小さな変化
半分は普段の生活のワンシーン
もう半分は妄想という名の想像
少し不思議な日常を表現するために試行錯誤しております。この話が完結することで、小説を書くノウハウのチュートリアルが終わるといいな。
春の住宅街に、子供たちの楽しげな声と郵便バイクの音が響く。
小さな庭が付いた一軒家、その二階の西と南に大きめの窓がある部屋で俺は寝ていた。
差し込む夕陽に目を覚まし、寝惚けながらもあたりを見回した。部屋はもう赤く暗く、アップライトピアノが夕日を写して黒く静かに燃えていた。そして、窓の外にはその数倍は鮮やかな夕焼けが広がっていた。
「・・5時…14ふ、んーしまった…。寝すぎた」
現実を突きつける電波時計を見て恨めしそうに呟くも、焦ることもなくベッドから出る
「おチビ、また外を見てるの?やっぱりなにか気になるの?」
ルームメイトは窓の外が気になるようだ。
俺は西側の窓から見下ろすように目を向ける。先週までは家の壁と柵しか見えなかったが、今は茶色い地面が見えるばかりだ。重機の音も、木が割れる騒音も、もう聞こえない。
以前、隣には老夫婦が住んでいたが、息子夫婦と共に暮らす事になり空き家になっていた。昭和の面影のある平屋の木造家屋だったため、今日の厳しい耐震の基準を満たせないとかで、つい先日、取り壊されたのだった。
そんなことを考えていたら、いつの間にかルームメイトは部屋を後にしていた。自由気ままな日々を過ごす彼に、こちらの都合は関係ないのだ。