出会い
私は、吹奏楽部に入部した。
私は、あの音に惹かれて入部したのだが、楽器一つ一つに特徴があることが分かった。
一番最初に目がいったのは、太鼓やシンバル、ドラムが並ぶ打楽器軍団。
(正式にはパーカッションというらしい。)
一番場所をとっていて、一番音が大きかった。パーカッションとひとくくりにできないほど、いろんな楽器があり、いろんな音が響いていた。
でも、私が感じたあの音の響きは、ここにはなかった。
トランペット、クラリネット、フルート、チューバ、ユーフォ、ホルン、いろんな楽器を触らせてくれた。音も聴かせてくれた。しかし、私が感じたあの音はなかった。
私は、まだ吹いていない楽器を見渡した。トロンボーン、ピッコロ、サックス。私はなんとなく、サックスを手に取った。
吹いてもらったその音といったら、なんて艶やかで、妖しい雰囲気を、音から感じる。でも、それだけじゃなく木管楽器独特の、温かくも感じる。私は思った。
「この楽器だ。あの音は。」と。
でも、いくら私がこの楽器をしたいからといって、自分で決めることはできない。
先輩たちの意見を聞き、先生が決める。私たちの意見も聞いてもらえるが、優先されるのは、
先輩たちの意見。先生の意見。
私は、願う。あの楽器が吹きたい。絶対に。
そして、自分の楽器が発表される時がきた。
「幸村さち、アルトサックス。」
思わず叫んでしまった。
思わず泣いてしまった。
思わず涙した。「たった、こんだけのことなのに」と、人はいうかもしれない。
私には、「それだけ」ではなかった。
これが、私とサックスの出会い。
私の、一生の友だちとの出会い。。。。