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自己投資

優は既に東大受験に向けて動き出していた。




大げさかも知れないが…これが自分の運命を分ける、




人生最大の賭けになる。




そこまで思い詰めていた。




文型の教科は美香が残したノートをくまなく読み漁り頭に入れてゆく。




百合子と会う時間もぐっと減り、テスト期間中は集中力が落ちるので一切連絡を取らなかった。




テストが終わった週末、美香が東京に向かうと




百合子はデパートの食材を持って優を訪ねる。




優に美味しいものを食べて欲しいのと自らを捧げる為に…。




自分の家よりもずっと小さい不便なキッチンで料理をする新鮮さ。好きな人の為に食事を作るという少女のママゴト…。




優に必要とされている瞬間はたまらなく幸せだった。この人の寝顔も身体も知ってるのは私だけ。




私は佐藤優の彼女なんだ…。その現状が百合子の一番の優越感だった。





正直なところ、来るもの拒まずで優は百合子の気持ちを利用している部分があり




自分でも少なからずそのことに気が付いていた。




でも今はそれを断ち切る時間もエネルギーも持ち合わせていない。




東京に行けば自然に終わりが来るだろう。そんな風に思っていた。




毎朝5時半に起き、朝ごはんが出てくる30分の間ですら英単語や日本史の暗記に費やすほど勉強に打ち込む。




美香は知っていた。男子の方が女子よりも後半から成績を追い上げてくるのだ。




それは体力の差とでも言うのか…部活を引退した男子が持て余す体力と精神力が全て受験勉強に注がれた時、ぐっと成績が伸び最初から勤勉な女子を追い抜いてゆく。




だから優の本当の頑張り時は部活を引退した夏以降であろう。





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