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音にのせて  作者: 枝豆
14/15

大好きな人

「那智ゴメン。本当にゴメン。なかなか言い出せなくて。。。」



昨日、何回も練習したこの言葉を繰り返し、私は学校へと向かっていた。

私にも、生まれて初めて彼氏ができた。 ただ、問題が一つ。その人は、私の友達の想い人だった。



「えっ、今なんて。」

「だから、慎と付き合うことになったって、言ったんだけど」

最後のほうは、ほとんど聞こえない。那智の反応を待った。



「・・・・。本当!!?おめでとう、良かったね。さちちゃん!!」


予想していた反応と、全然違うんですけど。

「実はね、私にもようやく好きな人ができたんだ。ようやく、慎の事忘れられそうだよ。」



やっぱり、少し意味が分からない。

「那智、今も慎の事が好きなんじゃ?」

「うん、好きだったよ。さちが慎のこと好きだって知るまでは。」


私は、ものすごくびっくりした。

「知ってたの??」

那智は、さも当たり前のような顔をして、

「誰でもわかるよ。」

私は、顔が赤くなったのが分かった。

「つーのは、冗談。全部鋼から聞いた。最初は、さちを殺そうかとも思ったけど、そんなことできるわけも無く

 どうしようかと思ったけど、さち見てたら私があきらめたほうがいいと思っちゃたりして。。。」


那智の目に涙がうっすら溜まっていく。彼女は、きっとまだ慎のことが諦めきれていないのだろう。

でも、彼女は私のことを上辺だけでも祝ってくれている。

「ありがとう。本当にありがとう。」

彼女への精一杯のお礼だった。たった、これだけしかいえなかった。私の目には涙が溜まっていて那智の顔が見えなかった。

私の足に水滴が落ちた。私のものではない。他の誰かのもの。

その人は、私の前から走り去っていった。


私も走っていた。 


あの日の屋上に。彼がいることを願って。



屋上のドアを開けると、

「よっ、って何泣いてるんだよ!!?」

彼がいた。

私は、彼の目の前で泣いた。彼女のことを話し、今してきたことを話した。

彼は、優しい目をしていた。

「頑張ったな。」

そういってくれた。優しい目をして、優しい手で頭をなでてくれた。


那智、本当にごめん。

許してくれとは言わない。

でも、私には、彼しかいなかった。

彼だけだった。



私は、那智にも他の誰よりも彼を愛するよ。きっと。

那智に、取られないように。






慎、大好きです。

こんな貴方が私と付き合ってくれるのは嘘みたいだけど、本当にありがとう。



音にのせて。

私の思い、貴方の元に。

終わりが見えてきました。

最後まで、お付き合いください。

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