となりの客か
俺には朝の日差しが目覚まし代わりだ。
だからどうしても、今の季節は日を追うごとに目覚めが早くなってしまう。特にやる事も無いから、ちょっと損した気分だ。
欠伸をし、のびをして身体をほぐす。やっぱりちょっとまだ眠い…。寝ぼけた頭がアイツの姿がないことに気がついた。どうやらベッドインしてきた方はもっと早起きだったらしい。幸せな時間を削ってまで、いったいどこでなにをしているのやら…。
(…朝ごはんまではまだ時間がある。それまで、彼の分を、代わりに眠ってあげよう。)
そう自分に言い訳をして、さわやかな朝の日差しをヒーター代わりにふかふかな掛け布団の上で、また横になった。
その日の朝ごはんは昼ごはんになった。
家の前にある側溝にはコンクリートの大きな蓋と隙間を覆おう金属製の小さな蓋が並んでいる。それらが、ガシャガシャゴトンと音を立てて、チャイムよりも早く来客を知らせてくれる。
しかし、今日はいつまで経っても鳴らなかった。
鉄の蓋はこの家の前にしか付いてない。等間隔に並ぶ鉄板は隣との境から向こうでは、ぽっかりと開いた穴になっている。あんなやかましい金属音は、ここでしかしないのだ。
(…いや、最後に聞こえた音はコンクリートの音だけだった気もするな、まぁ、来客でも帰宅でもないなら迎える必要もないな。)
なんて、動く気も更々ないのに考えていた昼下がり
隣の空き地に、いったい誰が来たのかも知る由もなく、俺は本日八回目の寝返りをうった。