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新最強フォームにがっかり、でも気力はしっかり

 


「なんじゃこりゃ~」

 わたしは、つい大声で叫んでいた。 夏季休暇中なので、帰省で学生寮にはほとんど人は居ないのだけど、誰にも聞かれて無いといいなぁ。

 なんで、こうなったかというと……


 わたしは、ついさっき東自治区のシクセトから学生寮に戻って来ました。

 そして、予定通りだけど、帝国の調査に行ってくれてたカナデも戻っていました。

 すぐに、それなりにお互いの情報を出し合ったのです。

 カナデが得た情報としては、十歳児の徴兵場所というか訓練所をようやく特定できたらしいです。

 彼らは、十一歳になれば、そこから例の壁に連れて行かれるはずなので、見張っていれば何かしらの情報が得られるはずなのだ。

 だけど、我々を警戒してなのか、魔導士がそれなりに駐在しているようなので、どこまで入り込めるかはわからないらしいです。

 あと、例の襲撃事件の首謀者が特定されて叱責されたという事らしいです。

 で、わたしの報告の流れで、ファイナルフォームの強化版について試してみる事になった。 もちろんスコットくんの話は流された。

「ええと、神力変装、ファイナル~フォ~~ムっツ~?」

 おお、できた。 途中でフォーム名を迷ったけどツーで当たった。

 ところが、カナデの顔を見たら、笑いをこらえているじゃない? もしかして……。

 あ、腕や足のデザインは少しスマートになった気がするけど、第一装甲~~~~。

「なんじゃこりゃ~」

 と、声が出たのです。

 ファイナルフォームは、まぁ普通っぽいビキニだったのが、上は細めのチューブトップ、下はローレグと見える肌色部分が増えているのよ。

 これじゃ、ただのファイナルフォームの方がましじゃん。

「ぷぷっ、あ、ええと、とても強そうね……ぷっ。

 それに見た目は十歳くらいかな? とっても可愛いじゃない。 ふふふ」

 カナデはわたしに目を合わせない様にしながら感想を言ってくれた。くしょぉ~。

「うが~、火力が上がってるっていってたけど、できればこのフォームは使いたく無いなぁ」

「でも、火力は絶対必要だと思うわよ、ふふっ」

「わかってらぁ~、あ?」

「どうかしたの?」

「今、マニュアル表示してみたのだけど、これどう思う?」

「何々?」

 カナデは顔をくっつけるように並んできた。

 マニュアルは、変身状態であれば顔の正面で見える位置の空間上に表示される。でも、反対側からは見えない。

 ファイナルフォームⅡのタイトルが見えるのですが、わたしが気になったのは、カッコ書きで”リーダー:Version0.94”と書いてあることなのだ。

「これ、リーダー用ってことなのかな?」

「そう書いてあるし、そうなんじゃない? わたしが見てもわからないけど、あなた、昇進したのよきっと」

「おお~って、それ何の意味があんのよ」

「ですよね。 でも、いちおうおめでとう」

「はっ、待って……。

 神力変装……ふぁいなる、ふぉ~む?」

 リーダー用フォームというので思い出したことが……。

「あちゃ~」

 カナデの反応がもうそういうことだ。

「やっぱりか~」

「リーダー用は白黒カラーは反転してたりしたもんね」

 ファイナルフォームは、白いずんぐりむっくりなロボットのボディに小さい手足が生えているというカッコ悪さだった。

「それに、つまりですよ、中は裸じゃんか~」

「そうなるね、見えないけど」

「ああ~~っ!」

 もう一つ、気付いた。

「こ、今度は何さ?」

「チェンジツー……ああ、やっぱし」

 わたしは、さらに落ち込んでいた。もう、泣きそうです。

「どうしたの?

 ああ、少しデザインが変わってるね」

「やっぱりこれもリーダー用デザインになってる」

 ウィンドフォームは、ボディ横のラインが透けるのがちょっとあれだったけど、まだましな方だった。

 ところが、リーダー用は黒ラインが腕と足の付けねあたりを覆うようにも付いてるのだ。

 つまり、横乳とハイレグで恥ずかしさ増し増しの見た目になってしまったのです。

 それで、わたしが落ち込んだ理由は、この姿でグレッドさんの前に出てしまっていたことに気付いたからだった。

 あの時は、まさか変わってるとか思っても見なかったのだ。絶対痴女だと思われた。知ってたら、白い箱、いやファイナルフォームで行ってたのに。

「厳しいね。

 そうするとシャドウフォームは確認するまでも無くやばいね」

 シャドウフォームのリーダー用は、パール紫の部分が漆黒なのだ。 スカート以外ほぼ全部である。

「元に戻してくれないかなぁ。 というか黒を全部他の色にしてよ~」

「次の機会があればいいね」

「既に他人事か」

「あ、もしかしたら、物理側も増えてたり?」

 カナデは話を逸らした。

「なるほど、ファイナルフォームって神力側の最大値だもんね。

 ええと、チェンジナイン……だめか。

 じゃ、チェンジゼロ……うおっ、来た」

「あら、可愛い」

 カナデの目がちょっと輝いている。

「え? そうなの?」

 自分で見てみる。 ちなみに個室には姿見は無いのです。

「魔法少女って感じのがやっと来たね……でも……」

「うん、でもって付くよね、やっぱり」

 口調は棒読みになる。だってさぁ……。

「白とピンクメインで黄色と青と赤がちらほらというカラーリング。

 軽装な感じでスカートもひらひら……。

 フリルとかリボンとかハートマークもあちこち付いてるね」

「はい、各部品は可愛いです。 なのに、この見た目年齢って二十歳くらいかも」

「スカートの下も青のスパッツ系だし物理戦では使えるんじゃない?」

「いや、だから見た目年齢二十歳のしていい恰好じゃ無い気がするの」

「いろいろ見えるより何倍もましでしょ。

 猫耳もとっても可愛いじゃない」

「猫耳~? さらにそんなのも付いてるんかよ」

 頭を探ってみた、確かに感触があった。

「尻尾もあるわよ。

 ああ、きっと必殺技は猫パンチだね」

 カナデは招き猫の様なポーズを取る。

「んん?

 あれ、なんか、ニャーニャー聞こえて来た」

「え?

 猫が外に居るのかな? わたしには聞こえないけど」

「こっちの耳かぁ~。あ、消えた。

 触ることで猫の声を拡大して聞く機能のオンオフっと、どうでもいいわぁ~」

 ただの装飾では無かったけど、う~ん。

「猫探しをするときには重宝しそうね」

「あっ、それだ~。

 思い出した。 わたしが魔法少女になったばかりの頃、神様に提案した記憶があるの、猫探しする時にそんな機能欲しいなって。冗談だったのに。

 そして、魔法少女っぽい衣装も、たぶんだけど、どのフォームも魔法少女らしくないって苦情っぽく言ったやつかも……」

「なるほど、ユーザーのご意見を無視せずに対応しててくれてたんだね」

「まさか、わたしが、早々に死ぬなんて思って無かったんでしょうね。

 でもさ、なんか、それを思ったらこれで頑張る気になれたよ。

 考えてみたら、これまでも恥ずかしい姿しか無かったし」

 さっきからそう言われてましたね。

「前向きなあなたが戻ったわね。 なんか比較対象があれだけど」

「それに三十日で結果が欲しいもの」

「そこそんなに重要?

 いや、違うわね。

 まさか、あなたが恋愛脳になるとは思って無かったわ。 そうなれって感じで言ったけどさ」

「わたしも思って無かったわよ、こんなに誰かの事考えてるのなんて初めてだし。

 すぐに飛んで行けると思うと、行きたくてたまらなくなる。

 三十日の期限だって、次に逢える理由とか、そういうふうに捉えてしまう自分が恥ずかしい。

 今は、真剣に勝てる事を考えない時なのに」

「愛は力でしょ」

「そんな恥ずかしい事をよく言えるよね。

 でも、それも確かに実感してる。 申し訳ないけど、気力は以前の比にならない」

「じゃ、まずはファイナルフォームツーの力を試してみましょうか。

 離れた海の上で空に向けて撃ってみるとか、どう?」

「そうだね。

 今から、ミラ様のとこに行ってくるよ。

 で、もう一つ思い出した」

「何?」

「カナデがマイリス先生になんでわたしを守るように言ったかがわかったのよ」

「話が全然変わった~。

 でも、あれって、あんまり意味ないわよ」

「いやいやいや。

 馬車で時間あったから、いろいろ考えてたのよ、婚約の件とか、正体ばらそうかなぁとか。

 何か、会う機会無いかなぁとか、そしたらね、気付いたのよ。

 わたしって、ほとんど出払ってて、いつも学生やってるのカナデじゃん。

 その自分を守ってってさ、関われるチャンスを増やしたのね。

 そもそも、わたし達って守られる必要無いのにさ」

「ふふ、まさかあなたに気付かれるとは思ってなかったわ。

 そうね、たぶんわたしあの人のこと好きなんでしょうね。

 一緒に居たいと思えるから」

 カナデのこんなに照れた表情は初めて見た気がする。可愛いじゃない。 あ、もしかして自分もなのか?

「はっはっは。

 ……人って変わるのね、感情だけで見える世界がこんなに変わるなんて」

「グレッドさんとはうまくいかなくても、それに気付けてよかったじゃない」

「まだ、わからないやい。 頑張って、蒸し返すもん」

「リスタートするとかにしようよ」

「はい」

「こんな話ができるなんて、想像もしてなかった。 なんだか嬉しい」

「そうね。 向こうの世界でも、そのうちそうなったかもだけどね」

「あ、西自治区の方お願いしてもいい?

 東自治区は三十日動かない約束してくれたから、そっちもそうしてって。

 いや、そっちがわたしが行くから、ミラ様に伝えておいてくれるかな。行きますって」

「いいわよ。

 あの隊長さん、もう退院してるかな。 もう隊長じゃないかもだけど」

「たぶん。

 難しそうなら娘さんの方でもいいかなぁ。

 とりあえず、そっち行ってきます。

 神力変装ファイナルフォ~ムツ~。

 よし、今宵の私は、いつもよりきっと早く飛べるはず」

 ファイナルフォームツーが、なんか早そうな感じがしたので、これにしました。

「ほんと舞い上がってるわね」


 わたしは西自治区の隊長さんのところへ、カナデはミラ様の元へとそれぞれ向かった。

 ミラ様も自宅に戻ってるといいけど、レーバルト大陸って遠そうだったしなぁ。




すいません今回も話はほとんど進んでないかも

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