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20 パスワードは大切に

 私は好き嫌いが少ない方だ、と自分では思っています。

 大半の事は好きでも嫌いでもない、どーでもいい事なのです。

 とは言っても、どーでもいい事の中にもランク分けはあります。

 短い付き合いにも関わらず、そのどーでもいい事ランクの上の方に来つつあるエディタが言いました。


「こちら側の書類は大した内容はありませんでした。領収書とか関係があるとは思えない物ばかりで……」


 そう言って残念そうな顔をする。


「こっちの書類もです」


 と、ゲルトルートもガッカリした顔です。

 二人とも空振りか~。

 でも私は違いますよ。

 書類関係は二人に任せて、ノートパソコンを調べていたのが功を奏したようです。

 えっ!?

 パスワードですか?

 勿論、掛かっていました。

 が、このノートパソコンの持ち主はあまりセキュリティーとか気にする人では無かったのでしょう。

 なーんと、ディスプレイの所にシール?

 付箋紙っていうのかな?

 が付けてあって、そこに書いてあった謎の文字列を入力してみた所、何という事でしょう!

 無事にパスワードを突破できたのでした。

 と、言う事で、唯一手がかりを見つけたらしい私はドヤ顔していいました。


「私の方はあるわよ」


「「えっ!?」」と、驚く二人。


 ふふふふ、その顔が見たかったのですよ。

 そして私はたっぷりともったいぶった動作でノートパソコンを二人の方へ向けます。

 そこには書きかけのメールかなにかなのかな?

 要約するとこんな文章でした。


『誘拐したイドゥベルガの開放と引き換えに、前国王陛下が残した遺言の内容を調査し報告しろ』


 それを見た二人の反応はと言うと――。


「「前国王陛下の遺言!?」」


 と一緒にハモるとそのまま押し黙ってしまいました。

 まぁ手がかりらしき事は分かった物の、私には意味がさっぱりわかりません。

 と言うわけで、より詳しそうなこの二人に聞いてみましょう。


「ここに書いてある『前国王の遺言』って何なの?」


 それに答えてくれたのはエディタの方でした。


「私達の国では約十カ月前に前国王陛下がご崩御されました」


 あー、そんな話、前にも聞いた事が有るきがする。


「それで?遺言って」


「ご崩御された前国王陛下のご遺言は一周忌を期して発表される事になっています。恐らくその事かと思いますが……」


 ふーん。

 そんな事情になってたんだ。


「じゃ犯人は正式に発表される前にその遺言の内容が知りたかったって事?」


「この内容からはそう読み取れますね。でもどうして……」


 そう言ってエディタは何かを考え込んでしまいました。

 まぁ遺言とやらにそんな事情があるのは分かりました。

 でも疑問点も幾つか浮かび上がります。

 私は客間の隅に敷かれた布団でスヤスヤと寝ているイドゥベルガに視線送ります。


「でもなんでバルナさんの妹を誘拐したんだろう?」


 すると今までは黙っていたゲルトルートが口を開きました。


「それは想像がつきます。私の父が就いていた前職に関係があるかと」


「前職って?」


「私の父は前国王陛下のお傍使えである侍従次長を長らく勤めていました。その関係で宮廷事情にも詳しく、人脈も豊富なはずです」


 あー、それも前に聞いたことがあったよーな?


「じゃバルナさんのお父さんは遺言を知りうる立場にあった、って事ね?」


「恐らく……」


 ふーん。

 ゆいごん、遺言ねぇ……。

 正直全然ピンときません。

 まぁ遺言なんて普通に暮らしていたら、まずお目にかかれない物、だと思っています。

 ですよね?

 私も、おじい様が亡くなった時は何かしら遺言があったと聞いたことがありましたが、正直ホンの子供だったので、全く興味がありませんでした。

 清司伯父さんが亡くなった時は遺言とかあったのかな?

 私はその時は異世界にいたから知らないけど。

 でもそこまでしてなんで遺言の内容を知りたがるんでしょうね?


「部外者の私にはよくわからないけど、前国王陛下の遺言ってそんなに重要事が書いてあるの?正直遺言の内容を知りたい為だけに、ここまで大きな事件を起こすのが理解出来ないんだけど」


「我が国に取ってはとても重要な事です。何しろ次期国王陛下が決められるのですから」


 おっとぉ、エディタがさらっとなんか凄い事を言い始めましたよ。


「えっ!?次期国王?」


「はい、公表されるご遺言に、次期国王陛下になられる方が記載されている、という話を伺っています」


「じゃ今、貴女の国は国王がいない状態なの?」


「そうです、今現在は国王は不在で、摂政で有られる王太后陛下と元老院を率いる首相閣下で国が運営されています」


 へー。

 そうなんだ。

 トップが居なくても国は回るの?

 って思ったけどエディタのいうところ、国王は基本なにもしないらしいです。

 嫌、勿論、国王は最大の権力者で、その気になれば『勅命』という形を取って何でも出来るみたいだけど。

 どうもその『勅命』はあまり出されず、出す時でも王族の人事みたいな特別な時にしか出ないみたい。

 政治みたいな物は下々に任せちゃおう、みたいな事なのかな?

 世の中の事はムズカシイです。

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