22 エディタの調査
私はタクシーにのってとある場所に来ていました。
千代田区に存在するとあるマンション。
この一棟全部が『ヨシダ不動産販売』という会社の名義になってます。
例の『ヨシダ~』という会社をエディタが一生懸命調べていたのですが、面白いことが分かりました。
経営者は会社によって異なりますが、株主を調べると、必ずとある人物の名前が大株主として現れているのです。
その名は『デルブリュック・ヨシダ・悟志』。
この名前の人物が実質的に全ての会社を保有している、と言っても良いでしょう。
さらに調べるとこの人物はこのマンションに個人事務所を構えているようなのです。
言ってみれば本拠地のようなものなのかな?
よくわからないけどきっとそう!
私は目的地付近までくると、タクシーを降りて徒歩で目的地へと向かいます。
駅から少し離れているそのマンションは傍目にはごくごく普通のマンションに見えますね。
でも私にはなんとなーくですが嫌な感じがしていました。
今現在、周りに人影が無いのもそう感じさせる原因なのでしょうかね?
表から少し内部を確認してみましたが一階はロビーになっており、管理人や警備員なんかも常駐しているような感じです。
私はちょっとだけ思案しましたが、イロイロ考えるのもメンドクサクなって来たので、そのまま乗り込むことにしました。
普通に正面からマンションへと入ります。
するとロビーにある管理人室に如何にもな人物がタムロしているのが見えます。
絶対に普通の警備員なんかじゃありません。
チラ見しつつそのままエレベーターホールに向かおうとすると、管理人室からその如何にもな人物が出てきます。
「おい、まて。アンタ誰だ?このマンションになんかようか?用件がないなら回れ右して帰んな」
案の定です。
服装だけは普通の警備員に見えますが、態度や口調が映画などでみるチンピラその物でした。
私は何も答えずにそのまま足を進めようとした所、
「ちょ、まてよ!」
と、肩に掴みかかろうとしてきます。
私は汚い手で触られるのが嫌だったので、触れられる前に男のボディにパンチを一発プレゼントしました。
男はそのまま声を発することなく崩れ落ちますが、支えてあげようなどとは思えません。
なのでそのまま床に顔面を強打して「ゴチン」と大きな音をたてます。
今まで黙って成り行きを見守っていたのか、はたまたその音に反応したのか、管理人室から二人の男が姿を見せました。
勿論、同じチンピラ風の方々です。
「お前、今何を――」
「テメエ!ヒデトに何しやが――」
そんなテンプレのような台詞を言い終わらないうちに、私は最初の男と同じように二人ともパンチをプレゼントしてあげました。
取り敢えずはこれで打ち止めのようですね。
私はそのままエレベータホールに向かい、エレベータに乗り込むと最上階へと向かったのです。
最上階までノンストップで進んだエレベータを降りると、私は一番奥にある部屋に足を進めます。
トアノブを捻ると、幸い鍵は掛かってなかったようでした。
ラッキー。
そう思いながらも、
「おじゃましまーす」
と声を掛けてから部屋に入りました。
部屋中はごくごく普通の事務所、みたいな感じね。
でもそこかしこにある高級そうな調度品が、只の事務所ではない雰囲気を漂わせています。
そして部屋には二人の男の姿がありました。
二人とも豪華そうなソファーに腰かけ、タバコ――葉巻を吸っていたようで、灰皿から煙が漂っています。
「な、なんだお前は!?」
そのうちの一人、太っちょの男が大きな声で喚きます。
太っちょとは言っても、所謂デブと呼ばれるような体格ではありません。
ラグビーや柔道選手みたいな体格の持ち主です。
もう一人の、見ただけで有名ブランド製だと思われるスーツを着こんだ細身の男は私を見ても何も言わず、スマホを取り出すと何処かへと電話を始めました。
すると太っちょの大きな声に反応したのか、はたまた細身の男が電話で呼び寄せたのか、ゾロゾロと男達が部屋へと入ってきます。
ひぃ、ふぅ、みぃっと5人か。
一階にいたチンピラさんと同じような感じの方々ですね。
「ったく、一階にいたヒデト達は何をしていたんだ?」
「女!何しにここへ来た!」
「取りえず部屋からだせ!」
そんな声が聴こえ、一人の手の先が私の肩に触れようとした瞬間、私は振り返りざま5人全員に一発づつパンチをプレゼントしてあげました。
と、同時に5人のチンピラさんは文字通り吹き飛びます。
吹き飛んだ5人のチンピラさんはそれぞれ壁に激突し、聞いていてあまり気持ちの良いとは思えない音を部屋全体に響かせます。
私はチンピラさんが触ったかも知れない肩を、手でポンポンと軽く払いながら、最初から部屋にいた二人の男へと再び向き直ります。
そして優しく声を掛けました。
「貴方達の内どっちがここの責任者なの?」
すると何という事でしょう!
優しく声をかけてあげたのに、とてもとても怯えたような表情で太っちょが喚き始めたのです。
「だ、だだだ、誰だお前は。な、ななな、何の目的だ」
私はこの喚き始めた太っちょが責任者だと判断して話を進める事にしました。
もぅ、正直に話してくれれば『たぶん』何もしないからそんなに怯えなくていいのに。
そして私は相手を落ち着かせようとニコリと優しく微笑むのでした。




