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さて今日も元気に・・・。
待てよ、昨日ノリノリでドヤったら馬鹿な奴発言されたからな、ここは冷静に行こう・・・うん! クールに行こうぜ!
教室に入るとすれ違うクラスメイトに手を上げて爽やかな笑顔で。
「おはよう」
言われたわクラスメイトは「お、おはよう」と挨拶を返してくると俯き加減でそそくさと離れていった。
ん? 俺の顔に何かついてるのかな? 顔を触りながらもすれ違うクラスメイトに同じように挨拶をしても同じような感じで返されてしまう。
んー? わからんな、まぁいいか。
「星野さん、遼、おはよう、今日も良き朝だな」
「あー、うん、おはよう」
なんか星野さんが堪えてるな、なんだろ? 聞いてみるか?
「おう、おはよう、さて一弥入り口からここまで何か違和感は?」
「なんか、俺って避けられてる? なんかしたってけ?」
「いや、してたよね、避けてたというかさ、お前の挨拶がおかしすぎて本人の前で笑うの可哀想だから急いで離れたって感じだと思うぞ」
遼が言うと俺の視界にうんうんとうなずくクラスメイトがちらほら・・・えー? そんなへんなことしたか?
「ほらそこにも必死に笑い堪えてるのがいるだろ」
「ちょっ、高田くんバラさなくてもいいじゃない!」
「ちょっとみんな酷くない?爽やかでいてクールな感じに挨拶したのに」
なにがいけないんだろう、膝を胸の高さまで上げて直角に曲げて、爽やかな笑顔で。
「おはよう」
「あはははははははは、だめ、お、お腹痛い」
え、なによ、なにが? 困惑して遼を見ると目をそらして肩を震わせている、こいつ笑い堪えてやがるな。
遼から視線を外し周りを見るとみんな口元を隠して肩を震わせている。
そして視線が合うとみんなめをそらしてしまうのだ。
「遼! なんで!? 超爽やかだったろ!?」
「いや爽やかというか、なんか選挙に出る意識高い系のお飾り候補者みたいな感じなんだよ」
いやなにその具体的な例え、酷くない? ここ最近朝から泣きそうだよ?
ガラガラッ・・・ピシャ。
「グッモーニング、それではー、英語のレッスンをスタートしたいと思いまーす」
なんだろか、菊原先生の英語の授業はわかりやすくせていいんだけどさ、英語の先生なのに日常会話はこれじゃない感強いんだよなぁ、中途半端なル○語ともいえないような組み合わせがね。
ーーー
キーンカーンカーンコーン
「飯だぁー!」
身体をぐっと伸ばして・・・っと。
「あ、遼、今日も購買部だろ?」
「ん? あぁそうだよ、お前は葛城さんとだろ? 早く行かないと場所取れないんじゃね?」
「もちろん二人で昼だな、レジャーシートと水筒、さらに座るようにミニ座布団が二つ! そして弁当だな!」
「あははは、神代くん学校にピクニックにきたの?」
星野さんが笑いながら聞いてくる。
「ふ、星野さん下半身を冷やすのはよくないからね、とはいえミニ座布団しか鞄に入らなかったから気休めだけどね」
「う、うん、そっか、葛城さん大事にしてあげてるんだね」
「ん? それはもちろん! でも大体誰か誘って外で食べるときは持ってきてるかな、遼と河原でハゲトレーニングしてたときは持って行ってたもんな」
「あぁ、そうだな、まぁお前のそういうとこが良いとこだよな。
そんじゃ俺は購買部行ってくるわ」
「あ、まてまて、話終わってないから」
鞄から弁当を一つ出して遼の机に置いて指を指す。
「これ食えよ、昨日テンション上がって料理してたらさ作りすぎちゃってさ、久々家族からめっちゃ怒られたわ。
そんで自分の弁当に詰めたんだけどさ、それでもかなり余ってな・・・そこでお前が購買部で買ってるの思い出してな! あ、処理させようって名案が浮かんだわけよ!」
「あははは、神代くんって本当に言葉のチョイスが面白いね」
星野さんは弁当出しながら笑ってた。
「そっか、じゃあお言葉に甘えていただくか」
遼は立ち上がりかけていたが弁当を受け取って自分の席についていた。
おっと、葛城さんももう行けるみたいだし屋上にでも行こうかな。
「あ、遼、食べ終わったら机に置いといてくれればいいからな、そんじゃ俺は行ってくるわ」
「「いってらっしゃい」」
星野さんと遼に見送られて葛城さんに合流。
「神代くん、今日は天気もいいし屋上に行ってみようよ」
「そうだね! レジャーシートもあるしどこでも座れるしね」
葛城さんが首をこてんと傾けながら呟く。
「そう・・・だね?」
なんで疑問形なのだろうか、まぁどこでもレジャーシートあれば汚れないから大丈夫。
ーーー
「なんかピクニックにきたみたいになってるね、レジャーシートに座布団までありがとう」
「いえいえ、天気が良くてもコンクリートに直で座るとお腹冷えて痛くなることもあるからね」
笑顔でサムズアップ!
いい天気、葛城さんの微笑み、土曜日のデートの相談・・・これはもう青春しちゃってるな!
「神代くんのお弁当さ、すごく唐揚げたくさんだね、好きなの?」
「うん、唐揚げ好きだね、でも今日の弁当の唐揚げの量にはね・・・聞くも涙、語るも涙の話があるんです」
「私でもなんとなくオチがわかるけど、なにがあったのかな?」
俺の話を聞いてくるという天使に、土曜日のこと考えてたらテンション上がって料理が楽しくなってきてついついやり過ぎてしまったことを語ろう・・・と思ったのだが唐揚げの作り方講座みたいになり、葛城さんもメモまで取り出した。
まぁこれはこれで青春かな? とも思うのでいいか!
唐揚げの作り方はこれもいいあれもいいと話していたら・・・。
ピロン。
「ん、葛城さんのかな?」
「ううん、私のじゃないよ・・・。」
そう言って葛城さんがスマフォを見ると慌ててこちらにスマフォをの画面を向けてきた。
「神代くん、そろそろ戻らないと次の授業に間に合わなくなっちゃうから片付けて行こうか」
「そうだね、さっと片付けて行こう」
二人で片付けると急いで教室へと戻った。
ーーー
なんとか授業開始五分前には戻れたわ。
「お、間に合ったな、弁当ご馳走様」
俺が席に座ったのを見計らって遼が弁当箱を俺の机に置いた。
「お粗末様でした」
弁当箱を受け取って鞄に入れ、鞄に入れっぱなしのスマフォを取り出すと。
「あ、わりぃ、LIMEで時間知らせてくれてたのかありがとうな」
「ん? あぁ、葛城さんにと揃って時間忘れてたら困るだろ?」
屋上でLIMEの音は俺のスマフォからだったのか、優しい親友を持ったもんだぜ!
心の中で再度感謝しとこう。
えーっと教科書とノート、筆箱出して・・・っと。
そして教科書立てて・・・寝る!
いや、唐揚げで腹パンパンだよ、もう、マヂ無理、昼寝しよ。
ーーー
いや、本当、作り過ぎ自重しろ俺。
まじで物理的に腹出てるよ、葛城さんのいる手前平然とした顔で食ってたけど、これ、うっぷ・・・。
「一弥どうした? なんか昼飯から戻ってから様子が変だぞ?」
「いや、もうね、しばらく、唐揚げ、みたくない」
放課後の教室では、部活に行く準備をする人、この後遊びに行く予定をたてる人、ソシャゲのイベントで盛り上がる人、様々いるが・・・唐揚げのおかげでぐったりしてるのは俺だけだろう。
「まぁ、確かに今日ご馳走になった弁当は唐揚げ多かったけど、美味かったぞ? 適度に野菜も入ってたから油がキツすぎることもなかったしな」
ふふふ、それは、唐揚げは多いけどバランス考えて作ったからな・・・いくら理解がある親友でも食べ物では遊べない。
他ではいくらでもからかうけどな!
「俺の弁当は・・・遼に渡した弁当の倍は唐揚げが入っていてな・・・おかげで」
立ち上がりシャツをまくり上げ、腹を指を指す。
「見ろよこれ! 唐揚げが溢れそうだわ!」
「ちょ、ちょっと神代くんなんで急に脱ぎだすのよ! 服着てよ」
星野さんが赤らめた顔を手で覆いながら服を着るように言ってくる・・・が指の隙間からチラチラ覗いて「ふ、腹筋」とかすかに聞こえたような、聞こえなかったような? でも陸上部でも男いるしさ、上半身くらい見慣れてない?
でも、これはあれか、腹筋のない弛んだ腹見せてるよってことなのか? そう考えると結構恥ずかしいことしたな!? 冷静に、このまま、すっとまくり上げたシャツを戻そう。
まぁどうせこのあと着替えるから着崩したままでいいな。
「と、まぁ、こんな、感じでね」
「どんな感じだよ、しかもなんでちょっと照れてんだよ、普段馬鹿なこと言ってるくせに」
「いや、ほら、ちょーっと冷静に考えたらさ、腹が出てるのをドヤ顔で見せるとか・・・あ! 部活の時間だ! 遼、遅れるなよ!」
「あいつ逃げやがった」
遼が失礼なことを言っていたのが聞こえたが、違うのだこれから部活だからな!
あ、やべ、葛城さんに言っとかなきゃ。
慌てて教室に戻り、葛城さんの所へ行き、そっと手を握りながら。
「葛城さんごめん、今日練習後に他校の試合映像をちょっと見ることになっててさ、一緒に帰れそうにないから帰り道気をつけて帰ってね」
「うん、わかった、気をつけて帰るね」
「それじゃ!」
何事もなかったように、俺は・・・クールに去るぜ!
誤字脱字報告や感想よろしくお願いします。
サブタイトルはいいものが浮かんだらつけたいと思って本編書いてたら忘れてたので思いつき次第つけていきます。