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8月4日は火曜日

作者: たつたツウ

八月四日になった瞬間、すなわち〇時〇分は自室に居た。昨日は十八時に夕食を食べるまで昼寝をしており、このままだと午前十時くらいに寝るのが丁度良いだろうか。用事のない日ならそれでもいいのだが、四日は病院に行く予定がある。予約はしていないのだが、薬が切れる前に行かなくてはならない。いや、そこまで脅迫的な事柄ではないのだが、こういうのはちゃんと行っておかないと精神がおかしくなってしまうんだ。そういえば、歯医者の予約も早いうちにするんだった。そんなわけで今日中に病院に行きたいわけだが、どの時間に行くかが問われる。開業時間の九時に行くか、それとも一度睡眠をとってからにするか。どちらでもいいのだが、寝過ごしたくないので前者にしたい気分である。


午前五時の散歩を終えてシャワーを浴びていると、同居人が起きてきた。今日は昼前から仕事に行くと聞いていたので、六時前に起きてきたのは少し以外でもあった。僕が、朝食を食べる旨と朝から病院に行くつもりだと話すと「朝食は食べるんだね」と言われた。確かに、病院に行く時間が変わるかもしれないことに比べて、朝食については確実性が高いし、すぐに準備する必要がある。とはいえ、ルーズさを指摘されるとムッとする。君が焼く目玉焼きはいつも焦げているじゃないか。今日は焦げたのを食べて、次は焦げていないのを見せてやることにしよう。


朝食を取った僕は、ちゃんと薬を飲んでから歯磨きをしてから仮眠をとった。病院に行く時間を遅くしようって訳じゃない。眠いまま外を歩くのは危ないんだ。これといって眠気にまつわるエピソードを持ってはいないけれどね。中学生の時、授業中にジャーキングをしたのがとても恥ずかしく記憶に残っているくらいか。眠い午後の授業を乗り切った後の帰りの電車は不思議な感覚だったな。このまま夜遅くまで自由に過ごせることを喜びながらも、頭が動いている状態で授業を受けた方が良いと思って、上手くいかない学校生活を送っていた。あの頃の自分にとって熱い時間は深夜二時で、昼に眠くなるのも納得である。夜十時に寝られたらいいなと思っていながらもずるずると起きていた。小六くらいのときは十時が熱い時間だったなぁ。ふと、壁掛け時計が十時半を示す光景が浮かんできた。何か忘れていることがあるような気がして、目を覚ます。アラームをセットしておらず、現在時間が分からない。慌てずにデジタル時計を見ると、午後一時四十分。午後の診療は三時から。おやすみなさい。


カーテンの外から入ってくる光を見るに、そこまで時間は経っていない。まだ三時なのを確認して、洗面所へ向かう。ご飯を食べてPCの前に座り、四時になったので薬を飲んで歯を磨く。病院までは長くても三十分ほどで着くことと受付が六時までであることを考えると、そこまで余裕はないが急がなくてもいい状況だ。四時半になり、電車の時刻を調べる。五時五分の電車に乗ることを決め、ソワソワしながらのネットサーフィンに戻った。


普段着の中で一番のお気に入りを身にまとい、予定よりも少し早く駅に着いた。ホームに降り、丁度良さそうなところに立つ。この通院の初診の時に比べたら落ち着いている。ホームで電車を待つこの時間が恐ろしくて乗換案内で電車の時間を調べたのだが、今では刹那の二分間をソシャゲのイベント周回でやり過ごす。普段は使わない方向の電車を、肌荒れを隠しながら十五分くらい待っていた三週間前は一体何だったんだろうか。余裕がある時はそこからさらに楽ができる、という構造はこの世界にたくさんあるので珍しくはないけれどね。三週間前の日付を思い出そうとして、スマホでカレンダーを開いた。日付を計算するのを面倒に思う僕が、予定の書かれていないカレンダーを見たところ、七月十四日のようだ。約分すると十二月二十四日と同じになるということで思い出したがドア一つ分右で電車を待っている高校生の男女二人組はどういう関係なのだろうか。地元の高校事情を把握していない僕には二人がどこの高校に在籍しているのかさえ分からない。ソシャゲをしていると、お目当ての電車より一つ前の電車が来た。複雑な路線で、この電車は次の駅でこの後の電車と待ち合わせる。乗り換えが少なく済む上に、このホームに長居せずに済むのだから、当然乗り込む。他人を覗くのはカッコ悪いので、先程のカップルの様子は見ていない。右のドアとの間に車両の連結部分(行き来はできるもの)があったこともあり、二人のことは見失った。


乗り換えが一つ少なく済んだが、もう一つ、必ず乗り換える駅がある。目的地に向かう最後の路線は普段から人が少なく、今回も椅子に座った。中年男性が目の前に座ったのを見て、先日Twitterで見つけた漫画を思い出した。目の前だけでなく斜め前にも小太りの中年男性が座っている。こういうのが普通なのだ、と、その漫画で言われていたのが話題になったらしい。これについて意見を求められたら、なんて答えようか。「見た目の美醜には個人差が大きく、それよりも健康に気を遣うのはどうだろうか」とでも言えば良いのだろうか。何を論じればいいのか分からない話題なので、当然まとまらない。命題としては「今年の年間行事は例年とは違うとしても、普段より高校生が少ないのは夏休みに入ったことによるものだろう」の方が正解っぽさがある。ところで、高校生を見かけない分よりも大人が多いのはなぜだろう。お盆休みに入ったのだろうか。こういうところで「学生の日程は社会全体と比べて画一的で、動向を推測しやすい」というのが発動しているな。そんなことを思いながら病院の入っているビルまでの道を歩いた。


ビルの階段を上ると、病院の受付で薬の説明を受けている人がいた。院内に薬局が入ってるところはよく見かけるが、ここは一つしかない受付で薬を渡している。入り口を塞がない位置に移動して斜め後ろから受付の様子を窺う。量のある薬を受け取る患者はこれまた中年男性。高年が多い印象だが、病院には幅広い年齢層の患者がいる。手に持つタイプのビジネスバッグを持っているところを見るに、仕事帰りなのだろう。薬が紙袋に入れられた後、男性がポリ袋を要求した。これまでこの病院でポリ袋を貰っていなかった僕にとって興味深い光景だ。紙袋がポリ袋に収まる頃、男性が笑いながら「有料だったりする?w」と聞いた。七月からのレジ袋有料化の話は、買い物を同居人に任せている僕の耳にも届いている。院内なら無料で良いということは聞いていたし、何よりこの病院を紹介してくれた知人が七月に無料で袋を貰ったことを言っていたので、安心してやり取りを見ていた。ルールより現場を重要視する姿勢に反発するほどの若さは持ち合わせていない、ということは念を押しておく。それよりも、この男性と受付の人の温度差の方が気になるけどね。よく知らない相手にはどういう態度で向き合えば良いのか。さっきから抽象的な命題にぶつかる。


受付を済ませると、すぐに診察室に呼ばれた。治療を継続するだけなので新しい話はない。二つほどした質問に期待通りの返答があり、気休めを得て待合室に戻った。ニュースを見ると、橋の上でうつむいていた人に声を掛けたスポーツ選手が感謝状をもらったようだ。死にたいのが発作なのであれば、人命救助と言えるだろう。あんまり人にする話じゃないので簡潔に済ませるが、的外れな感じがする。


すぐに診察が始まったように、薬を受け取るのもすぐだ。いつにも増して空いている。来週は病院が休みになるので二週間分の飲み薬を貰う。容態としては先週の時点で二週間空けても良かったが、休みにかさなってしまうので今週も通院することになっていたというわけだ。今までで最も薬の量が多く、僕の鞄には入りきらない(迫真)。タイミングを見計らって「すいませんビニール袋をください」と言った。正直、カッコ悪さを感じた。


会計を済ませて、駅に向かった。駅のホームを見ると何人か高校生が目に入った。先週よりは少ないけどそんなに少なくはないのか。大人が普段より少ないのは、病院を出るのが先週より三十分ほど早いからだろうか。乗客の動向は掴めないということで話を終わらせていたので、この続きも考えない。乗換案内によると、帰りは二回乗り換えるようだ。この乗り継ぎに慣れている大人に混じって、僕も向かいのホームに止まっている電車に乗り込む。すると、隣のドアから女子中学生が入ってきた。近隣の高校事情を知らない僕は中学事情も勿論知らない。というか、彼女が中学生かどうかは見た目から判断しているだけだし、「彼女」なのかどうかも推測でしかない。どうでもいいか。一人でいるのを考えると、学校からは遠く、家に近いのかもしれない。そんなことを考えていると、僕の降りる駅につく。反対を向いていた彼女は開くドアの方に振り返った。「普段からこの電車に乗っているのなら、階段やエスカレーターに近い車両を把握できる」と考えたが、少し離れたところに停車した。こんなことを愚痴るのは見当違いだし、停車位置は僕でも考えられる話だ。次回からは自分で数えることに決めた。そういえば、車両位置を最後に考えたのは高一のときに一番空いている車両を探した時だった。みんながみんな乗り継ぎの早さを優先するわけではないということに自力で辿り着いてしまった。


家に着き、帰宅後の動作を済ませて自室に戻る。帰宅途中、今日の出来事がドラマのように感じられた。先週と今日の間に小説を読んだことも大きいかもしれない。折角だから小説を書くことにする。スマホのメモを開いてワクワクしてから、PCで『小説家になろう』を開いて登録を済ませた。そこで書いた文章については以上の通りだ。

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