表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/43

23 黒いいずみ

 私は笑みを浮かべながら質問に答えてあげます。


「私の正体はナイショよ?目的はバルナさんの事って言ってわかるかしら?」


「バルナ……?誰だそれは?し、知らんぞ」


 太っちょは怯えた表情をしながら首をかしげて否定します。

 うーん?

 何か嘘を付いている雰囲気でもないですね。

 本当に知らないんでしょうか?

 あー、この手のボスは細かい名前までは覚えていないかもしれませんね。

 なので言い直してあげます。


「バルナで分からなければ、ロイス・グライツ王国関連っていったら分かる?」


 その言葉を聞くと太っちょはさっと顔色を変え、明らかに動揺した様子を見せ始めました。

 こんどは効果てきめんだったようですね。

 心当たりがあるのが見え見えです。


「そ、その国がなんだと言うんだ」


「妹さんは助けたけど貴方達の目的がよくわからないのよね?なんで前国王の遺言なんて調べてるの?」


「……アレをやったのはお前か!なんでそんな事をする。お前はこの国――日本の人間なのだろう?まったく関係のないことだ」


 そう言うと、暗い顔をして押し黙ってしまいました。

 うん、正論です。

 私にはまったーく関係のないどーでもいい事です。

 本来なら無視してもいいはずなんだけど、これも乗り掛かった舟ってやつなのよね。

 私の中でエディタはどーでもいいランクの上位に入ってしまっているのだ。

 さて、これで目の前の太っちょが何らかの情報を持っているのがハッキリしました。

 でも太っちょはこれ以上何かを言うつもりは無いようです。

 さて、これからどうしようかな?

 そう思っていた矢先の事。


「お前は自分の腕に自信があるようだが、あまりつけあがらないほうが良いぞ、お嬢さん」


 その言葉と共に、今度はドカドカと音がしてさらに何人かやってきました。

 先程のチンピラさんと違う所はめいめいが武器を持っている所ですね。

 それに先程のチンピラさん達はまだ油断があったというか、私が不意をついた形で攻撃しましたが今度は違います。

 見るからに殺気立っていますし、よくよく見ると銃を持っている人もいますよ!

 銃刀法の存在意義とはいったいなんでしょう?

 でも、こんな狭い場所で発砲したら後ろの人達にも当たりそうだけど、いいの?

 そんな事を思っていると、


「ば、馬鹿野郎!銃は撃つんじゃない!私達にも当たってしまうじゃないか!」


 ですよね~。

 案の上、同じ事を思ったらしく、太っちょからそんな声が上がりました。

 その声に銃を持っていた何人かは慌てて銃をしまいます。


「ヤレ!殺してしまっても構わん!」


「よろしいので?」


 その言葉に頷く太っちょ。

 えっ、ちょ。

 私は殺す気なんて無かったのに酷くない?

 安心させる為に笑顔まで向けてあげたのに……。

 でもそんな私の思いは届かなったようですね。

 太っちょの言葉にめいめいが手持ちの武器で私を攻撃する意思を見せました。

 トップバッターは一番先頭にいた男、この男は一号と名づける事にします。

 一号の手持ちの武器は刃物でした。

 勿論、銃刀法に違反していると思います。

 そんな刃物を一号は腰だめに構える共に、怒声を上げて突っ込んできました。

 普通の人間ならば刺されたら大変な事になってしまうでしょう。

 まぁ私は普通の人間じゃ無いけど。

 とはいえ、その身で受ける気はサラサラありません。

 私はいつかテレビでみた闘牛士のように一号の突進をサッと避けると、避けざまに一号の足を払いました。

 一号は自らの勢いのまま2回転……いや3回転ぐらいグルグルと回って顔面で床へとキスをします。

 打ち所が悪く気絶してしまったのでしょうか?

 そのままピクリとも動かなくなってしまいました。

 そして一号がうつ伏せになったその場所に赤いシミが広がり始めます。

 それをみた他の方達はびっくりして固まってしまったようでした。

 私はその隙に自ら攻める事にします。

 私が突進するとさすがに硬直も解けたようですね。

 めいめいの手持ちの武器を振りかざしてきました。

 でも、あたらないよん。

 私は武器が当たる前にパンチやキックを繰り出して残りを制圧します。

 悲鳴とも怒号とも取れる声が部屋中に響き渡りますが、スグに静かになりました。

 私は武器をもった全員がピクリとも動かなくなっているを確認するとゆっくりと太っちょに振り向きます。


「ひぃ~」


 見ると太っちょは四つん這いになって何処かに行こうとしました。

 それをみた私はガシっと足首を掴みます。

 そして「えぃっ」と小さな掛け声を上げると、そのまま軽々と持ち上げたのです。


「なっ、は、は放せ!」


 私はその言葉を聞かずに持ち上げたまま窓を『ガラリ』と開けます。

 そしてそのまま腕を伸ばすと、太っちょを宙づりにしたのでした。

 その瞬間、太っちょはとてもとても良い声をバリトンの声域で上げてくれました。

 オペラハウスにでも勤めたら、ちょっとした人気者になるかもしれませんね。


「放してもいいけど……本当にいいの?放しちゃうの?」


「や、ややや、辞めろ!放すな!」


 我儘な方ですね。

 放せと言ったり放すなと言ったり一体どっちなんでしょうか?

 私としてはどっちでも良いんですが一応、後者の方を優先して上げましょう。

 そして私は先程した質問をもう一度してあげました。


「それでね、もう一度だけ聞くけど、なんで前国王の遺言なんて調べてるの?」


 その時の私は、もう優しく微笑んではいませんでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ