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初恋を踏みにじられたので、可愛い番を作ります  作者: 宇和マチカ
変えられた過去

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謎の靴屋と魔獣子爵

お読み頂き有り難う御座います。誤字報告誠に助かっております!

王宮に呼び出されたミューンは、街でとある噂を耳にします。

「最近地方でチェーン展開してる靴屋さんの支店が、闇の大地商店街に出来たって」

「ああ、昔は有ったらしいけど、おじいちゃんだから引退したらしいね……。意外と闇の大地商店街には無かったからー」

「何かさ。店主の趣味で煤けたタワシ魔物みたいな剥製が飾ってあるらしいよ。怪しー!」

「靴屋のグッズ的な?マスコットキャラ?」

「靴屋のマスコットキャラって何。店主がオッサンだけどイケメンらしいよ。マジかなあ、アタシ行ってみよっかな」

「老け専?」

「歳上の男性が好きなの!!」


 闇の大地商店街、リーズナブルなカフェにて、若い鳥獣人と豚獣人が甲高い声で喋っている。


 其処を通りすがった馬車の窓が少し空いていて。

 3日も掛かった課題を終えたフリックをサプライズで迎えに行きたいものの、王宮に呼び出されイライラMAXのミューンの耳に届いた。


「チェーン店の靴屋……?」


 ミューンは何気なく自分の淡い青灰色のドレスから覗く、ほんのり桜色の光を纏う銀色の靴を見つめた。

 靴の先は尖り、ヒールは高め。ストラップには細かい葉っぱのモチーフが付けられている。

 多少は道を歩けるが、長時間はとても無理。勿論既製品ではなくオーダーメイドである。


 ミューンには縁の無い話の筈だったが、妙に気にかかる。

 王宮に着いたが気の乗らないこともあり、暫く考え込んだ。


「タワシの剥製みたいなマスコットキャラを靴屋に置く店主……。変わりすぎね」

「た、タワシ……!?」


 ガコンガラガラガラ、と派手な音が鳴り響く。護衛が直ぐにミューンの前に立ちはだかったので何かと思ったら、木の棒がミューンの歩く廊下、すぐ側まで転がってきた。どうやら箒のようだ。侍女のミスだろうか。

 護衛の影から視線をやると、見事な金髪の若いお仕着せを着た女性が青褪めて目を見開いてワナワナしていた。


「ももももも」

「桃?」

「申し訳っ!御座いません!!ドレッダ嬢!!どうか、夫を解雇しないでくださいませーーーー!!家計が!家計がーーー!!」

「夫を?……貴女、もしかして」


 直ぐに平伏してしまった侍女姿の女性は、予想していたより、ずいぶん若い。

 フリックと年齢が変わらないのではないだろうか。


「……ソラニ子爵様よね?侯爵令嬢の私に平伏さなくて良くってよ……?顔をお上げになって?」

「仰せの通り、ドロメラ・ソラニで御座います!!若輩ながら当主を賜っておりますが、この場では侍女です!!」


 金髪を揺らして、何度もお辞儀をするドロメラを促し、その姿をしげしげと眺めた。

 背は平均より少し高めだろうか。茶色のツリ目に、鼻にはソバカス。すっかり青褪めてしまった地味な面立ちの中で目を引くのは、高位貴族でも中々持っていない豪奢な金髪だった。


 成程、彼女が黄金のガサガサの魔獣子爵。恐らく知らなければ普通に通りすぎるだろうが、色々調べた後では分かりやすい見た目だ。


「どうか、お許しを!最近引っ越したばかりなのに……家賃が跳ね上がってしまって本当に困ってるんです」

「箒を転がした位で何もしないわよ。そんなに困窮してらしてるの?特殊任務は帯びてらっしゃらないの?」


 定住しているが、魔獣子爵として特殊任務をこなしボーナス的な物は無いのだろうか。

 だが、ドロメラの表情は暗い。


「あの、特殊任務と申しましても……。日割り計算したら時給300ヨコセヨ位の任務も多くて……。情けないお話ですが、正直やってられないものも多くて……」

「……特殊任務って高給取りなイメージだったわ。そうなの……。そうよね、それじゃ滅私奉公にも程が有るわよね」


 それでは王宮の廊下掃除の時給の方が高い。


「あの、本当に夫はクビになりませんか?」

「条件が合えば末長く働いて欲しいわ」

「やっ、やったあ!あ、失礼致しました」


 パッと笑顔になり、跳び跳ねて喜ぶ姿は、年相応で可愛らしい。

 ……跳ぶ高さが若干、いやかなり高いのは彼女の身体能力が凄いからだろう。本人の身長位跳び上がっていたように見える。それなのに廊下掃除。無駄人事ではないだろうか。


「あ、その、ドレッダ嬢。お伺いしても宜しいでしょうか」

「何かしら」

「タワシの剥製を飾っている靴屋、と言うのは……」

「……ああ、ええと。街で聞いただけなのよ。イケメンのオッサンの何だったかしら?」


 御者を勤めていた護衛に聞くと、少し考えた後に答えてくれた。


「最近出来たチェーン店の靴屋のマスコットキャラがタワシみたいな魔物では無かったですか?それで、店主がイケメンのオッサンだと」


 改めて聞いても意味不明である。

 だが、ドロメラは固い顔で口を開く。


「……そのタワシみたいな魔物って……我々の眷族、なのかもしれません」

「ええ!?」


 眷族、とは。何処かで聞いた言葉にミューンは息を飲む。


「もしかして、合成異世界種造りのズズグロ……」

「そ、そんなマイナーな事件を何故ご存知で!?」


 確かにマイナーな事件である。スオリジェ軍将の探していた異世界種が関わっていなければ、全く知らなかっただろう。



黄金のガサガサについては『貴方のルートで息の根を止めてたまるか』https://ncode.syosetu.com/n5059gr/をどうぞご覧くださいませ。

魔獣子爵ドロメラの母親の村娘の話です。

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登場人物紹介
キャラクターが多くなって来たので、確認にどうぞ。
― 新着の感想 ―
[気になる点] ズズグロ男爵が言ってた、「娘を迎えに行きたい」云々は、要は、「人体実験を続けさせろ、引き続き人を素材にさせろ、素材になった人達を刻ませろ」 て事ですかね。 ヤバいなんてものじゃないです…
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