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ツヴェルフモーナット (没)  作者: ねこぶた
一章 旭昇天 (きゃくしょうてん)
21/83

日常

 あれから日下部は毎日来てくれた。

 最初の間は顔を合わせるのが恥ずかしくて扉を挟んで話をしていたが今は部屋の中で二人で話すようになった。


「そろそろ学校に行かない?」

「そうだな。だいぶサボっちまったしな」

「明日迎えに行くよ」


 日下部との距離感もだいぶ近くなった。

 

「じゃあな」


 宿の外まで日下部を送って行く。


「だいぶ寒くなってきたな」


 早く部屋に戻って暖を取るとしよう。


「おっ、アルマ!」


 宿の中に入りアルマを見つける。

 この一ヶ月間でアルマに甘えきっていたことを反省し、ちゃん付けをやめるようにした。

 洗濯や掃除も自分一人でするようにしている。

 ご飯も作りたかったのだがそれは私に任せてくださいと頑なにさせてもらえなかった。


「どうしたんですか?おにいちゃん」


 そして何故か俺のことをおにいちゃんと呼び始めた。

 何度言っても変えてくれないので諦めている。

 本当に何で?


「久しぶりに色々と話してあげようかと思って」

「いいんですか!夕食はお部屋に持っていきますね」


 こんな感じで夕食や朝食を一緒に食べるようにもなった。

 アルマも忙しいので毎日というわけにはいかないが。

 一緒に食べてくれること俺が立ち直るのを助けてくれた。

 


「夕飯楽しみにしてるね」

「はい!今日はいつもより丹精込めて作らせてもらいます」


 やる気満々だ。

 俺は明日の準備でもしてアルマを待つとしよう。


      ーーーーーーーーーーー


「大丈夫でしたか?水無月さん」


 学校に着くとメートリー先生が真っ先に心配しに来てくれた。


「もう大丈夫ですってまだきっぱりとは言えないですけど、相談できる友達ができたんで心配入りません」

「そうですか。それはよかったです」

「今日も授業よろしくお願いします」

「はい。もちろんです。ベント先生と二人で厳しく鍛えさせていただきます」


 一週間ぐらい経った頃には周りのクラスメイトも前と変わらないように接してくれるようになった。

 徐々に日常を取り戻し始める。

 だが月霜が戻ってくることはない。

 そんなことはわかっている。

 だから月霜の分も頑張らなくては。


「どっか行かない?」


 メリッサが遊びに誘ってくれる。


「いいね。どこ行く?」


 ああ、楽しい。

 改めてそう感じるようになった。

 

「日下部くんも一緒に行こ」

「はい。行きますよ」


 その日の午後はいろいろなところで遊んだ。

 

「そういえば後一月ほどで学校が終わりますがどうするか決めましたか?」

「私は魔獣狩りになる予定だよ。商売とか頭を使うことはわたしには向いてないからね」

「そうだなぁ。俺もとりあえず魔獣狩りとして活動しようかな。異世界人のほとんどがなるって聞くし」

「二人もそうなんだね。僕も魔獣狩りになろうかなって思ってて」

「みんな魔獣狩りなんだね。私は故郷の友達とパーティーを組む予定なんだけど二人はパーティー組むの?」

「どうする?日下部」

「しばらくは一緒にパーティー組んでもいいと思うな」

「ま、そういうことだ」

「後一ヶ月の学校生活も楽しもうね!」


 元気なメリッサの声はこっちも元気にさせてくれる。

 このメンツでずっとやっていきたいが、メリッサとは卒業したらお別れとなりそうだ。

 

「じゃあ、今日はこの辺で。バイバイ」

「日下部も気をつけて帰れよ」

「わかってるよ。じゃあね」


     ーーーーーーーーーーー


「いやあ、もう一週間で学校も終わるね」

「早かったな」


 今俺は自分の部屋で日下部と話している。

 最近は日下部が時間のある時は一緒に会話するようになった。

 日下部の方が仕事もあって忙しいようだが、俺は長い間無断で休んでいたのでクビとなった。

 まあ仕方ない。

 最後に挨拶しに行った時に君が元気になって何よりだよと言われたときは泣きそうになった。

 ここ一ヶ月で随分と涙脆くなったものだ。

 

「それにしても魔獣を区別する道具はみんなに配られるんだな。てっきり二年に上がる人には配られないと思ってたわ」

「そういう人たちも魔獣を素材とする時に必要になるからね」

「なるほどな」


 他愛もない会話を続ける。

 もう日も暮れてきた。


「そろそろ帰るね」

「ああ、今日もありがとうな」


 日下部が部屋から出ようとする。


「なっ…なんだ!」


 地面が一瞬大きく揺れる。


「今の爆発音なんだ?」

「この近くのはずだよ」


 そうしていつもの日常はまた崩れることとなった。

 

読んでいただいた方々ありがとうございます

感想などあればお聞かせください

花粉症がつらいです

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