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さぁ! 今日は待ちに待った初デート!! 


ゆとりのあるグレーの七分袖のシャツに白のVネックTシャツ、身体動かしても大丈夫なように伸縮性のある黒のチノパン。

まぁこのチョイスは昔ゆいさんからダメ出しされまくった挙句たどり着いただけってのはあるけどね。

なにせファッションに無頓着だったから出かけたついでにサイズが合うのを適当に選んでて、買ったのはいいけど着るのが家族と出かけるときだけだったからな日の目を見てよかったよ。

そして準備は怠っちゃいけないよな! 嵩張りすぎず、それでいて必要なものだよな。


ハンカチ、絆創膏、ミネラルウォーター、折り畳み傘、ウェットティッシュ、普通のティッシュ・・・。

あとなにがいるんだろうか? ゆいさんに聞いてみようかな・・・でも馬鹿にされそうなんだよなぁ。


「あんたなに一人で百面相してんのよ、ていうか出かけんの?」


ぶかぶかなTシャツにチラチラと見えるホットパンツ履いたラフな格好のゆいさんがいた。

えぇえええええ! なに!? なんでゆいさん入ってきてるの!? 


「ちょ、ちょっと! ゆいさん! なに勝手に入ってるんですか!? 男にもプライバシーってものが・・・」


ゆいさんが額に手を当てながら呆れた顔で言う。


「いやいや、ノックしたから、四回も無視したあんたが悪い。

で? なによ、休みの日に筋トレも勉強もしてないで着替えてるってことはデートなんでしょ?」


うん、まぁ、部活三昧してた俺が休みの日に外出用の服着てたらそらばれるよね・・・いや、まてよ、遼と出かけるってことにすればいけるんじゃないか!?


「いや、実は遼と・・・」


と言いかけたところで扉の向こうから。


「ん? 俺がどうかしたか?」


なんでいるんだよぉおおおおお!? いつも助けてくれる親友が、今は致命傷を与えかねない存在になってるよ!?

これはどう切り抜ける・・・いやこれはもう頼りになる親友に丸投げしよう! うん! やってダメなら諦めればいいじゃん!


「お、遼、遅かったじゃん! 待ってたよ、入れよ」


遼が返事をして部屋に入ると入り口で止まりゆいさんに振り向いて袋を渡した。


「あ、ゆいさん、これうちの母からです、親戚の農園からもらったんですけど多かったので持ってけって」


「さくらんぼじゃない、こんなにありがとうね、おばさんによろしくねー」


そう言ってゆいさんは扉を閉めて出て行った。


と思ったら急に扉が開き隙間からゆいさんの頭だけが出てきた。


「デートに行くならハンカチは最低でも二枚は持って行きなさいよ、自分が使ったもので相手の身体なんて拭いたら失礼でしょ」


「「え?」」


俺と遼が驚いてるのを置き去りにそう言うと頭を引っ込めて去っていった。


「なんだ、今日葛城さんとデートだったのか、タイミング悪くてすまなかったな」


そう言ってベッドに座り手を合わせてきた。


「いやいや、気にすんなってなんの問題もないさ、ただ遼の名前出した瞬間にまさか本物様が出てきたことには内心絶叫だったけとな」


「あれは俺もびっくり、さくらんぼ届けに来ただけなんだけど、ゆいさんは俺が遊びに来たと思って部屋に連れてきてくれたんだよ、まぁやることもなかったからいいかと思ってついて行ったら名前出てきて思わず反応しちまったよ」


「いやぁ、俺って休みの日とか遼とトレーニングかブマスラEXとかで遊ぶくらいだったじゃん? だからさ休日にこんな外出用の服を予定もないのに着てたらいじり倒されてデート前にメンタルがボロボロにされそうだったからさ、思わず遼の名前をな・・・すまん!」


俺は遼に頭を下げて手を合わせた。


「いいよいいよ、それじゃあ俺は用事も済んだし帰るな。

楽しんでこいよ」


「おう、ありがとうな」


遼は後ろ手に手をひらひらと振りながら部屋から出て行った。


そうだ、ハンカチもう二枚待っていくか、確かあまり使ってないのは一番上にはいってたよな。


ガチャ。


ん、誰だ? 慌てて扉のほうを見ると扉の隙間から遼が頭だけを出していた。


「ゴムだけはしっかりな、流石に勢いでやって出来ちゃったはまずいからな」


「いや、もってねーよ! じゃなくていきなりそんなことになんねーよ!」


「えー? 「爛れた青春をー」とか言ってたのにうぶかよー。

ほら俺のやるよ、こないだ買ったばっかだからさ、劣化も破れもしてねーから」


そう言って遼が財布から取り出して投げてきた。

呆気にとられている俺を置き去りに遼は「んじゃ学校でなー」と言って出て行った。


お、おう、い、一応な、財布に・・・いや、店の会計のときにぽろっとなんてしたら流石に笑えんぞ!

よし、ショルダーバックに入れよう、そしてそこには使うものは入れないようにな!

ていうか、あいつ財布に入れて持ち歩いてたのかよ・・・もしかして俺って遅れてるのか?


よし、荷物はこれでいいな、時間はまだまだ余裕あるけどもう出ようかな、十五分前には着いておきたいしな。


扉を開けて部屋を出ると廊下の壁にもたれかかって立ってるゆいさんがいた。

やだ、なんかニヤニヤしてるんだけど・・・こわい。


「じゃ、じゃあゆいさん俺出かけてきますね」


目をそらしながらそーっと通り過ぎていった。

意外なことに特になにもされずに玄関までたどり着けてしまい靴を履きドアノブに手をかけると、急に肩に手を置かれてビクッとしてしまった。


「かず、緊張しすぎんじゃないわよ、男だからエスコートしなきゃって気持ちは大事だけどさ、二人で楽しむことも大事よ」


「ありがとう、ゆいさん」


「うん、じゃあいってらっしゃい」


「いってきます」


ゆいさんのありがたいお言葉を胸に待ち合わせ場所に向かった。


ーーー


スマフォで時間を確認、待ち合わせの交番前に十五分前に到着!

葛城さんが来るまでにいく場所のおさらいでもしておこうかな。


「おはよう、神代くん、待った?」


おぉう!?考え事してたら葛城さんが目の・・・ま・・・え。

か、かわいい・・・私服もかわいいよぉ。

学校で見たことのないポニーテールに薄いピンクの花が付いたシュシュ、白いワンピースに水色の薄手のカーディガン。

え、この子、俺の彼女なの? 抱きしめてもいいかな?


「神代くん? どうしたの?」


葛城さんが俺の顔の前で手を振るのを見てさらにかわいいなぁと思う。


「あぁ、ごめんごめん、かわいくて目に焼きつけてた」


「あ、ありがとう、お世辞でも照れるね」


葛城さんは頬を赤らめながバッグの紐をいじりながらもじもじしていた。

はぁー、かわいい。


ずっと見ていたい気もするけどそろそろ移動するか。


葛城さんにすっと手を差し出し声をかける。


「葛城さん、行こうか」


葛城さんは手と俺の顔を交互に見てうなずき、手を取ってくれた。


ふぉおおおおお! 葛城さん! 手! やぁらかぁい!


あぁ、いけない、落ち着くんだ・・・。


「じゃあまずは映画館でも行ってみようか、これだってのがなかったら行くところは沢山あるしね」


「うん、今日はよろしくね」


ーーー


映画館に着くと子供向けの戦隊モノに魔法少女、恋愛、アニメ、アクション、ホラーと数多くあるが見たいものがなければ女性向けの服屋や小物屋、靴屋と大体なんとでもなる。

なので葛城さんが悩むようなら早々に切り上げようかと思っていたのだが意外にも見たいものがここでは上映しているとのことなで見ることになったのだが・・・。


ジャンルはホラーでタイトルが『LAWー三組目の犠牲者ー』でおそらくシリーズモノなのかも知れない。

そうだと言い切れないのは部活三昧で娯楽系に触れることが少なかったのだ。


チケットカウンターに並んでいるときに葛城さんに教えてもらったのは、過去作を観なくても楽しめるとのこと。


「座席が観やすいとこ並びで取れてよかったね、あとは飲み物とかパンフレットとか見に行ってもいいかな?」


「うん、売店行こうか」


へぇ、上映してる映画のグッズが色々あるんだなぁ。

どれも観たことがない作品のグッズなので琴線に響くものはなかったんだが、なかったんだが・・・。


「ねぇ、葛城さん」


飲み物二つとスモールサイズのキャラメルポップコーンを売店のお姉さんから受け取った葛城さんに声をかける。


「ん? どうしたの?」


かわいく首を傾けて反応してくれる。


「今から見る映画のグッズコーナーなんだけどさ、『法で裁けない悪を・・・』ってコンセプトの映画なのはさっき聞いたんだけどさ、法が題材の映画とはいえどグッズコーナーに六法全書を置くってどうなのよ・・・」


「ふふふ、個性的なグッズコーナーにはなってるよね。

目を引くって言う意味では効果的だね、私たちは気になって立ち止まっちゃったしね」


確かに、販売員の策にはまってしまっているのは間違いないね。

飲み物とポップコーンを持つよと言ったが席まで持っていくとのことでお願いして二人で今日観る映画が上映されるシアターまで向かった。


ーーー


映画を観終わり、シアターを出て伸びをする。

二時間座りっぱなしで身動き取れないっていうのは身体固まるね。


「館内図ではカフェもあるみたいだけどまだ観てない人がいたら申し訳ないから一旦出て昼食にしながらそこで映画の内容とか行きたいところの話でもしない?」


「そうだね、ポップコーンは食べたけどお腹は空いたから賛成」


葛城さんが頷いてくれたから俺も嬉しくなって笑顔になる。

土曜日ということもあって映画館の中でも人は多いので飲み物も今は持ってないので葛城さんに手を差し出すと手を取ってくれたので歩き出す。


ーーー


行き先は映画館から五分ほど歩いて大通りより少し狭くなった道を曲がったところにある喫茶店だ。

一階の店舗部分は木目調の化粧板で落ち着いた雰囲気に見えるよに作られてる。


「神代くん、目的地はここ?」


「そう、ここ。

ここ普通の喫茶店なんだけど、隠し特典って言っていいのかわからないけど、マスターが気に入った学生は注文時に学生証見せるとフード系の量を多く作ってくれるんだ」


と、言ってから気づいた、貧乏くさいかな?


「味も雰囲気もいいから安心してね」


ご、誤魔化しきれてはいないかもしれないけどね


「楽しみにしてるね」


そう言って微笑んでくれる。

大丈夫、味もいいのは間違いないからね。

誤字脱字報告や感想よろしくお願いします。

サブタイトルはいいものが浮かんだらつけたいと思って本編書いてたら忘れてたので思いつき次第つけていきます。

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