はい、怖いけど、もう聞かないわけには行きません。お願いします」

「その後、投稿された動画や画像に違和感を覚える人たちが出て来たんです。

 そして、事態は急転しました。

 何かの専門家が、彼の骨格が地球人類のどの種族とも微妙に合致しないという分析結果を発表しました。

 しかも、当日って神様が魔法少女廃止のお知らせCMを流した直後だったこともあって、宇宙人の侵略がまた始まったのでは無いかと騒然となったのです」

「え?」

「そうすると、今度は、なぜ日本の船橋なんて特に軍事的にも政治的にもあまり役目の無い場所に現れたのかって」

「そうね、習志野駐屯地とかが近いと言えるかもだけど宇宙人興味ないよね」

「だから、船橋というよりもあの周辺に注目されたんです。

 あの辺りは埋め立てエリアであり、しかも風の影響を受けやすい場所なのに電車を地下鉄にせず高いところに線路を造ったりしてるんですよ。

 鉄鋼団地なんてのもなんであそこにあるのかって、いろいろと勝手な考察が出てきました」

「そういえば、あの辺りの路線って東京に近いところでは地下に潜るわね」

「で、その辺りには埋め立ての際になんらかの施設が造られていたからでは?と憶測されたところで、宇宙人対策用の秘密基地じゃないかって予想が続いたんです。

 だから、それを宇宙人が調査しに来ていたと騒ぎ始めたんです。

 そのせいで、周辺の巨大行楽施設や巨大商業施設の移転の噂とかデマも出て来ちゃって、周辺の地価が下がったりするだけでなく、市場もたいへんなことになって経済に大きな影響がでたんです」

「うわぁ……でも確かに神様のCMが無ければ、そしてタイミングが合わなければそこまでにはならなかったでしょうね」

「で、そこから飛躍するのですが、大事になったことで、逆に宇宙人への対抗に向けて前向きな意見や行動が増えだして、世界中の人の思いも集中していったんです。

 そして全人類が一つになって立ち向かう事態だとして世界が動き始めました」

「めちゃ大げさになっちゃった……」

「さらに……」

「さらに?」

 まだ、続くの……。

「ええ。

 この少し後に、ある機関が回収していた駅の監視カメラの動画が公表されたんです。

 それで事態はさらに急変します」

「さらにって……」

「その男は突然消えただけではなく、突然現れていたんです。

 確かに、そういう証言をしている人も居たのですが、信憑性に欠けるって重要視されて無かった。 でも、それが証明されました」

「ああ、なるほど、そりゃ突然だわね」

「で、最も震撼させたのが、二フレームだけ映っていた人陰です」

「え?」

 もしかして……。

「その人影が彼の言っていたであろう名詞の者としてある意味特定されたんです。

 ただ、女性っぽいんですけど、監視カメラの動画では判明できませんでした」

「それ、わたしだ……ん?震撼?」

「そしてその影のことを”セビル”ではなく”デビル”って言ってるんじゃないかとなり……。

 言語学者が、セビルの部分を悪魔と仮定して解読してみたら、

 ”悪魔に消される、皆逃げろ”

 みたいな意味で文章になっちゃって……」

「そんなぁ、わたしの名前を悪魔かぁ、その単語ほんと嫌い」

「で、神様は本来そういうことには関わらないのですが、どんどん混乱していくので、自分のCMのせいもあるからってまたCMを流したんです。

 ”悪魔は居ません。宇宙人とは話が付いてるので侵略してきません”みたいな内容です」

「あらま」

「それで、いちおう事態は収束しました。

 神様、全人類が一つになった感じは少し嬉しかったみたいでしたけどね」

「なるほど」

 ふぅ、いちおう収拾がついたならいいか。

 つまりスコットくんは宇宙人ってことにしたのね。

 って言うか、スコットくんが全人類を一つにしたってことにも……。

「なぜ聞くのかの方もいいかの?」

 話が落ち着いたからか、ミラ様が聞いた。

「わたしも聞きたいです。この際、毒を食らわば皿までよ」

 面白そうって言ったら怒られるかな。

「ああ、そっちはそんな重くないです。 ただ、二つほど確認したくなったからです。

 一つは、神様が自分のCMのせいだっていう部分がちょっと違和感があったのですけど補完できましたのですっきりしました。

 セビルさんがあの影で男の人がご友人ということで納得です。

 二つ目も同様に納得できましたけど、

 セビルさんの名前を聞いた時に、単純にこちらの世界から向こうに行けるのか確認したかったからです」

「神様が呼べばですけどね」

「そうですね。 でも、それが不思議に思えてきました。

 どうしてセビルさんが転生してることを知っていたのか?、とか、他の方も呼ばれてたりしないのか?とか、いろいろ……」

「迷ったが教えておこう、わしも呼ばれた。

 その際に、このゴッドフォームを授けられていたらしい。

 我々の知るのはこの二人のみじゃ」

「ええ~? あっさり二人目が居た~」

 ナサルタちゃんが驚きの声を上げる。

「セビルは魔法少女終了を知らせるため、わしの存在はそのセビルの魂から勝手に得た情報ということになっている。

 それで、沖田も言っておった。

 二人が呼ばれた時期をそのまま解釈すべきか、とな」

「こちらとしてはすごくベストなタイミング……あ」

 ああ、そういうことね、これを偶然と考えるかどうかか。

「そうなのですね。

 では、もしこちらの状況を把握してたとしたら、何か助けてくれるとか?」

「そうじゃな。

 そういう目線もあるじゃろうが、沖田は神の方に何か目的があり、こちらの情報を運んでいる者が居る可能性も考えておった」

「つまり、地球の神様がいつか戦うことになるこっちの神様を始末するために私たちを送り込んだってわたしの予想って近くないですか?」

 前にそう言った時は流されたけど、ほんのちょっと可能性が出て来た? でも、そうだったら、よくないけど。

「それは好きに想像しておけ。

 それと、この話はここだけにしておいてくれるかの、沖田には必要があればわしが話す」

「わかりました」

 もしかしてテネさんを疑ってる?

「わたしも疑われてますよね?」

 ナサルタちゃんも信じられるけど、証明のしようも無いかぁ。

「今のところ、事態には悪意が全く入っていないので問題は無く、今後も助けを期待していては何もできん。

 じゃから、気にしないということじゃよ」

 想像で勝手に疑心暗鬼になっても無意味だもんね。

「ところで、”やつ”が言ってたガレンダ大陸って知ってます?」

 ナサルタちゃんに聞く。

「知らないです。

 でも、大きな大陸があるのは見えるので、そっちの方かと」

「もしかして、かなりの高度まで上がれる?」

「ええ、星の全景がわかるくらいには」

「おお、さすがスペックツー」

 いいなぁ。

「それでは、沖田を呼んで、今後を相談しようかの」


 この後、まずはナサルタちゃんの国へミラ様が一緒に行って他の魔法少女とも合流を進めることになりました。




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