表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/43

18 人質を発見、そして――

「お、お前!ど、どこから入って来た!?」


 騒ぎを聞きつけて、庭まで私を出迎えてくれた方の一人がそう言いました。

 その言葉への返答として、私は指を上へと差します。


「えっーと、空から?」


「ふ、ふざけるな!」


「別にふざけてないんだけどなー?実はね?私には天使の知り合いが何人かいるのよ。その娘達ね、お願いして空からやって来たってわけ。あ、これってナイショよ?」


 私はそんな事を言いつつ指を口に当ててナイショのポーズを取りつつウィンクしました。

 勿論冗談です。

 私を知っている者なら笑って済ませられるはずの冗談。

 でも彼等にはそんなユーモアは通じなかったようで、顔を真っ赤にして怒っている様子が感じ取れます。


「まぁ私の事はどうだっていいじゃない。所でここにバルナさんって娘がお邪魔してるでしょ?迎えに来たのよ。この後一緒に美容院に行く約束をしているの。どうも最近へたっぴな美容師さんに当たっちゃったらしくて、ヘヤースタイルが台無しになっちゃったみたい」


 それを聞いた彼らはあからさまに顔色を変えると、無言で銃を取り出しました。

 あー、やっぱりこうなっちゃうか。

 私は銃を構えた彼等の内、一番屋敷に近い人をターゲットに選ぶと、「えぃっ」と銃を投げつけました。

 そして投げつけると同時に屋内に向かって駆けだします。

 銃は運悪く、その男性の頭部に当たり、口から白い小さな塊が何本も飛び出るのがみえました。

 脇を駆け抜けながらそんな光景を見た私は屋内に滑り込むと、急いで窓を閉めて鍵を掛けます。

 その間、私の行動が予想外だったのか、皆さんしばらく棒立ちのままだったんですが、はっとしたように何事かを叫び出すと一斉に銃を撃ち始めました。

 きゃー!!

 人に向けて撃つなんて!

 子供の頃にダメって習わなかったんでしょうか?

 一斉に放たれた銃弾は次々と私の身体に命中――はしませんでした。

 何という事でしょう!

 銃弾は「ビシッビシッ」そんな音を立てながら窓ガラスが全部防いでくれたのです。

 おーすごい!

 これが防弾ガラスって奴?

 私は安心するとニッコリ笑って外の人達に手を振って上げました。

 そんな状況を見て、これ以上銃を撃っても埒が明かない、恐らくそう考えた人達が撃つのを辞めて何処かへと駆け出していくのが見えました。

 あれはきっと別の入り口から回り込むつもりなのでしょうか?

 案の定なのか、それとも屋外へ私を出迎えに来なかった方たちが部屋に来たのか、どっちかは分かりませんが何かの人達が私が逃げ込んだ部屋に入ろうとしているのが見えました。

 私はちょっとだけ思案すると目の前にある大きなテーブルを手に掛けます。

 恐らく大理石か何かなのかな?

 白い石製のピカピカと光沢を放つテーブルです。

 値段は知りませんが、実は私の実家にも、これと似たようなテーブルがあったりします。

 硬くて重い大きなテーブル、小さいころ、頭をぶつけて瘤をつくったこともあったっけ。

 あの時はすっごく痛かったな~。

 そんな憎い思い出を呼び起こすテーブルに手を掛けた私は「うんしょ」と小さな掛け声を上げると力を込めて持ち上げます。

 他人の目にはあまり大きくない身体の私が、片手で軽々テーブルを持ち上げているように見えてるんでしょうか?

 部屋に駆けつけた男達が面白い顔をして固まっています。

 これは私が力持ちだから――と、いうわけではなく、そうです、スキルのお陰です。

 スキル『物理攻撃力アップ』

 これは名前こそ『物理攻撃威力』などとなっていますが、実際のところはただ腕力が上がるだけのスキルです。

 この系統のスキルはランクと言われるものがあって、私はランク8までこのスキルを習得しています。

 具体的な重さにすれば、たぶん一トンぐらいは持ち上げられるはずです、たぶんね。

 私はそのままテーブルを頭の上まで持ち上げると、笑みを浮かべたまま「えぃっ」という掛け声と共に男達向かって放り投げました。


「「「「「う、うわぁ~~」」」」」


 そんな怯えたようなどよめきが沢山上がり、テーブルは人ばかりが壁を巻き込んでとてもとても言葉に出来ない様な大きな音と共にモクモクと埃が立ち上りました。

 あたり一面に壁を構成していた一部とみられる物質が舞い上がっています。

 私もちょっとだけ吸い込んでしまって「ゴホン」と咳をして顔をハンカチで覆いました。

 よくよく見ると壁ばかりか、床まで壊してしまったようです。

 でもそのお陰で男達の多くは崩れた壁に埋もれています。

 あっ、あそこの足だけ見えてる人はテーブルの下敷きになってるみたい。

 へへへ、ごめんね?

 その他も方もびっくりして動けなくなってしまったようですね。

 よしよし、今のうちに……。

 そう思って足早に駆け抜けようとした所、「ば、化け物……」という声が聴こえたような気がしました。

 ――いえ、確かに聴こえましたよ!

 失礼な方ですね!

 だれが言ったのでしょうか?

 私はあたりの人をキッと睨みつけますが「ひぃ~」などと言いながら四つん這いになって私から離れて行きました。

 結局犯人は分からないままです。

 私はプンスカしながらもポケットからコンパスを取り出して指し示す部屋に向かいました。

 そしてその部屋で、無残にも髪を切られ、おかっぱになった女の娘を発見したのでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ