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幸運値MAXキャラなのにリアルラックが仕事しないので、ダンジョン探索系乙女ゲームで詰みました

作者: M
掲載日:2026/02/17

 陽子は、今日も頑張って一日何とかやっと乗り切った。


 こちらの言うことを聞いてくれない顧客。業務量に対してまったく足りていない人手。それを訴えても何の役にも立たない上司。

 それはもうブラック企業の日常だった。


(なんでこんなトコで働くことになったんだろう。ほんとツイてない……)


 丸一週間フル稼働して疲弊した陽子の髪はガサガサ、指先にはささくれ。ため息を吐くたびに口内炎がじくりと痛む。

 上司の「この記述をもう少し良い感じにして」なんていう、ふわっとした指示で五回もリテイク。もう思い出したくもない。


 家に帰ると上着をベッドの上に投げ捨てる。とりあえずシャワーを浴びて、髪を乾かしながらテレビをつける。

 興味のないニュース、行けるはずのないグルメ、面白くもないバラエティ。

 机の上に置きっぱなしになっているゲームコントローラーを手に取ると、その電源ボタンを押す。

 テレビ台の中でゲーム機本体がキュィーンと小さく唸り始める。


 陽子の心の拠り所。癒しの源泉。

 それが、乙女ゲーム「プリンセスパーティーQ」である。


 陽子は、登場キャラのビジュアルに一目惚れしてこのゲームを購入した。

 王道イケメンのレグル王子。幼馴染で執事なルクス、年齢不詳の美青年アクエル先生……

 こんなに私の琴線を鷲掴みにして掻き鳴らすキャラクターたちは初めてだ。


「さーて、今日もみんなとの探索の続きをしますかぁ」


 このゲームは、ローグライクなダンジョンの探索を通じて、キャラクターの好感度を高めていき、攻略キャラから愛の告白を受けるのが目的となる。

 イケメン三人と私のキャラクター「ソレイユ」の四人でパーティーを組み、深く暗いダンジョンへと潜る。


 今、攻略中のダンジョンは「死の谷」。ミイラやゾンビやスケルトンといったアンデッドモンスターたちが襲いかかってくる。

 レグル王子が大量のワイトに囲まれてしまった。


「レグル様、危ない!」


 陽子がコントローラーのマイクに叫ぶと、ゲームの中のソレイユが反応してくれる。

 ソレイユに花属性の範囲魔法「紅蓮華」を発動させる。敵の足元に咲いた灼熱の花びらが、相手の防御力を削っていく魔法だ。


 このゲームでは同じ敵を協力して倒すと、そのキャラクターの好感度が上がる。好感度が高まれば、告白イベントが発生する。

 この魔法「紅蓮華」でモンスターをまとめて弱体化させ、そこをレグル様が必殺技で全滅させてくれれば、好感度が爆上がり間違いなし。


『ソレイユに強力な魔力が漲っていく。「紅蓮華」の灼熱がワイトたちの身体を焦がす!』


「ふぇ?」


 ゲームのテキストを読んだ陽子から、間の抜けた声が漏れる。まるでリコーダーの音が裏返ったような声に自分で恥ずかしくなって口を抑える。

 テキストは続く。


『ワイトたちを一撃で倒した。ソレイユの経験値+54。ワイトたちは【聖なる遺灰】を落とした』


 ソレイユの幸運値は既にカンストしている。このゲームでは、幸運値が攻撃や魔法のクリティカル率、レアアイテムのドロップ率、イベントに影響する。

 レグル王子が落ち着いた良い声で褒めてくれる。


レグル「さすがはソレイユ殿」


『レグルの信頼度+2』


 信頼度は、仲間として頼られる数値。あくまでも仲間として。


「欲しいのは王子様の信頼度じゃないの、好感度! なんで幸運値MAXなのに、アンラッキーなわけ!?」


 陽子は落胆の声を上げる。

 でも、それがゲームの仕様なのだから仕方ない。



***


 それは数週間前……

 実家からの仕送りの荷物の中に「プリンセスパーティーQ」が入っていた。

 前に実家に帰った時、母にお願いしておいたのだ。


「うわぁ、やったー!」


 陽子は早速ゲームを起動する。

 オープニングムービーでは、登場キャラクターたちの歌う主題歌が流れ、ダンジョン探索、レアアイテムの発見、モンスターとの戦闘とゲーム内容を象徴する映像が流れていく。そして最後は、ハート型のペンダントと二人のシルエット……

 

「くっはぁ! これは何度でも観てられる」


 キャラの顔も良いが、歌声も素敵過ぎる。耳から幸福が入ってきて、心臓をキュンと鷲掴みにする。

 あのハート型のペンダント【(まこと)の愛の御守り】を手に入れた意中のキャラから告白され、御守りを受け取ることが、このゲームの目的だ。


 ワクワクしながら、プレイヤーのキャラクリ画面に入る。


「四人から選ぶのね」


 まずは『姫騎士』。攻撃と防御が高く、前線で戦えるアタッカー。次が『おてんば姫』。先制と回避を主体にした戦闘タイプの拳法使い。


「あー、私ってガンガン前に出て直接戦うような人間じゃないわ。後方支援してる方が良いよね」


 その結果、陽子は今のブラックな境遇にいるのだが、それを分かっていながらも自分を変えられないことを知っている。


 三人目は『聖女』。その名のとおり、回復と聖魔法が得意な後衛型。

 最後が『令嬢』。魔力と防御が高く、補助魔法によるバフ・デバフに長じるサポートタイプ。


「私はそんな清廉潔白な聖女ってガラでもないよね。そもそも、痛いの怖いし、守りが堅い方が良いから『令嬢』かな」


 王子様に守ってもらいながら、後ろから支援する。そして高まる好感度。そこから愛の告白へ。

 陽子の顔はへらへらとニヤける。


「へー、他にもこんなことも決められるんだ」


 キャラクリは身長や体形、顔のパーツや髪型から、ホクロの位置、メイクの仕方まで設定できる。ほぼ自分そっくりに作れる。

 これは没入感半端ない。ゲームが捗ること間違いない。


 さらに性格診断。誕生星座、好きな色、好きな食べ物など、細かく設定できる。

 こだわるタイプの陽子にとって、こんな要素は大好物だ。気付くとキャラクリに三時間近く掛けていた。


「さすがにゲームを始めないと」


 明日が休みだから良いものの、平日にこれをやってたら仕事に支障が出ることは自明の理。


「プレイヤー名は声で入力するのね」


 このゲームは高性能AIを実装しており、オフライン環境でも音声での自然な会話ができる点が売りの一つだ。


「ソレイユ」


 コントローラーのマイクに向かって名乗る。フランス語で「太陽」という意味。だって陽子だから。中学生の時からいつも使っているプレイヤーネームだ。


『ソレーユで、よろしいですか?』


 違う違う。


「ソ、レ、イ、ユ!」


『ソレイユで、よろしいですか?』


「はい」


 プレイヤーキャラのステータス確認画面へと移る。そこには、ふわりとした漆黒のドレスに身を包んだ、ちょっと美化された自分が立っている。

 この「ソレイユ」が、これから冒険をしながらイケメンたちと恋愛するのかと思うと、ゾクゾクする。


 ステータスは攻撃・防御・魔力・敏捷・幸運。


「ステータスは六個くらいまでよね。最近のゲームはステータス多すぎて訳が分かんないのよ」


 陽子は自分の分身となる「ソレイユ」の出来を確認する。


『幸運:999』


「は、何これ? 幸運値がカンストしてるんだけど……もしかしてバグ?」


 しかし、ゲームテキストには。


『診断の結果、あなたには幸運の女神が微笑んでいます』


 つまり、陽子がキャラクリにこだわった結果、この幸運値が生まれたらしい。

 陽子は自問自答する。

 私の人生に幸運なんてあった? 女神なんて見たことない。

 何より、こんな辺鄙な勤務地に派遣されていることが、陽子の不幸を体現している。


「まあ、ゲームくらいハッピーじゃないと釣り合いが取れないわ」


 陽子は、これから始まるドキドキの乙女ゲームに心を踊らせながら、「ゲームスタート」を押した。



***


 陽子はイントロダクションをじっくりと見るタイプだ。

 自分の分身たるソレイユに感情移入するためには、こういうのをしっかりと見ておかないと。スキップする人の気がしれない。


『剣と魔法の時代、ここゾディア王国には、迷宮の魔法によって生み出されたダンジョンが数多く……』

『ソレイユは高貴な出自だったが、両親を亡くして養父に育てられ………』


 ちょっと長過ぎる。

 設定こだわり過ぎてストーリー序盤に世界観説明を詰め込もうとすると、こんな風にダレるから良くない。


 でも、陽子はあと少しだけと、我慢する。

 実生活で、ずっと耐え忍んできた。五分程度のナレーションなんて、国語の教科書の音読を聞いているよりも簡単なことだ。


「つまり、これから執事のルクスと森のダンジョンに出かけるってことね」


 要約するとそのとおり。

 なぜ令嬢がダンジョンに行かなきゃならんかとか、細かい設定説明はもう忘れた。


 問題はここから。

 陽子が仕入れていた前情報によると、森のダンジョンへ行くまでに出会う人は完全ランダムになっている。出会った人たちと一緒にダンジョンへ挑むから、推しが出るまでリセマラをする人もいるらしい。

 ここまで掛けた時間のことを考えると、リセマラしてまで最初からキャラクリはしたくない。


「お願いします。ゲームの幸運の女神様!」


 陽子は祈る。


『そこへ、ソレイユの乗る馬車の前を通り過ぎる人影……』


アクエル「おや、ソレイユじゃないか。どこに行くんだい?」


 ソレイユの魔法の先生アクエルだ。

 これはチャンスでしょ。

 彼は宮廷魔術師でもある。彼の信頼度を上げておけば、王子様との接点になってくれるんじゃないかしら。

 ここでは攻略情報を調べられないから、イントロで示された内容を元に推測していくしかない。


 ソレイユの回答の選択肢が表示される。


『(1)先生、ご機嫌いかがですか?』

『(2)こんにちは、先生。これからダンジョンへ初めて挑戦するんです』


 このゲームでは、選択肢以外に自分の声で答える(・・・・・・・・)ことができる。選択肢と同じでも、自分の声で答えたほうが信頼度や好感度が上がりやすい。


 ちょっと緊張するが、ここはなりきった方が楽しいに決まっている。

 幸運なことに、この部屋は防音室になっている。前の住人……つまり、陽子の前任者がリフォームしてくれたのだ。

 それまでは、前の住人も生活音ダダ漏れで苦労したんだろうな、等と遠い目をしつつ、ゲームに戻る。


「ん、ん」


 陽子は喉の調子を整える。気持ちを令嬢に寄せていく。そしてマイクに向かって艶やかな声で囁く。


「アクエル先生、こんにちは。これから森のダンジョンへと向かうんですの」


 結構、良かったんじゃない?

 エレガントさが出たような気がする。


アクエル「ソレイユも、もうそんな歳か。よし、ワシも露払いくらいならしてやるぞ」


『アクエルの信頼度+2』


 良い滑り出しではないかしら。


『アクエルが同行します』


 さすが幸運値999。女神様が微笑んでいるだけのことはある。……もともとそういうイベントだったり?

 いや、これは私の令嬢と見間違うばかりの演技のおかげと信じよう。

 陽子は、ウキウキで「続き」ボタンを押す。


『そこへ、ソレイユの乗る馬車の前を通り過ぎる人影……』


 同じテキストの使い回しは良くないわ。

 ゲーム開発者さん。そういうとこで手を抜くから批判されるのよ。などと、子どもたちへの説教みたいな考えが頭をよぎる。


レグル「アクエル先生どちらへ?」


 はぁ!?

 お、お、王子様ぁ? いきなり過ぎる。


 キービジュアルの凛々しさとも、オープニングムービーで見せる爽やかさとも違う、素のレグル王子。そして、かっこいい声。

 なんて眼福、耳福。


アクエル「森のダンジョンを探索しようと思ってな」

レグル「先生にとっては役不足でしょう。で、そちらの麗人は?」


 レグルが画面越しに私を見つめる。目が合った。

 ハートを射抜かれるってのは、こういうことだね。キュンキュンしすぎて死ぬかと思った。


『(1)お、お、王子ぃ? なんでこんな所に?』

『(2)私はソレイユ、先生の一番弟子です』 


 一つ目の選択肢、私の反応と一緒じゃない。王子様だし、やっぱり強気で答えるくらいが良いのかな。となると二つ目か。

 でもそれじゃあ、つまらないよね。

 王子様の瞬きをする顔を見ながら、私なりの回答を決めた。


 さて、これが吉と出るか凶と出るか。

 緊張で手にかいた汗を、頭に巻いたタオルで拭く。

 見つめられながらマイクに語りかける。


「わ……ぁぶへっ」


 ヤバい。私の中の緊張が逆流して、溢れてしまった。


レグル「ん? よく聞き取れなかったが」


 あっぶなぁー。

 画面にはさっきと同じ選択肢。せっかくのチャンスを棒に振るトコだったよ。

 ダンジョン探索ゲームは、一瞬の判断ミスが命取りになると聞いた。慎重にいかないと。


 深呼吸をして、心を落ち着かせる。

 こんなことで慌てちゃダメ。ここへの赴任を告げられた時だって、静かに受け入れたじゃない。

 陽子はエレガントに声を出す。


「私のことお忘れですか、王子様」


 さあ、どうなる?

 幸運値、期待しているよ。


レグル「これは失礼した。どこかでお会いしていたのですね」

アクエル「こちらはソレイユ。ワシの一番弟子でな、これからダンジョンに初めて挑むんだ」

レグル「私の兄弟子……姉弟子ですね。失礼しました」

アクエル「そういうことだ」


 アクエルが悪戯っぽく笑う。


『レグルの信頼度+1』


レグル「ということは、先生はソレイユ殿の付き添いで、ダンジョンに行かれるのですか」

アクエル「ああ、王子も来るかい?」


 おぉぉ!

 こんなにうまくいくもの?

 現実では一つも良いことがない私。ゲームの幸運値をリアルに振り替えてもらえないだろうか。


レグル「分かりました。では予定を変えて……」

タウル「王子。そんな勝手なことを言わないでください。これから訓練ですよ」


 レグルの護衛で側近のタウルだ。

 もー、邪魔しないでよ。やっぱり私のリアルラックではここまでらしい。


レグル「このくらい構わんだろう。ダンジョン探索とて訓練と同じ。むしろ実戦に近い」

タウル「いや、まあそうかも知れませんが」


 すごいな、高性能AI。私の発言に合わせて、とても自然に会話が進んでいく。


レグル「そうだろう、ソレイユ殿はどうかな」


 おおぅ。ここで質問きた。突然過ぎて、心の準備がまだだよ。


「もちろん、とても心強いですわ」


 陽子の心の中のソレイユが、しっかりと答えてくれた。


『レグルの好感度+1』

『レグルが同行します』


 よっしゃ! 幸運値さまさまです。



***


「ダンジョン探索って、四人パーティーなのね」


 陽子は悩んでいた。

 まず、ソレイユが一人目。

 そのお目付け役である執事のルクスが参加して二人。

 王子様をパーティーに編成すると、側近のタウルが必ず付いてくる。それで四人。

 アクエル先生が溢れてしまう。彼が王子様を誘ってくれたにも関わらずだ。

 陽子は職業柄、どうしても「先生」を除け者にするのは気が引けてしまう。


ルクス「ダメです、お嬢様。お義父(とう)様の言いつけです」


 このルクスが強情なんだ。

 幼馴染で執事でパーティーから外せないなんて、攻略難易度Eに違いない。きっと彼にはエンディングが複数あって、トゥルーエンド出すのが面倒なキャラなんだろう。


『アクエルを外しますか?』


 ごめんなさい、先生。「はい」ボタンを押す。


アクエル「よいよい、若者が頑張れば」


『アクエルの信頼度―1』


 ああ、先生。ごめんなさいぃぃ……


 陽子は少し心を痛めながら、森のダンジョンへと出発した。


ルクス「よろしいですか。お嬢様が行動すると、次にパーティーメンバー、そしてモンスターたちの行動と、順番に……」


 ルクスにはチュートリアルの役目もあったらしい。それじゃあ外せないか。ダンジョンの深度3までは、ルクスに操作を教えてもらいながら進んでいく。

 そこから先は実戦だ。


 だがしかし……

 敵も弱いが、何より味方が強い。

 ソレイユは落ちている薬草や道具を拾い集めるだけ。

 週一で強制参加させられている朝のゴミ拾い運動と変わらない。


 バフ魔法もレベルの低いソレイユでは雀の涙の粒の跡くらいしか効果がない。パーティーメンバーにできることと言えば、ダメージを受けた人に拾った薬草を渡すくらい。


『タウルは【薬草】を受け取った』


タウル「ソレイユ様、ありがとうございます」


『タウルの信頼度+1』


 盾役のタウルばかりがダメージを引き受け、彼の信頼度だけが上がっていく。

 王子様はほぼダメージを受けないから、王子様の信頼度も好感度も上がらない。

 ある意味、タウルのせいで王子様の攻略難度が上がってるんじゃないか。まさにゲーム開発者の狙いどおり。


 少しでも役に立ちたいから、投石でモンスターに攻撃してみる。


 コツン……コロコロ


 ……当たらないなぁ。命中率は敏捷値の差で計算される。令嬢の敏捷値は聖女にも劣る。

 むむむ、もっと遅い敵じゃないと当たらないのか。


 ガツン!


『クリティカルヒット!』


 おお!

 そうか、幸運値が最大だから、当たりさえすればクリティカルになるんだ。

 何となく、戦い方が分かってきた気がする。


『タウルに5ダメージ』


タウル「ソレイユ様。どうして、私を?」


 まさかの誤爆。いや、誤射か。

 タウルは盾役だから足が遅いんだろうな。だから当たった。


「ごめんなさい、タウル様。手元が狂ってしまって」


タウル「次からは気を付けてください」


 ちょっと上がっていた信頼度のお陰で、怒られずに済んだ。もし王子様に当たっていたらと思うとヒヤリとする。


 うーん。幸運値だけが高くても、ダメなのかなぁ。ソレイユは、こんなに頑張っているのに。


レグル「今のが避けられないのは、タウルが悪い。鍛錬が足りないからじゃないか?」


 ああ、王子様。私のミスを庇ってくれた。さすが優しい。かっこいい。好き。


レグル「ソレイユ殿も頑張っているんだ、我々もそれに応えよう」


『レグルの信頼度+1』


 うひゃあ、ちゃんと(ソレイユ)のこと見てくれてるぅうう。

 なんて気遣いのできる方なのかしら。やっぱり好きぃぃぃ。

 こっちは、こんなに想っているのに、上がったのは信頼度。この想いが王子様に届くのはいつになるかな。


 陽子は土日一歩も外に出ることなく、ゲームに没頭した。



***


 空が眩しい。


 陽子はしばしばする目を瞬かせながら、ゆっくりと家を出る。


 波の音を聞きながら、潮の匂いに包まれる。


 陽子の足取りは重い。トボトボと仕事場へ向かう。


 昨夜まで剣と魔法のファンタジー世界で、自分好みのイケメンに囲まれて、探検をしていたのに。

 現実は残酷だ。


 山の中腹にある仕事場へ向かう坂道。

 陽子が振り返ると、視界に入る景色はすべて青。空と海しか見えない。


 小さな校庭を通り抜け、黄土色の壁の木造校舎に入る。

 陽子は職員室の鍵を開け、ガタつく扉を開く。部屋には自分の机と、上司である校長の机が少し離れて置いてある。


 ここは離島にある小学校。

 陽子はその教師である。


「なんで、こんなトコに一人で居るんだか……」


 二つの机を拭いて、今日の授業を確認する。


「国語と音楽、体育と社会……もう、複式学級しんどいよ」


 ついつい、ため息が出る。

 複数の学年の生徒を一つのクラスで受け持つ複式学級。この島にいる二年から五年の生徒三人を陽子一人で担任している。

 理解度も体力もバラバラ。それを一人で見ているから、疲弊する。

 校長? 助けてくれたことはない。


「せんせー、おはよー」


 二時間後、生徒たちが登校してきた。


「はい。皆様、おはようございます」


 陽子はほんの少しエレガントモードが入った挨拶をしてしまうが、セーフ。誰も気付いていない。

 あれ? 生徒たちの父親がついてきている。参観日でもないのに。


「どうかなさいましたか?」

「あの、先生。申し訳ないんだけども」


 父親は四歳になったばかりの末娘を、私の前に押し出す。


「妻が体調崩してしまって。妻を本島の病院に連れて行くけえ、今日だけ面倒見てもらえんやろうか」

「しかし、授業もありますし」


 三年生が横から口出しする。


「良いじゃん、よーこ先生。ボクらがいるからきっと泣かないよ」


 そういう問題じゃないの。


「みんなの勉強の邪魔になるでしょう」

「先生、なんとか、今日だけ」


 父親が頭を下げる。

 そこへ、校長が現れた。


「あ、校長先生。お子さんを……」


 陽子は助けを求める。


「良いじゃないか。兄弟みんな見てあげたら」


 ほら、助けてくれない。

 今までのやり取り聞いてたのに。私、断ろうとしてたじゃない。

 校長が末娘ちゃんの面倒見てくれるんですかっての。見てくれないでしょう。あんたはいつも座ってるだけじゃない!


「帰りは迎えに来ますけえ」


 父親は深々と礼をして帰って行った。


 私の現実での幸運値なんて、こんなもの。

 クリティカルを連発し、レアドロップを欲しいままにするモテモテ令嬢のソレイユが羨ましい。


 彼女みたいな運の良さがあればなぁ。

 どうして現実では、私に幸運の女神は微笑んでくれないのかしら。


「はぁ……」


 結局、父親が迎えに来たのは日が暮れてからだった。

 本島との連絡船は一日二回。仕方がないのは分かっている。

 でも、学校は託児所じゃないの。


「せんせーさよーならぁ」


 子どもたちを見送り、職員室の鍵を閉める。

 今日の授業は一つも進まなかった。


 街灯のない暗くて足元の覚束ない道。急ぎ足で家路を辿る。

 水平線に沈んだ太陽が、残り火のように海と空の境目を朱く照らしている。こんな風景、都会では見ることはできない。


 帰り道の途中にあるこの島唯一の食堂兼商店からは、カラオケでご機嫌に歌う校長の声。定時で帰った後、ここで飲んでいるようだ。

 うら若き乙女が夜道を一人で歩くことを何とも思わないのだろうか。


 まあ、起きたことはすぐに島民全員に広まってしまうから、下手なことをする人なんていないのだけど。

 こんなプライベートのない場所だから、我慢できなかった前任者は防音室に改装したんだろうな。


 ネットもつながらない、ほとんど娯楽もない。

 こんな島で、私はストレスだけが溜まっていく。


 何度辞めてやろうと思ったことか。

 実家に帰った時、もう船に乗りたくないと泣いた夜もある。


 でも、今はゲームが支え。

 家に戻ってシャワーを浴びたら、早速ゲームを起動する。

 父親からお礼とお詫びにともらったお土産のプリンを頬張り、私はソレイユになる。



***


 ソレイユが冒険を始めて、二か月が経とうとしていた。


 ヴラドの塔。

 上級レベルのダンジョンで、強力な怪物や悪魔がうじゃうじゃと登場する。

 ソレイユは、この高難易度ダンジョンでも5階層まで周回できるようになっていた。


 最近は、イベントパートでレグル王子に出会うことが多くなった。ちゃんと幸運値が仕事をしてくれて、信頼度と好感度が上がっている証拠。

 今日もウキウキでレグル王子たちとパーティーを組み、探索に出発した。


『ソレイユはレグルに「虹賛辞」を唱えた』


 虹属性の攻撃力上昇のバフ魔法だ。これで、王子様が怪物にトドメを刺してくれれば、経験値も好感度もどっちもゲットできる。


『魔力が湧き上がる。「虹賛辞」は倍の効果を発揮する!』


 よしっ。さすが幸運値MAX!!


『レグルの【銀竜の鎧】が魔法を跳ね返す。ソレイユの攻撃力が倍増した!』


「いやー! どうしてそうなるのぉ?」


 陽子は絶叫する。防音室でよかった。


 なんで、王子様は魔法反射能力を持った鎧を装備してるのよ。私のバフを受けたくないってこと?

 さすが最高難易度Aの王子様。バフで好感度を稼ぐことは難しそうだ。


 方針を転換して、陽子はマイクに星属性の呪文を唱える。自分の声で詠唱すると魔法の威力が上がるのだ。

 防音室マジ助かる。


「凍てつく夜空に輝く星よ。流れ流れて仇魔を射貫け、「いて星」!」


『ソレイユに強力な魔力が漲っていく。「いて星」がエグリゴリの身体を貫いた! ソレイユの経験値+256。エグリゴリは【身代わりの御守り】を落とした』


 このダンジョンでは、レアアイテム【身代わりの御守り】が手に入る。

 最難関ダンジョンを攻略するにも、できるだけ沢山持っておきたい。


レグル「ソレイユ殿、危ない!」


『レグルの攻撃。バフォメットにトドメを刺した』


 ソレイユの後ろに現れた怪物を、一刀両断にする。

 私を守ってくれる王子様、カッコいい。


レグル「大丈夫か?」


 王子様が尊すぎて、私の心が大丈夫じゃない。


「レグル王子のおかげで、助かりました」


 これは没入感というレベルを超えている。

 本当に自分がソレイユになって、王子様と一緒に探検をしているような気分。


 陽子(ソレイユ)はレグルの向こうに宝箱を見つけた。

 宝箱はいつもソレイユが開ける。幸運値が高いから、いつも良いアイテムが出る。


『ソレイユは宝箱を開いた。【アスクレピオスの杖】が入っていた』


 やった、最高レベルの武器じゃん。……待てよ。今、杖使える人いないじゃん。アクエル先生がいれば大幅戦力アップで、6階も狙えたんだろうけど。

 幸運値は期待どおりなのに、リアルラックが全然仕事しない。……校長かよ。


「持って帰って、アクエル先生のお土産にいたしましょう」


 独り言ですらソレイユに引っ張られている。


『持ち物が一杯です』


 ぐはぁ。

 捨てようにも、インベントリの中は持っておきたいアイテムばかり。

 まじでソレイユの幸運値を、私の不幸が全力で邪魔してる。


 せ、先生……本当に、本当にごめんなさい。

 ソレイユは泣く泣く杖を見つめ、宝箱にそっと戻した。



***


 最終ダンジョン「運命の大迷宮」の最下層にある【(まこと)の愛の御守り】。

 これを手に入れ、愛する人に告白して渡す。そうすれば、永遠の愛が約束されるという伝説のアイテムだ。

 「プリンセスパーティーQ」の最終目的となるアイテムだ。


「やっとここまで来た……」


 陽子は感慨にふけっていた。

 苦節四か月。秋の連休も実家に帰らずゲームに没頭した。


 ソレイユが踏んでも発動しなかったトラップに、味方が引っ掛かってダメージを受けたり。

 ダンジョン内のお店でレアアイテムを売っていたのに、お金不足で諦めたり。

 ソレイユが病気で寝込むイベントで、みんながお見舞いに来てくれる前に回復したり。

 停電で、三時間のプレイデータが飛んだこともあった。


 幸運値の高さを踏みにじるような不幸の連続にも耐えた。

 そんな困難を乗り越え、王子様との好感度も上がってきたうえでの、「運命の大迷宮」最下層への到達。

 今、陽子のモチベーションは最高である。


レグル「現れたな、イェンダーの魔術師!」


 迷宮の魔法を生み出し、この国に多くのダンジョンを生み出した張本人。それが、イェンダーの魔術師。

 このゲームのラスボス。……なのだが、私の目的は彼が隠している【真の愛の御守り】だ。


タウル「王子、ソレイユ様。気を引き締めてください」

ルクス「お嬢様。私の後ろへ」


 この二人は好感度が十分に高くなっているから、ソレイユを大事にしてくれて、しっかり守ってくれる。

 王子様の信頼度は達成済みだけど、好感度があと少し足りていない。


レグル「行くぞっ!」


『レグルの「連続斬り」! イェンダーの魔術師に三回連続ダメージ』

『タウルの「巨突轟進」! イェンダーの魔術師に吹き飛びダメージ』

『ルクスの「クロスレンジリッパー」! イェンダーの魔術師に追撃ダメージ』


 陽子は慣れた口調でエレガントに呪文を詠唱する。


「華々しい花々に包まれて眠りなさい。夢に見る夢のまた夢、「夢想花」!」


 実は、イェンダーの魔術師に挑むのは三度目である。

 持ち物を呪ってきたり、巨人やドラゴンを召喚したり、さらには分身までしてくる超難敵。


 一度目はレグルが、二度目はソレイユが倒れて失敗した。

 誰一人欠けても倒せない強敵だ。


 ……これ、本当に乙女ゲーム? ダンジョンゲームの方が比重高くないですか?

 ゲーム開発者の真意を知りたい。


『イェンダーの魔術師の「真空の乱気流」。全体に窒息ダメージ』

『タウルの【身代わりの御守り】が砕け散った。タウルの体力が回復した』

『レグルの【身代わりの御守り】が砕け散った。レグルの体力が回復した』

『ルクスの【身代わりの御守り】が砕け散った。ルクスの体力が回復した』

『ソレイユの【身代わりの御守り】が砕け散った。ソレイユの体力が回復した』


 ヤバい。あんなに集めた御守りがどんどん減っていく。

 それでも、王子様たちが魔術師の体力をガシガシと削っていく。


レグル「ソレイユ殿、頼む!」


 王子様に頼まれたら仕方がない。……全然仕方なくないけど。

 陽子はマイクに叫んだ。


「任せて、レグル王子!」


『ソレイユはレグルに「虹賛辞」を唱えた』

『魔力が湧き上がる。「虹賛辞」は倍の効果を発揮する! レグルの攻撃力が倍増した!』

『レグルの信頼度+2、好感度+1』

『レグルの「連続斬り」! イェンダーの魔術師に五回連続クリティカルヒット!』

『イェンダーの魔術師を倒した』


イェンダーの魔術師「まさか、余が倒されるとは……余が消えても、いずれ第二、第三の……」


 ありきたりなラスボスの捨て台詞を吐いて、魔術師は倒れた。

 もうちょっと、こう気の利いた言葉はなかったのか……いや、まあいいか。このゲームは恋愛がメインのゲームだから。そこはこだわるトコじゃないもんね。


タウル「王子、ソレイユ様。やった……やりました!」

ルクス「お嬢様。俺たち、魔術師を倒したんですね」

レグル「まだだ、気を抜くな。勝利を味わうのは、無事にダンジョンを出てからだ」


 さすが王子様。遠足と同じで、家に着くまでだね。

 とはいえ、今のレベルならまず全滅はない。

 それに、まだ【真の愛の御守り】を手に入れてない。


 皆でイェンダーの魔術師の部屋を手分けして探索する。


「あ、見つけた」


 いつもどおり、宝箱をソレイユが開ける。


『ソレイユは【真の愛の御守り】を手に入れた』


 やったー!!

 陽子は思わず小躍りした。

 もし、タウルやルクスが先に御守りを見つけてたら、彼らから告白されてたのか。あっぶな。

 幸運値MAX、最後まで最高の仕事をしてくれた。


 とうとう手に入れた【真の愛の御守り】。

 王子様の好感度は、あと少しで私ラブになる。帰りの途中で好感度が上がるだろうから、ダンジョンから出たトコで、これを王子様から愛の告白とともに受け取れば、ハッピーエンド!


「うへへ」


 陽子の顔が、にへらと緩む。が、すぐに真顔に戻る。


「あれ……? ちょっと待って」


 今、これをソレイユが持ってちゃ、ダメじゃない?

 だって、【真の愛の御守り】は王子様からもらわないと。


 よし、王子様に御守りを渡して……と。


『ソレイユはレグルに【真の愛の御守り】を差し出した』


タウル「あ……」

ルクス「あ……」


 ダンジョンを出たら、王子様から御守りを渡してもらって、愛の告白ターイム!

 陽子の心は期待ではち切れそうだ。


レグル「君は……、これを渡すことがどういうことか分かっているのか?」


『(1)私、最初から王子様のことをお慕い申しておりました』

『(2)探索を通じて自分の気持ちに気付きました。王子様、大好きです』


 あれ?

 なんで会話イベントになったの?

 ちょ。しかも、なんで私が告白する流れになってるの!?


 陽子はゲームの目的を思い出した。


 あ、そうか! 御守りを渡すこと、イコール告白イベントになるのか。

 つまりこれって、私から王子様に()告白してるってことになるんだ。これを王子様が受け取ったらエンディング……


 でも、王子様はまだ好感度が足りてない。

 ダメじゃん。


「うわ、詰んだ……」


 鳥肌が立つ。背筋に嫌な汗をかく。

 深い溜め息が出て、視界が滲む。

 四か月も頑張ってきたのに。


 なんで、私、こんなに不幸なんだろう。

 現実では、今までに一つも良いことなんてなかった。

 せめてゲームの中だけでも……と思っても、幸運の女神は笑っているだけで何もしてくれない。


 私の目の前は、真っ暗になった……。



***


 授業の合間、五分の休憩時間。


 陽子は、校舎の窓から外を見つめる。

 そこには、どこまでも続く青い空と、キラキラと光る海が広がっている。

 窓から入ってくる風が髪を靡かせ、潮騒を耳に届ける。


 生徒の一人が、陽子の元に駆け寄ってくる。


「先生、良いことあったの?」

「ん……なんで?」

「笑顔が可愛くなったから」

「そう?」


 陽子はちょっとだけ微笑んで、昨日のことを思い出す。



「あなたの優しさ、凛々しさ、勇敢さ。全て好きです」


 絶望的な「詰み」の状況で、できることは、ソレイユのセリフを選択すること。

 でも、陽子はセリフを選ぶのではなく、自分(ソレイユ)の気持ちをマイクに吹き込んだ。


レグル「ソレイユ殿。そなたは尊敬できる仲間だとは思っているが……」


 やっぱり好感度が足りてない。告白は失敗だ。

 告白してもらうゲームだと思ってたから、こういうのは想定してなかったよ。

 幸運値MAXなのに、こんなことになるなんて。なんて私は不幸なんだろう。


 イベントはまだ続いている。


レグル「私は、常に選ぶ側だった。だが、選ばれるとは……こんなにも、重いものなのか」


 そうか、私。王子様を選んだんだ。

 私は、選ばれることを期待していたけど、そうでない生き方があってもいい。


レグル「どんな状況でも頑張る、そなたの姿を見ていた」


 そんなこと言われたら、私の涙腺が決壊してしまう。

 なんで、これで両想いになれないの?


『レグルは【真の愛の御守り】を受け取った』

『レグルの好感度+1』

『レグルは、ソレイユに特別な感情を持つようになった』


レグル「ありがとう、ソレイユ殿。……いや、ソレイユ。そなたの愛を受け入れる」


「ふぇええええ!?」


 パニック。

 頭が追いつかない。

 だって、これには幸運値は関係ない。

 一体、何が起きたのだろう。


レグル「早く出て、皆にこのことを伝えよう」


 その後は、どう操作したのか覚えていない。

 ソレイユたちは、あっという間にダンジョンから脱出した。


 エンディングテーマが流れ始めた。オープニング曲がウェディングマーチに編曲されている。


 レグルとの結婚式のムービーと共に、スタッフロールが流れていった。

 今までに出てきたキャラからの「おめでとう」の声が響く。


レグル「永遠に、そなたを愛することを誓う」


『完』


 王子様の最後の囁きに、ゾクッとするほどの幸せを感じた。


「良かった……」


 陽子は泣いていた。

 結婚式の感動と、苦労が報われた達成感に包まれ、ボロボロと泣いた。


 幸運と不幸って、案外、紙一重なのかもしれない。

 こういうの、何て言うんだっけ。

 そう、禍福は糾える縄の如し。きっと昔の人も私と同じ思いをしたんだろうな。

 そう思うと、今までのしんどさが少し報われた気がした。


「もうちょっと、自分のリアルラックを信じてみようかな」



 陽子は、しゃがんで生徒に目線を合わせる。


「不幸だと思っていたことが、良いことだったってこともあるのよ」


 生徒が目をキラキラとさせる。


「すごいね。校長先生のお話よりも、大事なお話だ」

「そう、かな?」


 陽子は笑った。

 生徒もニコニコと笑っている。


「ウチも良いことあったよ」

「どんな?」

「今度、赤ちゃんが生まれるんだって」


 これは、また学校に……いや、私にいろいろと押し付けられる未来しか見えない。

 私のリアルラックは、相変わらず仕事をしない。

 今度は、引きつった笑いが漏れる。

 ……まあ、いいか。


 だって、「詰んでいた」のに、私はハッピーエンドを見ることができたんだもの。

 今度だって、きっと。

 私は心から祝福した。


「おめでとう!」


 「プリンセスパーティーQ」は設定をいろいろ考えたけど、短編だから入れられなかった。

 ノーム鉱山というダンジョンがあるとか、コメディリリーフの見習い執事のサジがいるとか、魔法の属性には聖・星・虹・花・夢があるとか、ルクスには双子の兄カトルがいて、ルクスの真ルートのキーマンになるだとか……。残念。

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