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15 三人で決めた作戦方針

「じゃあもっと詳しく事情を聞かせて?わざわざ妹さんを誘拐してまでバルナさんのお父さんになにをやらせようとしてるのかな?」


「それは……やっぱり父の仕事に何か関係があるのではないでしょうか?具体的には何か分かりませんが……」


 そう言ってゲルトルート言いよどむ。

 具体的にはやっぱり分からないか。

 でもゲルトルートの父親の仕事ってなんだろう?

 そんな疑問を抱いた所に、丁度良いタイミングでエディタのフォローが入りました。


「ゲルトルートの父親は大使館では特命全権公使という役職についてます」


「特命全権公使?」


 なにそれ?

 聞いた事ない。

 偉いの?


「一般の人には馴染みがないかもしれませんね。『特命全権公使』とは日本大使館では私の父である特命全権大使のすぐ下の役職、簡単にいえばNo2の役職です」


 ほほぅ~。

 初めて知ったよ。

 って事は結構――いやかなり偉いんだ。


「ゲルトルートのお父様は結構なエリートで有能な方と私の父からも伺っています。たしか日本大使館に来るその前は侍従次長でしたか?そうでしたよね?」


 そう言ってエディタ視線を向けると、ゲルトルートはコクンと頷きました。


「はい、前国王陛下のお傍使えをしていたと聞いています。その陛下がご崩御されてから、日本に公使として派遣されてきました」


 へ?

 前国王陛下?


「ちょっとまって、アナタたちの国は国王がいるの?」


「「え?」」


 私の発言に驚いたのかエディタとゲルトルートはお互いの顔をみつめます。


「……いずみ様は私達の国の事をどれだけご存知ですか?」


「実の所、どこの国かも知らないわ……ドイツ語で喋ってると言う事だけしか……」


 大使館がある事は前々から分かっていましたが、何処の国の大使館とかは別に興味も無かったのですよ。

 知らなくてごめんね?

 だって大使館なんて関わり合いになると思って無かったし、仕方ないじゃない?


「私達の国はロイス・グライツ王国と言います。仰る通りドイツ系です」


 ロイス・グライツ?

 あー、そんな国もあったような気がする。


「えっと、私の記憶が正しければ欧州の小国でまだ絶対王政が残っている国、でしたっけ?」


 ヨーロッパ史は苦手なんだけど、確かそんな記述を何かの本で見た事ある気がする。

 でも20年前の記憶だから、間違っているかも?


「『絶対王政』という言葉が相応しいかどうか分かりませんが、君主大権は他の国よりも多く残っているのは事実ですね」


 ほー、やっぱり間違って無かった!


「そんなわが国では十カ月程前に前国王陛下がご崩御なされて、それに伴い幾つかの人事異動がありました。ゲルトルートの父親もその人事異動で日本へとやって来たのです」


「そうなんだ」


 とりあえず、ゲルトルートのお父さんが偉そうな人だと言う事はわかった。

 でも、犯人の狙いは分からないままだよね。


「バルナさんのお父さんの件は一旦棚上げにしましょう。最優先事項は妹さんの安否、そうでしょう?」


 そういって私は二人へ交互に視線を移すと、二人とも頷いてくれた。


「でも一体どうやって……勿論警察には頼れませんし、なにか手がかりでもあるのでしょうか?」


 そう言ってエディタはゲルトルートに顔を向けるが、ゲルトルートは力なく首を振りました。


「まぁ確かにね。封筒や便せんに指紋とかDNAとか付いてるかも知れないし、バルナさんに送られてきたメールの送信元からなにか分かる可能性もあるけど、私達にはそれを調べる力は無いわよね。それに警察だってこの手の物を調べるの数週間はかかると聞いたことがあるし。でもね――」


 私はここで言葉を区切るとエディタの事を意味ありげにじっとみつめました。

 するとエディタは笑顔で言葉を続けます。


「でも、いずみ様は何とか出来る、そう仰りたいのですよね!」


「まぁ、方法は無い、と言う事は無いわ」


 無いの否定形、つまりは『有る』って事です、日本語はムズカシイネ。


「でも、その前に一つだけ確認させて?バルナさん、当事者は貴女だけど、この件に関して平和主義で行くの?」


「えっと。どういう事でしょうか?」


「つまり、暴力を肯定するかどうか、と言う事よ。相手は武装してる可能性が高いと思うし、私達が動けば危害を加えてくる可能性も高いと思うけど、それに対し私達が力には力で対抗する事を認めるかどうかよ。どうする?」


「あ、そう言う意味ですか」


 そう言ってゲルトルートは若干怒りを露にしたような形相になると言葉を続けます。


「相手に遠慮はいらないと思います。ただでさえ先方が妹の髪を切って送りつける、なんて卑劣な真似をしているんです。それなのにどうしてこちら側が遠慮しなければならないんですか」


 強い口調でそう仰いました。

 おー、さすが。

 実のところここで『暴力はちょっと』などと言い出していたら、私のやる気が大幅にそがれていたと思います。

 若しかしたらお断りしていたかもしれません。

 力には力で対抗するのがもっとも手っ取り早く、効率的で、私としてもやりやすいのです。

 ふふふふ『イベント』はやっぱりそうでなくちゃね。

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