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40 よくわからない事ばかり

「うんと、簡単に言うとね、ゲルトルートの妹さん――イドゥベルガを誘拐した犯人の黒幕は『デルブリュック・ロイス・ユンゲレリーニエ』ですって」


 私がそう言ったとたん、エディタとゲルトルートの二人は弾かれたようにソファーから立ち上がりました。


「『デルブリュック・ロイス・ユンゲレリーニエ』……ですって!?」


 エディタはそう言ってゴクリと喉元を大きく動かすと、


「そ、それは本当の事なのですか?」


 と、やっと声を出した感じで吐き出すようにいいました。


「さぁ、私にはホントかどうかなんて分からないわ。でも本人がそう言っていたのよ。おかしいでしょ?」


 エディタは眉をひそめます。


「そ、それで。いずみ様はそのお話しを信じたのですか?」


「まぁ嘘をついている。って証拠もなかったですしね。取り敢えず嘘ではない事を前提に話を聞きましたよ」


 真実全てを語っているとは到底思えませんでしたが、話した感じ大枠は信じてあげても良いんじゃないでしょうか?

「それで、エディタはどう思うの?」


 私が逆にそう質問すると、エディタはヘタリ込むようにソファーへと腰をおろしました。

 そうして顔に手を当てながら何かを考え込んでいます。


「いずみ様が聞いたお話を頭から信じては危険だと思います。よしんば語った範囲では嘘をついていなくても、あえて語らなかった範囲で何かしらの思惑があるのでしょう」


「そうね、私もエディタの意見に同意見だわ」


 私が考えていた事とほぼ同意見な事に私は少しだけ苦笑しました。


「それで、なぜそのような事をしたか、って事はお聞きになったのですか?」


「えぇ、話してくれましたよ。どうも国王の遺言の内容が知りたかったみたいね。でも期限が来るまで秘匿されている内容でしょ?王宮でも知りうる立場にいる人は少数だったみたいだし。そこでイドゥベルガのお父さんに目をつけたみたいね」


「そ、そんな事の為だけに妹にあんな事をした、本当にそう仰るのですか?」


「向こうはそう言っていたわ。それでね、どうも髪を切り落としたりしたのは向こうの手違い、というかデルブリュックは妹さんに危害を加えたりそんな事するつもりなかったって。まぁただ単に部下へ責任を押し付けているだけかも知れないけど」


「それこそ信用できません!」


 ゲルトルートは声を荒らげた後、はっとしたように口を押さえました。

 まぁ私も無条件で信用したりはしなかったけどね。


「わ、私は信用しません、信じません」


 今度は声を抑えながらゲルトルートはそう断言しました。


「あ、そうそう。私も聞き忘れたけど気になる事があるのよ」


「気になる事……?それは何でしょうか?」


「ほら、以前にエディタが車で誘拐されそうになったことがあったじゃない?」


「はい、それもデルブリュックという人の仕業ではないですか?」


「それに、私とエディタが初めて出会った、あの大使館のテロリスト騒ぎ」


 私がその話題を出すと、あの時の事を思いだしたのか、僅かに恐怖の色を顔に出しました。

 まだまだそんなに月日が立っていない事件です、無理が無いのかもしれませんね。


「あの事件って結局どうなったの?何か聞かされている?私はあまりテレビとか見ないから分からないけど」


「……大使館のテロリスト事件の方は、犯人達はマルセイユに拠点を置く、お金で非合法活動を請け負う組織に属していたようですね。今だ背後関係を調査委中と聞いたことがあります。私の誘拐未遂事件の方は私も詳細は期されておりません」


「ふーん。そうなんだ」


「それらの事件と、イドゥベルガの誘拐事件は関係が無いとは思えません」


「私もね、そう思ってはいるんだけど、彼、あの場ではそれについては特に何にもいわなかったのよね」


 まぁ新聞記事を見せられたりはしましたが。


「じゃ意図的に話題にしなかった、と?」


 私はうん、と頷こうとしましたがちょっとだけ考えて、


「いや、そう言うわけでも無かったんだけど……ねぇ、あの事件ってデルブリュックと関係がなかったりする可能は無い?」


「えっ!?でもそれは――」


 エディタは驚いた顔をして私の顔をじっとみつめました。


「うん、状況から見ればデルブリュックが関係してる可能性が高いとは思うんだけど。実は彼、イドゥベルガの誘拐事件についてはペラペラといろいろ喋ってくれたけど、それ以外の事については殆ど触れなかったのよね」


 話は終始、イドゥベルガの誘拐事件や遺言状の事ばかりでしたし。


「……それはいずみ様が主題にしなかったからあえて自分からも話題にしなかった、という事ではないでしょうか?」


 うーん。

 やっぱりそうなのかな?

 どうも話を誤魔化す、はぐらかすのが上手そうな感じだったしなぁ。

 あの時、話題に出さなかったのがちょっと悔やまれます。


「そうね、まぁその可能性も高いんだけどね。ちょっと気になってしまって」


 二人ともだまってじっと私をみつめます。

 その後も私達3人は推測や憶測も交えた話を何度か繰り返し、結局は何も結論が出ないままその日は解散となったのでした。

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