マスケットの運用方法
今日は昔のなろうやにじふぁんで人気だった鉄砲無双について書こうと思う。
マスケット銃と言うのは、筒の中に火薬と鉛玉を積めて、火を付けた縄か火打ち石から発生した火花で着火し、打ち出す遠距離武器である。
弓やパチンコに比べて複雑な工程をしており、誕生当時は非常に高価な武器だった。
ぶっちゃけると、マスケットを持たせた兵士を百人徴用する位なら、槍を持たせた兵士を三百人位徴用した方が安上がりな位高価な武器だった。
何故、こんな故障も多く、不発率も高く、銀貨(中農の年収)で銀貨(中農の年収)を打ち出すような武器が使われるようになったかと言うと、そこにはこんなメリットと理由がある。
メリット
・当たれば死ぬレベルの威力。
・一ヵ月位でそこらの農民を兵士にできる。
・音が大きいので敵がビビる。
・達人が使おうと、素人が使おうと威力は一緒。
戦争大好きな諸君は、上記のこれらが戦略的にどんな価値を持っているか分かっているだろう。
まさに戦争を変える兵器だったのは間違いない。
ただし、出てきたばかりの新兵器だったので、デメリットも多い。
デメリット
・300丁揃えて、一斉発射するだけで国庫が干上がる。
・硫黄や硝石など、別々の場所でとれる資源を活用する為、兵站に負担をかける。
・故障が多い。
・不良品が多い、5丁に1丁位の割合で混ざってる。
・命中率が低い。
・暴発して味方を殺傷する。
・雨が降っていると打てない。
・不発率が異常に高い、平均して三発撃ったら弾が出なくなる。
・煙い。
・射程距離が短い。
・整備が大変。
・味方の馬が暴れだす。
・連射できない。
・運用し辛い、調達し辛い、出来てもあんまり役に立たないの三拍子。
・撃ちすぎると前が見えなくなる。
・たまに銃身が弾けて複数人死亡し、数十人負傷する。
・とにかくお金がかかる。
・火薬と弾が嵩張る。
さぁ、戦争大好きな諸君は、これを運用しようと思うかな?
例えば君が民衆をまとめ上げた反乱軍だとしよう。
そもそも運用できるお金ってどっから持ってくんの?と言う疑問が残る。
それでもマスケットを使いたいというのなら、止めはしないが、こんなもの運用するのは信長等の一部の変わり者だけだ。
国内から弓兵がいなくなったわけじゃないのなら、大人しく旧来の武装を使うべきだ。
どうしても運用したい貴方へ、私が運用方法をいくつか教えさせていただこうと思う。
まず第一に、野戦ではさして有効ではないと言う事を念頭に置いてほしい。
マスケットの有効射程距離は50メートルほどだ、それ以上になるとナックル回転がかかった弾丸は大きく曲がって、当たらなくなってしまう。
ついでに、再装填に一分程かかると言うのも念頭に置いてほしい。有効射程に入った敵の一陣を一斉発射で倒したとしても、二陣に食いつかれて、あなたの戦列歩兵はフルボッコである。
こんなデメリットがあって、野戦で使う人間はいないだろう。
ん? 三段撃ち?
不可能だと断言しよう。
例えば、撃った人間がしゃがんで撃つタイプの戦術で想定しようか、三列並べれば、三連射までは出来ると思う、だが、そのあと、装填は不可能となる。
マスケットと言うのは、銃口に火薬をいれて、鉛の玉を入れ、棒で奥まで押し込み、火皿に火薬を載せて、火を付けると言う装填手順が必要だ。
当時の火薬、まぁ、黒色火薬は非常にきめ細かい粉である、どれ位きめ細かいかと言うと、諸兄らは小麦粉と言うものをご存じだろうか?
あれくらいの細かさだ。
容易に想像できるだろうが、火薬を棒で押し込むのは不可能だ。鉛の玉も銃の口径より大分小さいので、火薬は銃口付近にうすーく延ばされて滞留することになる。
うむ? それじゃあ銃だけ交換すればいいじゃない?
不可能ではないが、野戦でのメリットが少ない。
人間は毎日一キロほど食事を取る、その装填要員の為に兵站や兵糧を圧迫するのは無駄遣いでしかない。
その装填要員に槍なり持たせて戦う方が、ずっと現実的で、効率的なのだ。
何? じゃあどうやって野戦で運用すればいいのかだって?
簡単だ、戦列をこう並べればいい「槍、銃、槍」
槍を持った歩兵で銃兵を左右から挟むのだ。
敵が接近してきたら、銃兵で一撃を加え、その後、左右の歩兵を前にだして戦わせるべきだ。騎兵が突撃してきたた際に方陣も組めるようになるぞ!
こんな感じだ!
銃槍銃
槍槍槍
銃槍銃
何? じゃあ他にどんな場面で運用すればいいのか。だって?
銃が最も活躍するのは攻城戦の防衛側だ。
どうしても城に籠れば遊兵も多くなるから、三段撃ちだって可能だし、防衛側が兵站を気にする必要はない。城には備蓄が大量にあるからだ。
それに、城壁に囲まれていれば、騎兵が突撃してきて蹂躙されたり、歩兵突撃で蹂躙されたりする心配はない。
鉄砲三百、兵士千人の城を、五千の兵士で包囲されていても、援軍が来るまで持ち堪える事だって可能だろう。
後は指揮官である、諸兄らの働き次第である。