遇湧限話 稀な機会の価値基準、人の希望と己が傷
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参加単位 :
パーティ または ギルド(受注時に選択)
推奨レベル:
パーティ > 35レベル
ギルド > 30レベル5人 + 平均20レベル
注意事項 :
ユニーククエストのため、クエストの破棄や敗北後の再戦は不可能
ギルド単位でクエストを行う場合、ギルドのメンバー数により敵の数が変動
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今日来れるメンバーが集まった、作業の開始時。
挨拶代わりに放り込んだ『ところで、土管の下にユニーククエストを見つけたのですが』という一言は、大きな爆弾となって空き地に嵐を起こした。
特に高レベル層の反応は劇的で、はるまきさんでさえ絶句した後―――なぜか、大きなため息をついた。
「そんな大発見を平然と暴露する辺り、相変わらずの危機管理具合ね」
「危機管理と言われましても、そもそもこの空き地にはスタッフしか入れないですしね」
今いるメンバーは、はるまきさんとラシャ&チョリソー、ひげさんとみかんさん、イグニス&マリーンさんだ。
わきさんとリーリーさん、クルスさんと絢鶴さんが不在である。まあ、絢鶴さんはこの空き地に来たことないですけど。
ちづるさん?
声を掛けたらすっ飛んで来そうなので、声は掛けません。
……限定クエストをやる機会があると言ったら、来たいだろうなぁ。でも流石にそれ目当てで来るのはどうよ、いやいやあいつはそれ目当てじゃないし、とかぐるぐる考えちゃう。
あと、もう一人のゲストも、ここに来ることは不可能だろう。さほど残念でもないけれど。
「とりあえず、伺いたいのですが。
参加したい人、挙手」
勢いよくか、控えめか。違いはあれど、大なり小なり全員が手を挙げた。
あ、違った。マリーンさんだけ手を挙げてなかったから、ほぼ全員、でした。
「まあ、やっぱりこうなりますよね」
「当然ね。
ユニーククエストなんて、世界でまだ5件ぐらいしか発見報告がないのだし。
報酬も限定的なものでしょうし、500万Fくらいならお金払ってでも参加したい人はいくらでもいるわね」
希望者全員が参加するためには、パーティではなくギルドで参加するしかない。
だがはるまきさん等、すでにギルドに加入している人もいる。
ギルド参加はギルド参加で、色々悩ましいんだがなぁ。
「悩むことなんかないわよ?
ライナが、ギルドを作る。そうすれば解決ね」
「……簡単に言って下さいますな」
解決策はそれなんだろうけど、心が納得できるかは別問題。
でもなぁ……という気持ちでため息をつく。
「ギルドを作るのは難しいのであるか?」
「簡単だチョ。
はした金で女性職員の頬を張れば、即堕ちだチョ。一人でも余裕っチョ」
「なるほど。得意そうである」
「らあなら得意チョ」
リアル友人ずが、こちらを見ながらわざとらしく人聞きの悪い言い方をする。
とりあえず、分かりやすい説明をありがとうという気持ちで『チョリソーのだらしない夕方の部』を紙に写し出してひらりと広場の中央に投げ捨てた。
皆が覗き込む中を飛びつくようにしてチョリソーが慌てて拾う。ざまあ。
さっき突発で面倒なお願いを引き受けてもらった以上、これ以上の報復は控えておいてやろう。
「今日来てない人も居ますし、参加メンバーについてちょっと考えたい事もございますので。
連絡や準備を考えてからクエストを受注しますので、クエストの実行は週末と致します」
「平日よりは集まれるでしょうし、今日明日あればライナも参加させるメンバーを決定できそうね。
それからクエストを受注すれば良いと思うわ」
先送りとも言えるぼくの決定に、なぜかはるまきさんが不敵に笑う。
他の人は、なんとなくそわそわした空気を出しつつも、特に反対意見はないようだ。
「それでは、少し遅くなってしまいましたが今日の作業を始めましょうか」
農家班の育てたスノーベリーは、無事に光る花を咲かせた。
畑と水辺、水中でそれぞれ色系統が変わっており、とても良い感じですね。
あとは、採取した場合に花の光がどうなるか、どの程度持続するかが分からないので、時間を記録して実験あるのみだ。
ちなみに、栽培方法によって味も少しずつ違いました。おいしかったです。
大工班はステージの作成。
サイズが非常に大きいが、作業自体は頑丈な台を作るだけなので比較的単純。
今日でステージはひとまず完成したので、明日からは次の製作だ。
どこか暇なタイミングで、実際に噴水の上に持っていって強度とか試してみないとね。
その他の人達は、座布団や提灯等、小物の作成。
基本的に、小物はいくら多くても困らない。スキルと得意分野に応じて、ひたすら座布団と提灯作り。
得意分野がない人には、ひたすら短冊に糸を通すための穴あけが待っております。
え、そんな単調作業は飽きるし嫌? あ、はい。主催者が一人でやります、はい。
遅れてやってきたリーリーさんとクルスさんにもユニーククエストの説明をすると、クルスさんがしばらく固まっていた。ものすごく驚いたらしい。
多分、表情こそ変化は少なかったけど、内心では一番そわそわしてたんじゃないかな? 見ていてちょっと微笑ましかったです。
逆にリーリーさんは、希少性が分かってないからか、珍しいクエなんだー、へーって程度でした。やっぱりこの辺は、フリークブルグで過ごした期間の差ですね。
クルスさんに限らず、ユニーククエストについてはもちろん全員に緘口令を敷いてます。
口頭や書き込みなどの手段を問わず、情報を広めることの禁止。
もちろん、勝手に受けて進めることや、妨害なども禁止だ。
破ったら、まずは除名ね。
今日に限って、なぜか騒いだり出掛ける人が全くおらず、空き地全体で黙々と作業が進む。
おかげで作業の進み具合は非常に良好でした。
ぼくが一人で対応してた短冊の穴あけ以外はね……!
千枚も短冊を用意するんじゃなかった。短冊を作成した時と違って、穴あけは書記スキルが通用しないんです。まじ単純作業に涙。
結局この日は、ラシャとチョリソーが途中で帰っただけで、それ以外は最後まで空き地での製作作業。
みんなでどこかへお出かけすることもなく、メール処理しつつひらすら単純労働で時間が過ぎ、遅い時間になったので活動終了宣言を出した。
……穴あけだけで一日が終わるとか、これって一種の拷問?
気晴らしに出かけたかったけど、誰も作業を中断せず黙々と頑張ってくれてたから、主催だけ遊びに行ってきまーすとか気まずくて。出かけられませんでした。
活動後は、今から戦闘するには時間が遅かったので、少し街中に出かけて取引など済ませ空き地に帰還。
必要な設定や設置などを行い、ログアウト。
ユニーククエストにわくわくしつつ、布団に入った。
こうして、木曜の夜が終わり、眠りに沈む裏で。
宵闇の中に暗躍する者達が居ることを、この時のぼくはまだ知らなかった。




