友だち・・・?
私の楽器は、アルトサックスに決まった。
アルトサックスとは、よくアメリカのジャズで使う楽器だ。だが、オーケストラには出てこない。教科書にすらでてこない。クラリネットも、フルートも、チューバも、ホルンも出てきているというのに。。。。
・・・・・。
私は、それからいろんなサックス奏者の、CDを買い集めていた。管楽器は、作音楽器といって、またと、同じ音を出すことはできない。作り出すことはできない。だから、あんな音になるんだろう。あんな気持ちののった音に。
私は、がんばった。一生懸命練習をした。誰よりもうまくなりたい。そう思っていた。同級生よりも、先輩よりも。
1年生で吹奏楽部に入ったのは、男子3名 女子5名 計8人だった。田舎にあるこの中学校は、全校児童が200人もいない。クラスも2クラスずつだ。先輩は、「8人も入ってくれて嬉しい」といっていた。
私はクラスで、部活でどんどん友達を作っていった。
特に仲良くなったのが、ユーフォニウム担当 實咲鋼。名前だけ聞くと男の子だが正真正銘の女の子だ。性格や、筋肉のつき方は男の子以上かもしれない。
フルート担当 阪井那智。か細くて、思わず守ってあげたくなる。そんな感じの女の子だ。フルートを持つと様になる。男子からの人気も上々らしい。
ちなみに、私は幸村さち。鋼に言わせれば、私も十分男の子以上だという。
「さちは、力は私より無いかもしれないけど、痛いところついてくるからねぇ。さちと、本気で喧嘩したくない。」
私は、本気で喧嘩したことはない。だって、本気で喧嘩したら普通の女の子、いや男の子でも怪我させてしまう。鋼ぐらいしか、本気で喧嘩なんかできない。
そしてもう一人。
垣 慎。同じクラス。同じ部活。トロンボーン担当。
男子の中で、唯一緊張せずに話せる相手。まだ好きかどうかは、わからない。
でも、未だ男の子を好きになったことが無い私が、気になっている相手。
垣慎。私は、この名前を一生忘れないだろう。
音が、私の気持ちまで表現してくれたらいいのに。。。。