第12www俺は死にたくないんだ
魔法使いちゃんの炎で、残りの発酵菜蜱達は逃げていきましたとさ。
やっぱ、俺ってば最高にラッキーなんだってばー。
さーて、4匹…いや、3匹と1人食うかな~。
バクバク、モグモグ、グチュルグチュル。
ううーん、ウェルダン~(歓喜)
あっ、魔法使いちゃんに、モンスター食うとこ見られた(笑)
まっ、いいけどさ。
あー、お腹いっぱいじゃないけど、腹八分目って言うしさ~?
そろそろ帰ろうかな~。
あんまり、深入りしても危ないしな~。
浅ーく、浅く少しずつ森を削って町を拡げて行けばいいんだし。
って、帰ろうとしてたら、
ピトッ、ピトッ
「何か、変な音がしない? 魔法使いちゃん。」
「えっ? そうですか…?」
で、振り向くと其処には……、
なにも、いない。あるのは青々とした葉を付けた木と枯れ木だけ。
で、そこで、俺は、気が付いちゃうんだよ。
この時期に、こんな枯れ枝あんまり無いってさ。
親指位細くて、それでいて凄く高くて、葉も無い枯れ木が何か気になっちゃったんだよね~。
で、案の定動くわけ、そのほっそ~い枯れ木。
俺の視線の先にある動く枯れ木に魔法使いちゃんも気が付いたみたい。
「ひっ…。」
地面から浮かび上がる根っこに驚く魔法使いちゃん。
そして、いつの間にか上を見ていた俺に合わせて、魔法使いちゃんも上を見上げた。
木々の隙間から射し込む光を遮る球体ーーーーーの真下についた口。
「あっ、あぁぁぁぁ…。」
咄嗟に俺は、それを『図鑑検索』する。
「ひぃぃぃぃぃぃっっ………。」
「動くなッ‼」
目の前の『ソレ』は過敏なほど敏感な触覚で獲物を感知する。
歩く振動すら、怪しい。
「余り、振動を発生させるな。
ましてやその『脚』に触るな。
俺は死にたくないんだ。」
「はっ…はいぃぃぃ…。」
『ソレ』は、最初の蜘蛛みたいな奴だ。
脚が異常に細長くて体が小さい蜘蛛の様なザトウムシのモンスターで、名前を『盲目吊獲虫』という。
視力が無い代わりに、非常に敏感な脚でメクラ…盲目の奴が杖で足場を探すように、歩きながら獲物を探す。
そして、獲物の真上に来たら…
U.F.Oキャッチャーのように、バックリと。
そして、それだけじゃない。
それぞれの脚の下にも口があって、毛や汗などの食べられるものの味を感知すると、獲物が近くにいることを理解する。
さーて、どう逃げようかな。
まあ、考えるまでもない。
「じゃ、君は此処で足止めして。」
「へっ?」
魔法使いちゃ~ん、まだ俺っていう寄生虫のこと分かってないみたいだね~。
「ーーーーーーーーーエルボースマッシュッ‼」
「かっ…はぁっ……。」
腹パン入った~‼
胸な上に肘なんだけどな(笑)
肺に思い切り打ち込んで圧迫したから、今体の中の空気全部吐き出して吸えてなくて苦しいでしょ? 動けないでしょ?
ってゆーかさぁ、
ーーーー色々と知られちゃマズいとこ見せといて、
生かしとくわけねーでしょ?(笑)
魔法使いちゃんの最期に…いや最後にアドバイス。
「真下は安全地帯だから♪」
大嘘だけど。
俺は振り向くことなく逃げる事にした。