(二百文字小説)正義の使者は愛と嘯く
彼は私に愛を説いた。
いかに素晴らしく、いかに偉大か。
愛があれば世界も救え、愛があれば瞼に彼女の姿を思い描くだけで、溢れる程の幸福も感じられる。
幼い私は彼に肩車されながら、バカみたいって思ってた。
愛なんて役に立たない。
愛なんて必要ない。
そんなものでお腹はいっぱいにならないし、母さんがいないのは寂しい事だ。
それでも正義の使者はやっぱり正しく、大人の私は愛を信じる。
ギターを鳴らして世界を救えと愛を嘯く。
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うそ‐ぶ・く【×嘯く】
1 とぼけて知らないふりをする。「そんなことがあったかね、と平気な顔で―・く」
2 偉そうに大きなことを言う。豪語する。「絶対に優勝してみせる、と―・く」
3 猛獣などがほえる。鳥などが鳴き声をあげる。「虎―・けば風騒ぐ」
4 口をすぼめて息や声を出す。口笛を吹く。うそむく。
5 詩歌を小声で吟じる。うそむく。
Yahoo辞書からの抜粋。
二番か三番くらいの意味で捉えていただければ幸い。