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第四話 シェアハウスの住人との初遭遇

朝早く人事課に出社し日課のメールチェックをしていると、

昨日の返信が一件きていた


「出社したら内線しなさい」


これだけである

俺は恐ろしさをこらえながら内線をかけると3コールで相手につながった


「今から201会議室に来なさい」


それだけ言うと切られた

俺の予定は無視かよ・・・


会議室のドアをノックすると「入っていいわよ」との声がかかったので、入室する


「人事課より参り「そこに座って」」


マジかよ・・・

挨拶すらろくにさせてもらえないとか・・・この人は社会不適合者なのか・・・


「で?あんたが新しい管理人?」


すさまじいまでに高圧的に聞いてくるのは、

エース陣のまとめ役でシステム課の吉祥寺彩姫(きちじょうじさき)である。

すごい値踏みの目だな・・・


「いえ、私は管理人ではありません。そのことでご相談に参りました」


眉をぴくっと動かし、さっきよりも冷えた目で俺を見てる

こえぇ・・・帰りてぇ・・・


「で、何?」


「管理人の件ですが、対象者に直接交渉しましたが希望者がおりませんでした。また、私も管理人としての業務に関してはお断りさせて頂こうと考えております。」


「・・・」


うおぉ・・・

沈黙が一番怖いな


「で?私たちにどうしろというの?やめさせる?」


「いえ、そのようなことは考えておりません。ですが、現状のままでは管理人が不在となりそれぞれで住んでもらう必要性がありますがそれはできないんですよね?」


「無理ね」


即答だ


どうしたもんかと考えてると吉祥寺さんが先ほどまでのプレッシャーが嘘のように普通のテンション質問してきた


「ちなみにあんたは何で管理人が嫌なの?」


「自ら死地に赴くほど耄碌(もうろく)しておりませんので」


普通のトーンで聞いて来たので思わず普通に返してしまった

今思えばここで本音を言わなければ・・・


「・・・どういう意味かしら?」


なんて怖い笑顔なんだ・・・

笑顔ってこんな怖くできるのか


「いや、あの」


「正直に答えないと後が怖いわよ?」


今すでに怖いんだが・・・

俺は何とか心を落ち着かせ気合で答えた


「ご存知かわかりませんが、この3年間シェアハウスの管理人になった社員が全員退職しています。その数5名。うち3名は何も言わず退職です。そのせいか、引継ぎも何もなしですからね。そのような環境のところに行きたいとは思えません」


言い終わった後恐る恐る吉祥寺さんを見ると、

悲しそうな、憤りを押し殺しているような、そんな表情をしていた


「それは私たちも知っているし、それ自体は申し訳なくも思っているわ。多少だけど。ただ、あなたが知っているのは上辺だけの情報で事実は知らないようね」


「事実とは?」


その質問に対して吉祥寺さんは


「そうね。あなたが管理人になるのなら教えてもいいのだけれどそうでないなら無闇(むやみ)に話すわけにはいかないわ。内容が内容だけに。」


ふむ


そこまで言うならよっぽどだろう


「何かしら理由があるのは承知しました。しかし、私に住む気が無いことに変わりはありません。ただ、会社の今後を考えても皆さんをやめさせるわけにはいきません。理由は教えてもらえないのであれば、せめて皆さんが管理人に求める条件をお聞かせください。」


そう。俺がするのはあくまで交渉だ。よりよい折衷案(せっちゅうあん)を見つけ出し何とか最悪の事態を乗り切りたい


そんな願望をぶった切るのがこの人、吉祥寺彩姫だ


「条件はあんたも知ってる通りよ。それ以外の条件でいえばそうね真面目なことくらいかしら」


何なんだよその条件は!真面目って!


くそう、何も解決できんぞこのままじゃ!


すると、ため息交じりに


「無駄な時間を過ごしたわね。もういいわ。皆と今後のことで話し合うわ。おそらくここにはいれないでしょうけど」


そう言うと悲しさと、儚さと、不安が入り乱れて言うような顔を見せた・・・


不謹慎ではあるが何て魅力的なんだと思ってしまった


ただ、もし、退職となると会社もやばいだろうな・・・


それよりも、さっきっ見せた表情が気になる・・・


はっ!なにを考えてるんだ俺は!相手が超絶美人でスタイル抜群だからといって騙されるな!

相手は俺のことを螻蛄(おけら)くらいにしか思ってないぞ!


「そうですか。承知しました。では、こういうのはどうでしょう?1週間私がシェアハウスに仮の管理人として住みます。そこでの生活ぶりを見て判断する。というのは?」


ん?俺は何を言ってるんだ?


その時、吉祥寺さんの顔がニヤリとした笑顔に変わった


「それは良い案ね。明日から、いや、今日からよろしく」


かかったと言わんばかりの表情だ


くそう!俺の純真な心をもてあそびやがって!

あんたみたいな美人にあんな表情を見せられると何とかしたくなるだろう!

普通の男なら助けたくなるだろう!!


俺は絞り出すように一言


「・・・承知しました・・・」


自分で言った手前取り消すこともできない

これで話は終わりといった感じで吉祥寺さんが席を立ってこっちに向かってウィンクをし


「ありがと」


去り際に一言発して出て行った吉祥寺さんを見て俺は誰もいない会議室で一言・・


惚れてまうやろ~!!!


小さな声で叫ぶという器用なことをしつつ俺も会議室を後にした


お読みいただいて誠にありがとうございます。

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