決心
私は、屋上へといった。この時間は、教室で勉強をしているはずなので、誰もいないと思ったからだ。ところが。。。
階段を懸命に駆け上り、息を上げながら屋上の扉を開けると。。。
「はけ慎!!」
「ぜってぇやだ。あっ!」
「言えよ!!・・・こんにちは、さちさん。」
「さん付けはやめて。それに明らかに怪しいよ、その格好」
男同士顔を鼻と鼻がくっつき合わせ、慎が逃げないように手をしっかり握っている。
男女なら何の違和感も無いのだろうが、男同士でやるといけないものを見たような罪悪感に襲われる。
「いや、これはだな。」
「いいよ。何も言わなくて。場所変えるから。」
「いや。もう俺ら帰るから。なぁ」「うん。俺ら勉強しなきゃ。」
「分かりやすい。」
逃げるように階段を下りていく二人の背中を見ながら思った。
思わず、顔がにやける。私はあの人に告白されたんだと思うと、顔が緩む。
さっきまで、泣きたかったのにいつの間にか笑っている。
「はぁ。」
私は思い出す。那智が、慎を好きだという事。
もし、那智に「私も慎が好き」と言ったらどうなる??
今まで、仲良くやってきたのに、それが崩れてしまう。
鋼に言ったらどうなる??鋼には、「慎は那智が好き」と言ってしまった。
「はぁ。」 2度目のため息。
・・・・・・・・・・・5分経過。
「よし。鋼には正直に言おう。」
私が、生まれて初めて授業をサボリ出した結論。
鋼には言おう。そしてどうしたらいいか、一緒に考えてもらおう。
「なら、最初っからそうしとくんだった。」
私は、教室に急いで向かった。
この時間は、英語のテストだった。
先生に怒られ、テストの結果も最悪だったが、
私は、次の休み時間の鋼の言葉を考えると少しだが、気持ちが軽くなった気がした。
10話目です。初めてです。
まだまだ続きそうです。
頑張ります。