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03 手っ取り早く【スキル】を使おう

 登場人物紹介


 今井いずみ……主人公。異世界で20年程勇者として過ごした後、元の世界に返ってくる。

 今井隆(いまいたかし)……主人公の従兄弟。今井ファイナンシャルグループの取締役の一人。

 今井誠司いまいせいじ……主人公の従兄弟。今井ファイナンシャルグループの社長。






 ★★★★★


 はぁ、もうメンドクサイなぁ。

 私はもう、どうでもよくなってしまったのだ。

 だから――手っ取り早く【スキル】を使う事にした。


「大体、いずみは昔から――」


 まだ何かを言おうとしてる隆の頭を両手で鷲掴みにすると、スキル【洗脳ソールエンスレーヴメント】を使用する。

 スキル【洗脳ソールエンスレーヴメント】、私の使うソレは別名『魂の奴隷化』とも言われ、洗脳スキルの最上位です。

 その名の通り本人の望まない方向へ急速かつ大幅に考えを改変させることが出来ます。

 私が異世界で『黒の勇者』や『闇の魔女』などと呼ばれていたのはこのスキルが使えたからだ。

 聖剣持ちの勇者やごく一部の特殊なアイテムを持っている者、若しくは非常に精神力が高い相手には通用しないが、それ以外の多数の者には絶対的な効果があるスキル。

 それだけでなく一度【洗脳ソールエンスレーヴメント】に成功した場合、絶対に解けることなく効果は永続的に続くという、文字通りの悪魔のようなスキル。

 あの自称女神は『効果は若干変わるスキルもあると思いますが大体はそのまま使えるはずです』と言っていたけど、どうやら嘘は無いみたいだ。

 このスキルは特殊で通常の使用間隔は設定されておらず、チャージと呼ばれる特殊なポイントがある限りは連続使用が可能である。

 今のチャージは2だったので、使えるのはあと一回。

 チャージが溜まるのには時間が掛かる為、先程の【カモフラージュ】みたくほいほい使えないのが弱点と言えば弱点かな?


「が、何――」


 突然の出来事に目を見開く隆だけど、無視してそのまま【洗脳ソールエンスレーヴメント】する。

 仲が特段悪いわけでは無かったので、ちょっとだけ心がチクっとしたがまぁしょうがないよね。

 私は隆の頭から手を離しながら、机に頭を打ち付けないように静かに頭を置いた。

 見ると隆は目を見開き、大きく開けた口からはよだれが滴り落ちる。

 これも【洗脳ソールエンスレーヴメント】の弱点の一部ね。

 【洗脳ソールエンスレーヴメント】の途中経過は明らかに見た目が普通の状態ではないので、二人きりとかにならないと使いずらいのだ。

 そのまま待つこと数分後、隆はゆっくりと頭を起こした。


「隆、大丈夫?」


「あぁ、いずみ。大丈夫だよ。それで社長に……誠司に会いたいんだったな。スグに手配するから待っててくれ」


「ありがとう、お願いね」


 そう言って私は微笑む。

 【洗脳ソールエンスレーヴメント】は基本的な人格はそのままなので他人から見ても違和感を感じにくい。

 今の隆も私の要望を叶える事に最優先で行動するってだけだ。

 それ以外はいつもの隆と変わり映えがしないはず、よね?

 そんな事を思いながら、内線電話から何処かに電話する隆を私はじっとみつめていた。


 ★★★★★


 隆から案内された部屋で待っていると、暫くして一人の男性が入ってきた。

 どこかで見覚えのある顔……誠司さんだ。

 うわぁ~老けたな~という感想がまず浮かぶ。

 誠司さんは私より9歳上だから……今は50歳近い年齢か。

 誠司さんは私をチラリと一瞥すると、隆に向かって口を開くと、


「私に至急会わせたい人物というのは彼女の事か?見覚えのある方のようだがどのような方だったかな?」


 と言った。

 やっぱり誠司さんも私の事を気が付かないか……。

 ま、20年ぶりだし仕方ないけどさ。

 そんな事を思いながらも私は隆が口を開くより先に挨拶をする。


「誠司さん、お久しぶりです。元気にしてましたか?」


「……申し訳ないが、貴女の事を良く思いだせない。どちらで出会った方だったかな?いや、見覚えがあることはたしかなんだが……」


「いずみです。誠司さん」


「いずみさん?」


「今井いずみですよ、従姉妹の」


 それを聞いた瞬間、誠司の眉がピクっと動く。

 おー、さすが誠司さん。

 普通驚くはずなんだけど、やっぱり大会社の社長ともなると大抵の事では顔に出さないんだ。

 そして隆の方へ確かめるように顔を向けると、隆が大きく頷いた。


「……なるほど、本当にいずみなのか。そう言えば思いだしたよ。確かにその顔はいずみだ。……それで、長い間音信不通だったいずみが、今日は何の用事かな?」


「えっと、暫く遠い所に行っていたんだけど、やっとこっちに戻ってこれたんだ。それでね、事情があって無一文になちゃったから、ちょっとお金を貸してもらおうと思って」


「ほぅ、お金、ね」


「うん、本当は伯父さんに頼もうと思ってたんだけど、伯父さんは亡くなってて、今は誠司さんが社長だって聞いて」


 ここまで聞いても誠司さんは落ち着いている。

 さすがだ、隆は怒りを露にしたのに、さすが誠司さんは格が違うね。


「……事情は分かった。だけどねいずみ、それならなぜ先に実家に頼らないんだい?私よりまずそっちに頼むのが筋だろう?」


 うん、全く持って正論です。

 まぁ、普通はそうだよね。

 でもあそこにはあまり立ち寄りたくない。

 このままでは埒が明かない気がする。

 さてさて、どうしようかな?

 私は少しばかり思案をし、そして軽く溜息を付くとゆっくりと立ち上がった。


「おや?いずみ。退席するのか?ならば出口まで送らせよう。おい、隆――」


 そして私はおもむろに誠司さんに向かって手を伸ばし、頭部を掴んだ。


「!!!!」


 何かを叫びそうな気配がしたので、片方の手で口と鼻を覆う。

 私は手っ取り早く、スキル【洗脳ソールエンスレーヴメント】を使ったのでした。

 誠司さんはそのまま脱力し、ピクピクと痙攣している。

 そして私は後ろを振り返ると、


「隆、誰も入ってこないように見張っておいてね?」


「分かった、何分ぐらいかかる?」


「うーんと、長くても10数分ぐらいかな?普通はもっと短くて数分ぐらいだけど」


「分かった、そんな短時間なら大丈夫だろう」


 そう言って部屋から出て行った。

 部屋の前で誰も入らないように待機してくれるみたいだ。

 そして私は再び誠司さんに視線をやる。

 これで【洗脳ソールエンスレーヴメント】に必要なチャージは全部使ってしまった。

 暫くは使えなくなるけど……まぁ仕方ないよね。


 そして見守る事数分、誠司さんはゆっくりと顔を起こした。


「誠司さん大丈夫?」


「……あぁ、大丈夫だよ」


「それで、私はお金が必要なんだけど、ちょっと貸して貰えない?」


「いいだろう……。どのくらい必要なんだ?」


 あ、金額考えてなかった。


「そうねぇ……。逆に聞くけど幾らまでなら大丈夫なの?」


「そうだな、当面はこれで大丈夫か?」


 そう言って誠司さんは自らの財布を出した。


「100万ぐらい入っていたはずだ。足りるか?」


 100万か、うーん、暫くこっちの世界から離れていたので多いか少ないかよくわからなくなってるな。


「とりあえず貰っておくね。それで最大だと幾ら出せるの?」


「私の個人資産でいえば、ある程度時間を掛ければ100億ぐらいはどうにでも出来る。それ以上は会社の資産に手を付ける必要があるな」


 個人資産が100億とはまたすごい!

 さすが日本でも有数な会社の社長なだけはあるね。

 でもこれでやっとお金の心配はなくなったかな?

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