第15www操り人形の館2000 または、どうでもいい話。
そう言えばさ、それなりに子供達の頭も良くなってきた気がするんだけど、まだまだ人間のAIには敵わないんだよね。従順だけどさ。
でもたまに腹が減ったのか人間を食い潰しちゃう奴もいてね。
長く人間を使う方が後々の為になるというのにさ。
けれど、そういう個体に限って次の人間に容れたときは賢い行動をとるのが多い。
…どうせ罰せられないなら、喰えるものは喰った方が特だとか、気に食わないケースはとっとと換えて貰おうとか、
そういうズルいところが賢さのあらわれなのかもねー。
全く誰に似たのかな(笑)
で、最近は寄生虫の入って無い人間達を多目に飼うことにしたんだ。
だって、Jr.達は頭が良くなったとはいえ、まだまだ馬鹿だしな。
だから、思考できる人間ご少しは必要なわけさ。
そいつらの前では全員、中の虫がいるなんて素振りは見せない。
全員で積極的に隠蔽して騙しきる。
もしくは、集団の力で脅して従わせる。
本物と見分けのつかない操り人形の館で人形と気付かずに接し続ける人間達は、
もはや、人形師からみれば操れる人形の一つに過ぎないんだよ。
だって、周りの人間皆にあーしろ、こーしろとお願いされれば、大体のヤツがその通りに踊ってくれるんだからな(笑)
このアイデアは勿論、俺が考えたものだが、
こういう作戦を考えるとき、時折考えることがある
一ーーーーあの少女なら何を考えただろうか、と。
その少女は、どうやら市長をやっていた時代の俺でさえ、住む次元が違う生き物だった。
ソイツが運転手に乗せられた車は、
俺の国の者なら誰もが知っている大企業の車だった。
きっもそこのお偉方の娘なのだろう。
偶々、俺の姪がソイツの知り合いだったと知ったときは、
姪を使ってどうやってソイツをしゃぶりつくしてやろうかと、そう考えていた。
妹の家に上がり込んで姪にソイツの事を聞いてみた。
姪ほすぐさま俺の目的を察したのか、
警戒心をあらわにした。
いつもは、女性としての警戒心をそれとなく感じ取れるが、
その時に感じた警戒心は、何処か殺意に似ていた。
姪は言っていた。
交遊関係のあった『友達』も、
交流が無くなってしまえば私の中では、
『友達』から『友達だった』人へと変わってしまう。
周りには『ともだち』で通しておくけどね。
……唯一の例外は、×××だけ。
何かするつもりなら決して許さない。
そう、言っていた。
俺の『雄』に怯えながらも、その恐怖につけこまれまいと警戒心を隠す姪をそこまで狂わせる相手に逆に興味が湧いたので、後日、勝手にヤらせて貰おうと考えていたんだ。
その女を落とし込んだ後、そいつを使って姪も落とし込んでみるのもいいのだと思ったしな。
奴をつけていたら、好機が訪れた。
何処かに護衛がいたのかもしれないが、偶々周りの人がいなくなった。
そのときにソイツに接触しようとした瞬間に目があった。
…正しくはヤツの視界に入った。
その時、全神経が訴えた。
蛆虫を不快に思う程度の気持ちでアイツは…俺はアイツに殺される、と。
それくらい、奴は人間らしい目をしていなかった。
生物としての本能で強者に対する弱者の対応を理解させられた。
アイツは飛びっきりのヤバい奴だ。
俺にはわかる。
アイツの容姿も魅力的だし、大金と言うのも烏滸がましい資産のおこぼれを分けて欲しいが、
アイツがいくら妹の娘と知り合いで繋がりがあっても、
アイツにだけは手は出せない。
アイツだけはヤバい…。
『私には×××しかいない。』
あれだけの存在になら、一見明るくて社交的な姪も盲目的に信仰を掲げるわけだ。
例え相手の興味にすら入らないと分かっていたとしても、だ。
もはや、アレを同じ人間のカテゴリにすら入れられない。
だからこそ俺は、時折アイツならどうするか? と考えることにしている。
人の倫理や禁忌を越えた悪意を想像するだけで、小賢しく他人を足蹴にする悪意程度なら創造できる。
俺は、不道徳に生きているが、
その手助けをアイツを想像するだけでしてくれるなんて、確かに信仰されるべき神と呼んでも差し支えない。
話は少し変わるが、寄生虫の無い人間、俺が『中の寄生虫など無い人』と呼んでいる奴等をより効率よく操るために、中毒性のあるクスリを使おうかどうか悩んでいる。
メリットは、それを手に入れるために知性を持ったまま積極的に従ってくれること。
昔、清楚で通っていた女に無理矢理クスリ射ったら、クスリ欲しさに何処ででも誰とでもヤるオンナになったあげくに、
クスリが無くても周りに出来上がってしまった人間関係と、もしかしたらカラダがそういう風に順応しちまったのか肉便器になっちまった奴もいたな。
確か知る限りでは三回はガキを堕ろしてるはずだ。
あの女みたいに動いてくれると思うとそれもいいと思う。
欠点は、王サマとかにバレたときに、かなり強力なカードにされて、死刑にされる言い分を作られてしまう。
無実の男を処罰すれば、次は自分だと怯える諸侯の反発を受けて治世に禍根を残すことになるが、
町民をクスリ漬けにする町長なら、消されて当然だと思われるしな。
だが、前にもいったが、罪なんて捏造できる。
やってもやらなくても、だ。
ジルドレだってホントにあんなことしたのか怪しいものだ。
ナ○スや日本の所業だって割り増しと呼べるレベルを越えてファンタジーになってる。
被害者の残存人員はその後、どれだけのペースで繁殖したんだ?
俺の町でだってそのペースは難しい。
そんな事が誰も分かっていながらもそれを口に出して非難することは圧力をかけられる。
力が弱まったり、負けた側の言い分なんて聞いてもらえないからだ。
歴史は勝者が創るからな。
もしクスリに手を出したとして、
バレる原因は、本人達の告発ぐらいだろうか?
だってそれ以外の|
寄生虫入りの人間は裏切るわけ無いからな。
だから問題ない。
無理矢理クスリ漬けにしても、
相手に「クスリやったことバレたらお前もヤバい。」と言ってやればそれだけで俺が怯える必要なんて消し飛ぶ。
以前何度もやってきた手法だ。
第一、仮にその上でも勇気ある正義が行われようとしたとしても、
証人だって、代わりの犯人だって用意できる。
ついでに言えば、告発者が普段から虚言癖があると皆が口を揃えて言うことも出来るし、
告発者自体に取り憑き、全て自分だけの責任だと自白してもらうことも出来る。
如何なる犯罪が行われようとも完全なアリバイが用意できる。
それも、この町だけでなく周辺の地域でもだ。
勇気と正義があっても力と手段が無いんじゃ意味無いんだよね(笑)
材料はある。
森に棲息する蒼薬兎の血液と、子蜘蛛曼珠沙華の絞り液。
後はそれを行うかどうかだけだ。
さて、クスリは導入する?
どうする?
アイツならーーーーーーーー
現状の時点で、
あの少女なら何を考えただろう。
操り人形の町に住まう、虫に憑かれることなく、意志ある自由を持つ者達の抗い成長する姿を楽しみながらも、それすらも操ってしまうのか、
それとも、町に住む人間を眷属以下の贄と見なして自身の眷属の糧とするのか…。
どちらにしろ、目的の為に他人を犠牲にする俺と違って、
犠牲にすること自体を微笑んで眺めていそうだ。
それとも逆に目的の為なら過程などどうでもいいのか?
どちらにしろ、
そんなやつが、現状から更にクスリに手を出すか?
今だって、思考能力が虫並みになることを除けば、
絶対の従順を与えられる。
だから、ナナシ共を従わせるためにクスリを使う位なら、従わない奴には、
Jr.達を入れればいいだけじゃないか?
よし、そうしよう。
数少ない、ナナシ達は、
他の町民からの圧力、義理、厚意、恐怖、恫喝によって操り人形と一緒に動いてもらおう。
なあに、有線操作が無線操作に変わったりしたようなものだ。
直接ギアが噛むマニュアル車から、
反対側に影響を与えて動かすオートマチック車に変わったという方が適切かもしれない。
あっ、ロックアップ機構は含めない考えで(笑)
結局のところ、あの少女なら何を考えたかなんて分からない。
理解の外にある。
だが、だからこそ、
理解の外を想像して、そういう存在ならどう行動するかという発想は悪くないものだと思っている。