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音にのせて  作者: 枝豆
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勉強会

今日は、土曜日。

現在朝の6時。眠い。思っていた通りに徹夜をすることになった。


「やっぱり、みんな来るのかな。。。」

いつの間にか唇から漏れた独り言。


私の部屋は、とても女の子といえないほど散らかっている。

だから、滅多に人を中に入れない。

那智も鋼も私の部屋に入れたことは無い。


こんな部屋に那智や鋼でも抵抗があるのに、何で男子たちも入れなきゃいけないんだろう。


「鋼のせいだ、鋼のせいだ、鋼のせいだ。。」


私は鋼を恨みながら、部屋の掃除を着々と進めていった。


数時間後。

「こんにちは。失礼します。上がるねさち。」

今日は、家族は誰もいない。お父さんは仕事に出かけ、お母さんと妹たちはおばあちゃんの家に、農作業を手伝いに行ったらしい。何も言わず、置手紙だけ置いてあった。悲しいよ、お母さん。

「本当にきたよ。あの人たち。。。。」

私は、寝不足のせいで変なテンションのまま、鋼達を迎え入れた。


「・・・・。何だ全然きれいじゃん、さちの部屋。」

鋼の声。いつもより遠くで聞こえる。

「頑張ったんだよ。徹夜で。」

自分の声じゃないみたい。

「さち、大丈夫?目の下に濃いクマができてるけど。。。」

これは誰??

・・・・・・・!那智の声だ。初めてだよ、那智のあの独特な声がわからないなんて。。


「よし。んじゃ、みんな揃ったことだし、勉強会を始めますか!!」

みんな来たんだ。女子も、男子も。



みんなが鞄から勉強道具を取り出している。ワークを広げ、筆箱から鉛筆を取り出し、問題を解いている。全てが、私と関係の無い世界の音のようだ。


「ちょっ、さち!!どうしたの??!!」「ちょっ、さち!!どうしたの??!!」

鋼と那智の、見事なハモリがどんどん遠のいていく。。。


それから誰かに持ち上げられたような感覚を感じ、

「じゃあ、後よろしくね・・・。」「眠らせてあげてね」

鋼と那智の声を聞きながら、いろんな足音を聞きながら、私は深い眠りへと入っていった。



空が、夕焼けに染まるころ。私は、目を覚ました。まだ頭ははっきりせず隣にいる相手が誰かを判断するのに、少し時間がかかった。


慎だ。私の顔のすぐそばに、慎の顔がある。私は、その整ったとはいえないが、私が思わず緊張してしまう横顔を、じっと見つめていた。


不意に、慎が目を開けた。まっすぐな目。いつものふざけた目じゃない。真剣な目。


口が動く。唇の動きをよく見る。

「す・・・き・・・だ???」

そういったの??

今度は、声にのって、音にのって、慎の気持ちが伝わってくる。

「お前のことが好きだ」



今まで、言われたことのない言葉。

「すき」

初めての言葉。生まれた初めての。



私と慎は目をそらさないまま、妙な雰囲気が二人の間に、漂っていた。


いかがでしょうか??

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