表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
初恋を踏みにじられたので、可愛い番を作ります  作者: 宇和マチカ
足掻く番

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

127/164

王太子妃は口が軽い

お読み頂き有難う御座います。

意外と軽かった王太子妃との会話が始まります。

「義姉上、何故話せないフリを為さっていたんですか?」

「▶ё◉#◆*だから‰▼;&●ё¢;;;……!プギャ!スピーキングムズいの!!」


 王太子妃はアワアワしながら、深海語を交えて答えた。どうやらテンパると深海語と大地語が混ざるらしい。ユーインはズキズキ痛め付けられる頭痛を堪えながらも、フリックに視線をやった。


「……フリック、義姉上は何と仰っている」

「はい、ユーイン様。短期労働……バイトに差し障るからと……ええ!?バイト!?」

「ババババイト……」

「義姉上!?」

「お、王太子妃様……」


 ユーインの声を聞いて、王太子妃は頭を抱えながら、バシャバシャと水槽の中で暴れ回った。

 そのせいで、床も壁もフリックもびしょ濡れだ。床と壁の水分は特殊加工のお陰か無事排水溝に流れていったが、フリックはお風呂が必要なレベルで濡れている。


「フフフ、フリック、ず、ずぶ濡れだけど……」

「だ、大丈夫です、キャレルさん」


 キャレルは彼が風邪を引かないか心配で、水槽から離そうと考えたが、深海語は水の近くでないと発音も聞き取りも出来ない。


「ひええん!だからヤダッたのよう!旦那も知ってるから良いじゃないよう!ごめんメンゴってばー!」


 因みにユーイン達も、飛沫で地味に湿ってきている。


「……兄上が!?」

「ヒ、ヒエエ……これ、き、聞いたら王室的に駄目なヤツじゃないですかあ……!?」

「……他言無用だ。そこの女官も」

「存じております。仰せのままに……ユーイン殿下」


 フウ、と溜め息を吐いて、ユーインは王太子妃へと向き直る。そして女官にタオルの手配と風呂の用意を言い付け、部屋から退出させた。


「その話は後で伺います。我々は聞きたいことが有って参りました」

「後々も聞かないで欲しいのよーん……」

「聞きます。義姉上」

「この場ではちゃんとするからあん!お答えしちゃうよう!!」

「……お、王太子妃様……」


 聞きたいのは山々だが、安請け合いして良いのだろうか。フリックは思わず王太子妃を見つめてしまった。


「ちゃんとする!あのあのね、私の名前はティレ#◉ロアオ▶◁カノニエリ●◇◆◁¥……」

「聞き取れない部分は有るが、そんな名前だったんですか……。意味は」

「ええと、深き海の類い希なる白き瞬き……」


 キャレルが思わず訳すと、王太子妃は頬に手を当ててバシャビシャと水の中で跳ね回った。

 当然ながら間近のフリックはまた濡れ、ユーイン達にも海水の飛沫が降り掛かる。


「みゃっ!!」

「ガウッ!?」

「ヒエエ!?」

「いやいやん!そこの黒いお魚の子!ダサダサいから止めて!!」

「く、黒いお魚……そ、その通りですけど……」

「私を呼ぶなら、お義母様とかが呼んでるローメリ?でいいわ!」

「え、え!?そ、それもどうかと……」

「いや、母が……だけでもないが、呼んでるのはオーレリですが……どういう意味なんだ」

「……あ、オーレリ?じゃあそれで良いわ。それの意味、とても分かんないけど」

「ローメリ……」


 意味は分からないし、未だ涙目のキャレルの何とも言えない顔が気になるところだが、ユーインは強引に話を戻すことにした。


「……気になるが、それよりも。義姉上、聞きたいのは兄の事です」

「旦那がどーしたの?あの人、変わり者」

「いや、変わっているのは付き合いが長過ぎて、身に染みて知っている」


 ユーインは散々な感想だった。散々兄に苦労させられている故に仕方がないのだろう。


「じゃあなあになーに何?

 旦那によく付いて回ってる……角?を切った女の子?」

「角……馬の娘を知っているのですか?」


 どうやらネラの事を知っているらしい。


「陸の種族は円盤知識しかなくてウロウロ覚えだけれど、それかしらん。多分そうなのよう」

「円盤?」


 もしかして、水槽内に散らばる丸い石がそうなのだろうか。何の用途に使うのかはサッパリ分からない。


「あっ、ち、散らかしてごめんメンゴ!旦那に怒られるわー。子供達が体当たりしかねないから、片付けろって」

「こ……」


 ユーインは何度めか分からないレベルで、絶句した。

 信じさせられていた事実は、まるごと違う。

 

「あ、兄上に、子供……」

「ごめんメンゴね。最近産まれたばっかりの稚魚だもん。叔父さんだって未だ分かんないかもかも……。

 ほーらディリシア、クワルク。叔父たまよ」


 王太子妃オーレリが呼び寄せ、寄ってきた小魚は、2匹。

 どちらもよく見たことの無い魚で……片方は赤褐色の色の鱗、もう片方は白と赤褐色の鱗だった。


 子供。稚魚。

 王太子妃の周囲をポチョポチョ動き回る小魚の色味はどう見ても、ガウ家の色合いだった。


「叔父……」

「お、狼は……妃殿下からは産まれないん、ですか?」

「私、卵しか産めないわん!狼は無理よう!」

「いや、それよりも……偽装仮面夫婦、だったのか……!?」

「ギソー仮面フーフー?●‰::ё◁#◇◆▷」

「あの、そのあにめ?と言うのは何でしょうか」

「円盤よう!これは、えーと?ザブジャブジャブーンでは書物の代わり?なの!?これ買いに行く為に長ーい時間、週1しか運行しない潜水艇に乗ったのだわ!ウチの実家、田舎だから、ホント交通網がヨワヨワ!

 お店行く迄に水圧酔いして貧血で海草の上に倒れてたら、旦那にナンパされちゃったのよう」


 そんなエピソードだったなど、知らない。


「これは、お聞きして……良かったんでしょうか」

「よよよよ、良くないよね……」


 ただ、ネラの事を聞きに来ただけなのに。

 王太子夫妻の不仲説はひっくり返り、王位継承権順位迄がひっくり返るエピソードを聞かされるとは思わなかった。


「それで、あのウマの子?は旦那の浮気相手なの!?有り得ないわん!旦那は魚と草と硝子しか愛せないのに」

「ヒエエエ……き、聞きたくな、無い情報……」

「……兄上……」

 

 更に聞きたくない性癖まで聞かされてしまった。

 王太子妃はかなり変わった人らしい。



偽装仮面夫婦だった…ようですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
登場人物紹介
キャラクターが多くなって来たので、確認にどうぞ。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 円盤って、ディスクですよね? もしかして、このゲームのディスクなのでは? だから馬娘の事を知ってるのかな。 [一言] 王太子妃、ヤンママって感じですね。 ちゃんと旦那とお子様まで拵えて…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ