森の中へ
すみません話が長くなるので分割します。
秀雄はテヘラー遺跡で壁をひたすら張り手で殴っていた。技能の一つ、壁ドンの訓練である。
ザルーン(秀雄の本拠地)の街では壁ドン、床ドン、壁破壊の技能が訓練できないのでこうして練習しているのである。
「95、96、97、98、99、100!」
だらだらと汗が肌を滑り落ちる。壁に張り手を繰り返す様子は相撲の力士さながらだ。壁ドンの練習のお陰でレベルが13に、床ドンはレベル8に、壁破壊はレベル3にまで成長していた。
「SPは残り少ないし、回復したMPを使用しながら帰るか」
ドラゴンオーブを手に入れた地点でポイントの魔法を使用してある。
ポイントの魔法は使い方が二つあって、魔法の指向性、ワープの場所指定の二つだ。
ワープとポイントの魔法を組み合わせることでゆくゆくは好きな所に自由に移動できるようになるはずだ。
ポイントの魔法を練習したところ現在はレベル2に成長している。1レベル上がるのに30回程の試行錯誤を必要としたが、レベルの数だけ位置情報を記憶出来るようだということもわかった。
ワープの魔法も少し使ってみたが、秀雄を中心に光のサークルが現れてそれが円を描き切った時にワープが発動する。時間にして2秒。光の輪は目立つし、いきなり敵の後ろに現れて「残像だ」は出来ないようである。
そしてドローの魔法。どうやら魔法を持っている相手にしか使えないようである。先程巨大蜘蛛を相手にドローをしてみたところ、ステータス画面に『失敗。魔法を所持していません』との表示が出てきた。それからステータス画面に時間のカウントが表示される。この辺は『明日の本気』の魔法も同様である。
ドローの魔法を風狼に使ってみたところ、特殊なエフェクト(魔法の使用に伴う光等の発生)が全くない代わりに秀雄の手にはトランプのカードサイズの材質不明の黒いカードが現れていた。
紙のようでもあり、プラスチックのようでもある。不思議物質ということで納得しておくことにした。
ドローした魔法は『加速L1』と書かれていた。ドローした魔法だからレベル1なのか。それともドロー自体のレベルが1だから加速もレベル1なのか。不明な点もあるが、その辺は要調査。
ドローにエフェクト(光や効果音等)がないのは秀雄にとって好感触だ。街中で使ってもばれないからだ。
遺跡から帰る途中の魔物は新装備トルネードスピアの錆にしておいた。
宝箱から得たトルネードスピアの切れ味はスピアより鋭い上に、魔法が付加されている武具のようで《唸れ》の命令で鎌鼬が発生して真空の刃が周囲をランダムに切り裂くようだ。
実験台となった蛇の他、壁や床にも鋭い爪痕が残っていた。勿論蛇も仕留めていたので目的は達成しているのだが、周囲に味方が居たら危なくて使えない。そもそも味方が出来るの? と言われたら秀雄は首を傾げざるを得ないのだが。範囲攻撃は有難いとポジティブに捉えておくことにした。
帰還途中でもドローの魔法を試してみたが、失敗ばかりだ。というより、滅多に魔物が魔法を持っていない。魔法を持っていないならドローが出来るはずがない。
魔物よりも魔法使いを中心にドローを試してみた方が良さそうだ。秀雄は門番に挨拶してザルーンの街の門を潜った。
冒険者ギルド。テヘラー遺跡の魔物はギルドマスターであるザードが食べてくれるそうなので蜘蛛、風狼の肉は全てギルドマスターに買い取ってもらった。
今まではリュックに詰めてギルドに持ち込んでいたが、そろそろリュックは止めて無限の袋から獲物を出すことにした。袋はギルドでも見せておいてもいいだろう。ルファでもある程度詰め込める魔法の鞄を持っていたし、ちょっと変わった収納袋だと勝手に誤解してくれるだろう。
「何で皆食べないんだろうね? 蜘蛛は身が甘いし、狼は意外と身が引き締まっていて美味しいよ? 獣くさいけど」
不思議そうな顔をして狼を丸ごとゴリゴリと噛み砕いているギルドマスターがドラゴンの姿のまま言うのだが、秀雄はいやいいですと首を振るしかなかった。
ちなみに蛇は共食いみたいで嫌なんだそうで、要らないらしい。
同時に蛇は潜影のオーブというのをごく稀に入手出来るという情報を新たに貰ったので、もう少し蛇狩りをしてみようと思い立った秀雄だった。
ルファが蛇の解体なら任せるニャ! と言っていたのを思い出した秀雄はもしかしたら蛇を持っていってたら食うのかな? なんて考えていた。
と、ザードが不自然そうな顔をして口をもごもごと動かした。
「ん? 『兎狩り』。この狼もオーブを持っているねぇ。ちゃんと回収しておかないと駄目だよ。オーブは心臓や脳内に生成されるけど、稀に他の部位に生成されることもあるからね。僕じゃなかったらオーブをパクッていたところさ」
どうやってそれを判断しろというのかという表情をした秀雄に向かって、ぺっとドラゴンの涎塗れの珠を吐き出す。
オーブだ。血と涎で酷い有り様だが、使うと有難いオーブに間違いはない。
「まあ僕も肉をせっせと格安で貢いで貰っているわけだし、こういうのはちゃんとしておかないとね。ギルドマスターとして。それは『風刃』のオーブだね。僕は風刃も持っているから使うといいよ」
ざわざわと周りが騒がしくなる。前回の兎から取り出した『察知』のオーブよりもどよめきが大きかった。
「風刃の魔法は割と便利だよ。使いこむと何重にも重ね切り出来るようになるし。……そうだなぁ。30万ゴールドくらいの価値はあるんじゃない? 中級の冒険者でもなかなか持っていないはずだよ」
「それ本当ですか?」
オーブを握った秀雄が聞き返す。30万は大金だ。元の世界でも30万円という大金を握った事のない秀雄はまじまじと掌中のオーブを見つめた。
「さっさと使ったら? 割と入手が難しい部類の魔法だから、ギルドの外に持ち出したら安全は正直ないよ。まだまだ秀雄は弱いしねぇ、闇討ちされるのも嫌でしょ」
秀雄は頷き、さっさとオーブを消費することにした。はぁ、という溜息が秀雄の耳に入った。どうやらザードの助言に従って正解のようだ。
風刃のオーブを使った。
風魔法『風刃』を覚えた! 最大MPが1上がった!
「うん。しかし風狼のレアドロップのうち、2番目に貴重な物を良くゲット出来たね。風刃があるから風狼は初心者に嫌われるんだよ。皮の鎧ぐらいなら鎧ごと真っ二つにしちゃうし。ちなみに一番貴重なのは加速だよ。僕もまだ持っていない」
すみません。一発でゲットした上にもう使いました。とは言えない秀雄は無言で頷いた。額にタラリと汗が流れる。
風刃 消費MP3
風の刃を放ちます。
どういう効果なのか使ってみないと分からないと秀雄は思った。何度か風狼にドローの魔法を使えば風刃も引っこ抜けたのかもしれない。
ドローの魔法は秀雄はギルド内で試さないことにした。人間に使った時の反応を調べて安全を確かめてからギルドで使う事にしよう。
魔法検知の導具や技能があったりしたら、秀雄は摘まみ出される可能性もある。
そもそも秀雄はギルド内では下っ端中の下っ端だ。張り出される依頼すらまともにこなしておらず、ひたすら自己鍛錬しかしていない。
そのせいでランクはいまだ最下層民だ。それに加えて誰がどんな魔法を使ってどれだけ強くて、という情報は殆ど手に入れていなかった。
本来なら秀雄はそういう情報を片っ端から調査する主義なのだが、この世界に来てからはレベルアップの事で頭がいっぱいでそこに考えが回らなかったのである。
ちなみにドローはギルドを出て酔っ払いの魔法使い(RPGに出てきそうな杖とマントと三角帽子をかぶった男性だからそう判断した)を尾行し、跳躍の技能で近くの民家の屋根に上り、魔法使い相手に試し打ちした。どうやら魔法使いには秀雄がドローの魔法を使った事はばれていないようだった。
掌には黒いカードが一枚出現している。
射程は少なくとも30メートル程はあり、魔法使いに気付かれた様子もないことを確認して秀雄はほくそ笑んだ。
ドローした魔法は『土壁レベル1』。
土で壁を作り防御する魔法で物理攻撃に強いらしい。
周囲に誰もいないことを察知の技能で確認して土壁のカードを使ってみると、確かに土の壁が現れて土壁のカードが消滅した。
「なるほど。カードは使うと消えるのか。ドローには1時間待たないと使えない事を考えると、沢山集めた方がいいようだな」
秀雄は腕を組んで土壁を眺めていた。
こんこん、と土壁をノックした後、おもむろに手を突き出して壁破壊の技能を使うと土壁は一撃でガラガラと壊れた。
「うお、脆い! 大丈夫なのかこの壁……」
壁破壊の技能が強かったのか、それとも壁自体が元々弱かったのか。弱いならレベルが低いからか、魔法自体が弱いからか。
いろいろ考えていたら眠くなったので秀雄は宿に戻る事にした。
お陰で壁破壊の技能のレベルが上がったのでよしとしておこう。
早朝。秀雄は早起きしてトレーニングをしているはずの猫耳娘たちを探した。
筋力トレーニングをしているのか戦闘訓練をしているのかは知らないが、とにかく何かをしているのは確からしい。
六日前焼き肉を食べていたときにルファがぽろ、っと言っていたのを思い出したのである。
「察知でも引っかからない……か」
獣人の居住区に踏み入った。ぐーぐーといびきをかいて机に突っ伏して寝ている獣耳オヤジどもを尻目に、トレーニング用の林へと向かった。
寝ているオヤジどもは獣人の成人が多く持っている『完全察知』の技能で目覚めるらしいから、怪我をしたくないなら近寄ってはいけないとフェイに教わっている。
壮年オヤジの耳を触ってもにゅもにゅしたい等と考えてはいけないということだ。したいとも思わなかったが。
林。
トレーニングに何故林か。
それは猫族の特性を鍛える為だ。無論猫族オンリーと言うわけでない。
ルファ、アニー、フェイだけでなく沢山の獣人が木を使って訓練している。
フェイに教えてもらったのだが、猫族には種族特有の技能がある。その一つが『木走り』である。ちなみに『壁蹴り』の技能も標準装備らしい。
どんな技能かは説明を受けていないが、大体の効果については秀雄は見当がついている。
ちなみに犬族にはないらしい。まあ高い所に跳び上がる犬なんてちょっと想像が出来ないが。
猫族の連中はなんと靴を履いたまま木を駆け上がっている。地面に垂直な木の幹の上を走っているのだ。
例の『木走り』だろう。ちょっと物理法則を無視し過ぎではないだろうかとか重力仕事しろとか秀雄は思ったが、ファンタジーだし、猫だしいいかと気にしない事に決定した。
豹種のアニーは特に得意な様で、ぴょんぴょんと枝から枝へと跳躍して木の幹を使って急降下、急上昇と縦横無尽に走り回っている。
残念ながら今日はいつものローブ姿ではない。つまりはそういうことだ。
獅子種のフェイは逆に苦手なようだ。
出来ない事はないが、という風情だ。まあライオンだし。胸の自重が重いせいだとか言ったら引っ掻かれそうなので秀雄は胸に仕舞っておくことにした。
ルファも上手い事は上手いが、やはりアニーには及ばないようだ。
アニーは魔法職なのに何故だとは気にしてはいけない。
他にも猿族の男が器用に太い枝でくるくると大車輪をしているし、鼠族の少女が木に登り……あ、滑り落ちた。
と言った感じに、森林での戦闘を念頭に、種族固有の技能を上手く活用した立ち回りの訓練をする為に林で練習しているのだ。
あ、鼠族の少女が泣き出した。
それを見た熊族の少女が駆け寄って頭を撫でている。秀雄は和んだ。
訓練が終わったアニー、フェイ、ルファに秀雄は近寄った。
「おはよう。随分激しい訓練なんだね」
「おはようニャ! アニーが上手過ぎてなかなか追いつけないにゃー……」
アニーは照れたように頬を掻いた。
「アニーは確かにすごかった。盗賊顔負けの動きだった」
「盗賊は失礼。でも森の中のスピードなら負けない」
上気したアニーは胸を張った。
「どうせ獅子種は森が苦手です……」
フェイはいじけてしまったようだ。三人の中で一番木を駆使した立体行動が苦手だったし、仕方ない。
「まあ誰にでも得意不得意はあるわけだし」
フォローを忘れてはいけない。
ただし額面通りに受け取ってもらえるのはただしイケ以下略なわけだが。
「そうです! ヒデオさんの言う通りです! 私には料理がありますし! 朝ご飯の支度をするので失礼しますね!」
フェイは元気を取り戻して帰ろうとするので、昨日得たピラニアを10匹ほど手持ちの魔法の鞄に入れておすそ分けしておいた。まだ100匹以上袋の中に入っているので、明日の分も勿論オッケーだ。
「ヒデオも朝ご飯一緒に食べるニャ? フェイもアニーも喜ぶニャ!」
アニーはそっぽを向いてしまったが、どうなのだろう。秀雄はアニーにいい? と聞いてみると、食べていけば? と返ってきたので御言葉に甘えさせて事にした。
「なななんでヒデオさんが!」
「ルファが招待したからに決まってるニャ!」
三人娘が借りている一軒家。獣人が住む区画の更に端っこだった。家賃も月800Gと手頃らしい。宿屋16日分だ。秀雄には家賃の相場は分からなかったが。
「しょうがないですね、ヒデオさんの分も今から調理しますので少々お待ち下さいね。事前に言ってくれれば準備できたのに」
「ごめん急に」
「いやいやいや! いいんです! ヒデオさんは全く悪くありませんから! ルファ、後でちょっと話があります」
はぁ、と溜息を吐いたフェイは肩を落としたが、よし、と気合を入れ直して厨房に向かった。
名指しされたルファは器用に口笛を吹いてとぼけているようだ。
「食べる?」
アニーはテーブルの上に置かれていた、棒状のお菓子が載った皿をすすめてきた。
「いや、ご飯前だし遠慮しておくよ」
「そう……」
表情に変化はないが、猫耳がペタンと倒れて見るからに元気を失くしている。
「やっぱり食べようかな」
「!」
アニーの耳がピンと立った。やはり表情に変化はないのだが。
「ヒデオー。食べさせて欲しいニャー」
テーブルにコテンと頭を置いたルファがあーんと口を開けて待ちかまえていた。
なんか今日はいつになく気安いなと思いながら秀雄は棒状のお菓子をルファの口に突っ込んだ。
ルファがぼりぼりとテーブルに頭を載せたまま咀嚼していく。
「ルファ。行儀悪い」
アニーの言葉に頭をもたげて、ごくんと嚥下した。
「美味しいニャー」
そしてまたコテンとテーブルの上に頭を落とした。
「ヒデオもルファに餌を与えちゃダメ」
「悪かった悪かった」
むーっと唸るアニー。秀雄はお菓子を摘まんで口へ運んだ。なんというか煎餅に食感が似ているが甘い。
秀雄もボリボリと噛み砕いた。アニーはそれを見てじゃあ私も、と小さな口を開けて少しずつ食べ始めた。
食事には秀雄が仕留めたピラニアも振る舞われた。どうやって料理するのかと思ったが、フライにされて出てきた。
揚げたポテトが露店で売られていたことを思い出す。そういう調理法も確立しているのだろう。
醤油がないのが辛いが、ソースの文化はあるので救いだった。
食事を終えると、三人娘に狩りを一緒にしないかと言われたので秀雄は頷いた。
ドローの魔法はアニーに使っておく。特に何も反応がないので、やはりバレる危険性ゼロな魔法なようだ。
少し後ろめたかったが、誰にも能力を開示したくない秀雄は黙っておく事にした。少なくともドローの魔法については秘匿することにした。
ドローした魔法は『火矢レベル1』だった。
アニーの魔法を確認させて貰うことにして、掌に隠した黒いカードを無限の袋に仕舞っておいた。
「ニャ!」
ルファが腰の曲刀を抜き放って逆手に構えると腰を落として駆け出し、擦れ違いざまに猪を切り裂いた。
ルファの戦っている所を見るのは遺跡で初めて会ったときから何回かあるが、ルファは曲刀の二刀流だ。
切り裂いた傷は浅いようだ。
「『風壁』」
アニーが見えない壁を構築する。目に見えない壁にぶつかって仰け反る猪。同時に風壁が砕ける音が聞こえる。脆いのが難点らしい。
フェイはそのタイミングを外さず仰け反った猪の頭を矢で貫く。猪は力尽きてダウンした。
三人は周囲を警戒して敵の気配がないことを確認してルファの持つ魔法の鞄に猪の死体を放り込んだ。
秀雄は空を仰いだ。
「俺、正直出番ないよね?」
貧乏ゆすりをしようにも味方を巻き込むし。出来ることと言ったら加速をかけてパーティーを強化するくらいだ。
「元気出すニャ。秀雄が居てくれるだけで十分ニャ。それに本番はゴブリンが出没する森の中ニャ。ちなみにルファ達は木走りがあるから木の上を行くから頑張ってついて来るニャ!」
「なにそれ聞いてない」
「今教えたニャー。ニャハハ、まあ頑張って着いてきて欲しいニャ」
猫娘達が木に足を着けると勢い良く駆け上がった。
ルファとフェイは林で見た通り、木走りの技能のお陰で森の繁茂する蔦や茂みをものともせずどんどん森の奥へと枝を伝って進んでいった。
「頑張る」
アニーは振り返って両手でグッとガッツポーズを作ってこちらを見た。それからアニーも森の奥へとかなりのスピードで突っ切っていった。
「しょうがない。跳躍の技能でなんとかなる、か?」
物は試しだ。跳躍の技能を使って木の枝に掴まる。その途端、ボキッと切ない音を立てて枝は折れた。
「うわああああっ!」
3メートル下の地面に落下。一瞬焦ったが、跳躍の技能のお陰で落下時の衝撃が緩和されたのか単に尻餅をつくだけで済んだ。
「くっそー。無理ゲーだろ。やっぱ地道に進むしかないか?」
秀雄は誰もいなくなった森林をみつけてぼやいた。
気を取り直した秀雄はトルネードスピアの能力を使ってみることにした。ヒュンヒュンと草木がトルネードスピアが起こす風の刃に切り刻まれる。
しかしあたりを滅多切りにするせいで、進みたい方向の草木を薙ぎ払ってはくれないようだ。
次に秀雄は風刃の魔法を試した。
「風刃!」
面倒な詠唱もなく、単に魔法名を宣言するのは加速の魔法と同じである。しかし、ヒュッという音とともに5メートル程の射程がある風の刃が発生した。
「これは魔法を使った実感があるな」
秀雄は初めての攻撃魔法に胸に込み上げる物を感じていた。
風の刃自体は見えないが、某有名RPGの漫画のイメージそのままに真一文字に横に手を振りながら魔法を唱えると分厚い幹の木すら断ち切る。
「これが風刃……! これで勝てる!」
何に勝つかはわからないが、とにかく秀雄はガッツポーズをとった。
風刃が通過した後は草と木が綺麗に倒れている。倒した木を足場にしながら跳躍し、風刃を連続して唱える。
「風刃! 風刃! 風刃! うほおおおお! 風刃!」
ときおり奇声を発する姿は見たら変な薬でも使っているんじゃないかと思われるのは間違いないだろう。
しかし誰もいないので全く問題はない。
風刃の魔法と跳躍の技能を使いながら秀雄も猫耳を追って森の奥へと踏み入っていった。
犬耳ちゃんは次回になりそうです。期待していた方すみません。なるべく早く書きます!
ザード(ギルドマスター) 陽気なウインドドラゴンさん。余裕で風刃使えます。でも風魔法の加速が使えない謎。
木走り 木に接触しているときに常時効果有り。重力が仕事しなくなる不思議仕様
壁蹴り 壁を蹴ってジャンプ! 出番はあるのか不明
犬族
咆哮 敵全体を威圧・萎縮させ行動不能に陥らせる。+α
追跡 追跡行動中全能力値に上昇補正 +α