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異世界のゴーレム戦士  作者: 月河庵出
第1章 ゴーレム戦士編
3/22

第3話 エッ?!こいつが強いとか冗談だろ

さて、出て来ましたヨ。






「なんだ?また、ゴリラにでも殴られたのかよ。しかし、太陽が(まぶ)しいねえ」



「全員!散開だ。防御態勢を取りつつ、遮蔽物(しゃへいぶつ)に隠れろ!!」



 軍曹の声が聞こえたと思ったら、地面におもいっきり叩きつけられた。俺はやっと爆風で飛ばされた事に気が付いた。前を見ると、俺より前を走っていた連中の部品が転がっている。酷いな。頭部が破壊されたゴーレムの近くに脳が転がっている。誰のか知らないが、これじゃあ、助からねえ。隊長機を狙ったらしいが、見事外れて俺達を直撃かよ。

 俺は気持ち悪くなったが、直ぐに気分がスッキリ、体のガタガタ震えも治まった。それどころか、冷静に辺りを見回す事が出来た。

 これって魔法か?危ない薬物じゃあねえよな。



「遮蔽物って言っても道路わきに生えている巨木くらいしかないよな。よし!」



 巨木に向かって走ろうとすると、隠れていた仲間ごと派手に巨木が吹き飛んで。色々なものが混ざった破片が飛んで来た。これは、もうどうしようもない。このまま死ぬのか?どうせ死ぬのなら敵を巻き添えにしてやる。俺はダッシュで敵が隠れていると思われる林を目指し、走り出した。それと同時に魔導ライフルを撃とうとすると、ポイントマーカーが表示された。



「なにこれ?これじゃあシューティングゲームだな」



 道の反対側の目についた木にポイントマーカーを合わせ撃つ。


 魔導ライフルは強い反動と共にオレンジ色の弾を吐き出した。驚く事に巨木に一発命中すると、その威力で巨木を吹き飛ばす。俺は調子に乗って敵らしき影に照準を合わせて走りながら弾が無くなるまで撃ち続ける。



「これって、スゲーじゃん。楽勝じゃあねえか?!エッ・・・」



  良く見ると、5m先に緑色の皮膚をした子供サイズの人がうつぶせに倒れている。俺は恐る恐る近づき足で蹴り付け、仰向けに転がした。



「ゲギャ!」


 

 飛び跳ねるように手の刃物を俺の顔目掛けて飛び掛かって来た。俺は驚き、ライフルの引き金を引いたが、カチカチと言うだけで弾は出ない。弾切れかよ。

 とっさにライフルを持っていない左手で防ごうとしたが、左腕が付け根から無かった。



「ドンッ」



 ライフルの音と共に緑色の敵は2mほど吹き飛ばされて転がった。振り向くとゴリラがライフルを構えて、こちらを見ていた。



「お前は新兵か?訓練所で何を習った。人型の魔物は必ず、頭を打ち抜いてから近づくんだ。そんな事では、お前早死にするぞ!」



 俺は、初めての戦いで動揺していたのか、何も言い出せなかった。ゴリラの指示に従い自分のライフルにリロードしようとしたが、片腕の為、カードリッジを変えられないでいたら、ゴリラが貸して見ろと、カートリッジを変えてくれた。こいつ意外と親切かも知れないな。

 俺は他にも転がっていた緑色の敵に近付き後頭部に一発、打ち込むと、頭部がはじけ飛ぶことなく穴が開いた。すると、ゴリラが足で蹴り緑色の敵を仰向けにした。  

 


「ゲッ!?ゴブリンじゃん。しかし、硬えなあ。巨木が一発ではじけ飛ぶのに、こいつは穴しか開かないのかよ」



 可笑しいYO!ゴブリンって初期に必ずヤラレルザコっちだろう。それが、巨木ごと味方を吹き飛ばす魔法を放ち、ゴブリン式ライフル?を装備して、俺達と余り戦力が変わらねえじゃん。

 近接戦だと体格が小さいから俺達の方が有利かも知れないが、あんなのゴブリンじゃねえよ。


 

「お前らの21式じゃあ、ゴブリンやオークが精々だ。それもオークだと下位種のみだ。俺の3式でもオーガに通用するか怪しいからな。まあ、そうなったらザクリーン様の出番だ。お前、一等兵か?戦場の経験が少ない割には今回は良くやった。名前は・・・レイモンドか。ザクリーン様には報告しておこう。行くぞ!」


 このゴリラはハーマー軍曹だったな。中々、良い奴だから今度からハーマーと呼んでやろう。でも、怖いから呼び捨てにはしないけどね。

 この後、集合したが驚く事に3割が戦闘不能になっている。通常、3割の損害じゃあ、部隊として撤退するしかないと考えていたが、全然、甘ちゃんだった。暫くすると大型のトラックがやって来た。


 

 「よし!クズども。動けるものは、部品やゴブリンの死体をトラックに載せろ!!」


 

 ゲッ、部品やら色々混ざった謎物質を乗せるのかと考えていたら、自分の左腕がない事に気が付いた。これじゃあ運べませんよ、をアピールしておこう。

 トラックから降りて来た人が脳が生きているパーツを壊れたゴーレムから外しスーツケースのような鞄に回収していく。俺も前回はあんな感じだったんだな。



「レイモンドと言う奴はいるか?」



 俺を呼んでいるな。あれはザクリーン様だな。何だろうなあ。ハーマーの奴が報告するとか言っていたから褒められるぞ、これは。よし、お前は優秀だから騎士爵に推薦するとか。ねえかな。おっと、いけない。ダッシュで行かないとな。



「はい!自分がレイモンドであります」



「そうか貴様がレイモンドか?先ほどの突撃、感心したぞ。だがな、貴様に与えたゴーレムは国民の血税から作り上げ陛下が賜われた貴重なものだ。高々ゴブリン程度で壊して良いものでないんだぞ!次は一番槍を命じる。ここでの汚辱を晴らして見せよ!!」



「・・・」



「返事はどうした?レイモンド1等兵!」



「イエッス、マム!」



 おいおい、褒美じゃねえのかよ。なあ、周りが気の毒な能面(のうめん)になってんだけどさあ。どういう事?俺は頑張ったよ。片腕は吹き飛ばされたけどさあ。俺の活躍で被害もこの程度で済んだんだろう?違うかい??それを次の戦闘で一番槍ってなんだよ。死んじゃうじゃん。突撃ーーで、先頭だもんなあ。そりゃあ、狙い放題だよ。

 

 よし、こうなったら俺も修理の為、トラックに乗ろう。



「おい、レイモンド1等兵どこに行く?」



 ゲッ、ハーマーに見つかっちまったよ。



「いや、ほらこの左腕、無いですよね。このトラックに乗って修理基地で直して貰おうと思って」




「ハハハッ、大丈夫だ。その程度の破損なら、前線基地にもパーツがあるからな。後な念のために言うと逃亡はゴーレムの生命維持装置停止になるからな。疑われる行動にも気を付けておけ。しかし、随分とザクリーン様に気に入られたな。頑張れよ」




 はあ?何が気に入られただよ。逃げても死、疑われても死、次の戦いでは一番死決定。俺の命は前線基地に着くまでじゃねえか。




 

 

 

 

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